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中国の輸出拡大が「需要息切れ」でピークアウト コンテナ運賃の指数先物は高値から7割暴落

東洋経済オンライン / 2024年9月24日 19時0分

好調が続いていた中国の輸出にピークアウトのサインが灯った。写真は中国有数のコンテナ港である広東省深圳市の塩田港(同港の運営会社のウェブサイトより)

2024年の中国の輸出は年初から好調に推移してきた。海関総署(税関)のデータによれば、1月から8月までの中国からアメリカへの輸出額は前年同期比2.8%、EU(欧州連合)への輸出額は同0.8%それぞれ増加。輸出単価の大幅な下落を加味すると、数量ベースの輸出の伸びはもっと大きい。

【写真】中国のコンテナ海運大手、中遠海運控股の大型コンテナ船

だが、ここにきて輸出の先行きに暗雲が漂い始めた。アメリカの貨物フォワーダー(仲介事業者)のフレックスポートは9月9日に発表した市場レポートの中で、「アジアから北アメリカへの貨物出荷は引き続き活発だが、アメリカの在庫は適正水準に達しており、今後数週間のうちに輸送需要が弱含む可能性がある」と予想した。

欧州向けコンテナ発送が減少

ヨーロッパ向けの輸出は、北アメリカ向けに先駆けて息切れを示している。イギリスの調査会社CTSのデータによれば、東アジアからヨーロッパに向かうコンテナ発送量は2024年6月まで16カ月連続で増加していたが、7月の発送量は158万TEU(20フィートコンテナ換算)と前月比0.5%減少した。

その要因は、中東情勢緊迫の影響による輸送需要の一時的な増加がピークを過ぎたことにある。中国の先物取引業者の華泰期貨は、調査レポートの中で次のように予想した。

「ヨーロッパのクリスマス商戦向けの出荷は、例年なら8~9月にピークを迎える。しかし今年は4月から前倒しで出荷が始まったため、9月以降の中欧間のコンテナ貿易は例年より低調になるだろう」

(訳注:イスラエルとイスラム組織ハマスの戦争をきっかけに、東アジアからヨーロッパに向かうコンテナ船の大半が航路をスエズ運河経由から喜望峰回りに変更した。その影響を緩和するため、ヨーロッパの輸入業者の多くが輸送の前倒しや在庫積み増しに動いていたとみられる)

輸送需要のピークアウトは、コンテナ運賃の急落の形ですでに表面化している。

上海航運交易所が発表する確定運賃ベースの上海輸出コンテナ運賃指数(SCFIS)は、9月9日時点のヨーロッパ航路が4566.27ポイントと前週より10.6%下落、7月の高値から3割近く下がった。アメリカ西岸航路は2805.22ポイントと同6.9%下落し、7月の高値から4割安となった。

SCFISは前週に確定したスポット運賃の平均水準を反映する。その急落を受けて、SCFISを取引対象とする指数先物はより大幅な下落に見舞われている。

スポット運賃の下落に拍車

欧州航路を対象にした代表的な指数先物は9月9日、決済期限が2024年12月の取引が1607.5ポイントで引け、1日で8.73%下落。7月の高値から7割も落ち込んだ。

財新記者の取材に応じた複数のフォワーダーの証言によれば、北アメリカ航路やヨーロッパ航路のコンテナのスポット運賃(40フォートコンテナ換算)は、このところ1週間に1000ドル(約14万3000円)近いペースで値下がりしているという。

これらの航路ではコンテナ船の積載率が90~95%と、すでに満載にするのが難しくなっている。そのため、コンテナ海運会社が貨物の争奪戦を繰り広げており、スポット運賃の下落に拍車をかけている。

(財新記者:李蓉茜)
※原文の配信は9月10日

財新 Biz&Tech

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