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台湾、第2のTSMC目指すベンチャーが群雄割拠 激変した資本・技術・市場の今を投資家が語る

東洋経済オンライン / 2024年9月25日 9時0分

台湾のベンチャー業界はホットです。2021年から有力ベンチャーのIPO(新規株式公開)が続いているのが象徴的でしょう。

2021年にはAIベンチャーのエイピア(Appier)が日本上場、私もジョインしていたリテールSaaSの91APPも台湾で上場しました。翌年にはスマートモビリティのGogoroがアメリカのナスダック市場でSPAC(特別買収目的会社)上場を果たし、2023年には電話の着信番号識別アプリ「Whoscall(フーズコール)」を擁するGogolookが台湾のベンチャーボードで上場しました。

台湾はこれまでも多くの企業が誕生してきましたが、ベンチャーキャピタルから資金を得て急成長する、いわゆるスタートアップ企業がIPOにまでこぎつけた点、そして台湾が得意とする製造業ではなくソフトウェア産業でも注目企業が登場してきた点は過去とは異なります。

台湾ではどのようにしてイノベーション・エコシステムを生み出し拡大してきたのでしょうか。いかにしてベンチャー企業に0から1への突破ができるようなリソースを与えることができたのでしょうか?

投資家として長らくシリコンバレーをウォッチしてきた私の経験からすると、「資金、人材と技術、マーケット」がイノベーションの3大要素であり、どれかが欠けても失敗します。つまり、台湾には今、この条件がそろっているのです。

イノベーション法制が変えたマネー

統計によると、アーリーステージ向けの投資は2020年代に入って明らかな増加傾向を見せています。2015年比で投資額は3倍、件数は2倍となっています。

イノベーションにとって、資金とは武器のようなもの。多ければ多いほど取り得る選択肢が広がります。シリコンバレーの成功は創業、市場での検証、事業での拡大というそれぞれのステージごとに、異なる資金の出し手が豊富に存在していたことがカギでした。

なぜ、それほどの資金が流入したのか。IPO市場の活況が背景にあります。最終的にIPOで巨額なリターンが見込めるので、潜在的な投資回収率が上がり、早期ステージ時点から投資が集まったのです。

台湾ではこうした好循環をなかなか作れずにいました。今、変化が起きたのは前述したスタートアップIPOの成功例が生まれたことに加え、法律と制度の改正があります。

もともと台湾のベンチャー投資法制は保守的で窮屈なものでしたが、2018年の法改正によって大きく変わります。特に重要だったのが、評価額の弾力的な算定が認められたことです。改正前は株式の額面金額は変更できませんでした。創業者も、企業規模が拡大した後に参加した投資家も同じ条件で株式を取得することになります。

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