ベンチャーで急増「ダウンラウンド」は悪手なのか 厳しさを増すスタートアップの資金調達環境
東洋経済オンライン / 2024年9月25日 9時0分
AIなどディープテック領域で大型資金調達が相次ぐ一方、成熟ベンチャーの資金調達環境は悪化――。「優勝劣敗」が鮮明になっているスタートアップ市場で、今注目すべき「ダウンラウンド」の動向とは。週刊東洋経済「すごいベンチャー100 2024年最新版」特集を担当した宇都宮徹記者と、経済コラムニストでYouTuberの高井宏章氏の対談から一部をお送りする。
※記事の内容は東洋経済の解説動画「【すごいベンチャー100】調達難でも大学発企業は躍進/国産ユニコーン100社創出の茨道」から一部を抜粋したものです。外部配信先では動画を視聴できない場合があるため、東洋経済オンライン内、または東洋経済オンラインのYouTubeでご覧ください。
高井宏章(以下、高井):特集の冒頭に紹介されているグラフを見ると、「市況悪化で明暗分かれる」とあります。資金調達額は2年連続の減少になりそうとのことですが、なぜですか?
【動画を見る】すごいベンチャー100/調達難でも大学発企業は躍進/国産ユニコーン100社創出の茨道/キャリアパスの選択肢として拡大
宇都宮徹(以下、宇都宮):(資金調達額は)2021年、2022年と1兆円を目がけて上がっていったのですが、その後はアメリカをはじめとする金利上昇を背景に、リスクマネーに投資を振り向ける動きが世界的に冷え込んでしまいました。その影響が日本にも及んでいる形です。
高井:総額で見ても、1社当たりの調達額で見ても、減ってきていると。資金調達シリーズ別で見ると、中でもとくに厳しいのが「レイター」に位置する、比較的大きいベンチャーですね。この要因は?
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宇都宮:1つ大きいのが、2021~2022年ごろに調達した会社のバリュエーション(1株あたりの評価額)が上がりすぎてしまったことです。投資家からすると、それと同等の額、あるいはそれ以上の額でお金を出すのが難しくなっている面があります。
高井:噛み砕いて言うと、スタートアップは株式上場しているわけではないけれども、資金調達するときには「1株=〇円」という計算をして、株式を発行するのが一般的かと思います。その株価を決める際、「将来これくらい成長するだろう」というのを鑑みて試算するわけですね。
その試算を甘めにしてしまうと、株価が(実力以上に)高くなってしまう。次の資金調達のときに(実力に即した形で)前より安い株価を提示するとなると、前に高い株価で出資した人は評価減をしなきゃならない。
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