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「アレルギー患者」増加の一方で専門医不足の謎 「僅か2.5%」内科医に占めるアレルギー専門医

東洋経済オンライン / 2024年9月26日 10時1分

その理由は明確です。『アレルギー』が出版されたアメリカは、自由診療が中心の国ですから、高品質な医療を行えば、その分の費用を医療機関が請求することができます。一方、日本は、国民が困った際に最小限の負担で医師にかかれる保険診療ですが、アレルギー疾患に対する診察や検査に係る診療報酬の点数が低いのです。

やや不適切な表現になりますが、医療経済的に満たされない診療科の1つであり、そのために、アレルギー専門医を生業にしようと目指す人が増えにくいという社会問題があるのではないかと私は考えています。食物アレルギーの診療、とくに初回の外来では問診などに時間がかかり、同病名で保険適用のある医薬品がないこともネックになります。

それでも、熱意をもってアレルギー診療にあたる医師が増えてきました。日本アレルギー学会では、出身母体がどの診療科であってもすべてのアレルギー疾患に対応が可能な医師像を目指し、専門医の育成に努めています。

アレルギーで困ったらどこに受診・相談すべきか?

患者さんから、アレルギーを発症した際に、「どこを受診すればよいのかという入り口がわかりません」、という声をお聞きします。

各都道府県に拠点・専門病院が整備されたので、いきなりそこに受診すればよいのか? いいえ。まずはかかりつけ医に相談してみてください。近所にアレルギー専門医・指導医の資格を有した医師が勤務する医療機関があればそこに受診することもよいでしょう。

国や自治体ではアレルギー疾患における地域医療連携の推進を図っています。私が勤務する昭和大学病院の所在する東京都でも専門医療機関で診断・初期対応されたアレルギー患者を地域の協力医療機関と連携して逆紹介できるような仕組みの構築に取り組んでいるところです。そのためには医師間、医療機関間の診療技能の標準化・均てん化が求められます。

既に地域の医療機関で治療しており、症状が悪化傾向にある場合や、重症化している場合には、アレルギー専門医に紹介受診してください。地域によっては、それが拠点・専門病院ということもあるかと思います。

さらに、民間療法や科学的根拠のない治療に走って、患者さんが混乱させられているケースにも懸念しています。『アレルギー』にも「無意味なIgG抗体検査」のことが書かれていますが、検索サイトで「アレルギー検査」と検索すると、何十項目ものアレルギーを自宅で調べられるという検査キットが上位にヒットします。

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