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森永卓郎、岸博幸に感じた「余命の差」が生む余裕 日本経済停滞の「原因」については意見が一致

東洋経済オンライン / 2024年9月27日 16時0分

そして、岸さんのこうしたバランス感覚こそが、メディアで長生きしようとするときの最大のコツなのだ。もちろん、私もその仕組みは分かっているのだが、残された人生が数カ月になり、息継ぎをする必要がなくなったので、バランスを取るのをやめたのだ。

その結果は、予想どおりというか、予想以上で、私はテレビの報道番組、情報番組からすっかり干されてしまったが、岸さんは活躍を続けている。テレビ局員の立場を考えれば当然だ。いまの森永は危なくて使えないのだ。

ただ、表現の仕方は異なるものの、2人の見方が一致していてうれしかったのは、この30年ほど、日本経済がまったく成長しなくなった原因が分配の不平等にあるという認識だ。

岸さんは、その理由について、大企業が大きな利益をあげ、それを内部留保で貯めこむ一方で、国民は賃金が上がらないうえに、負担増を強いられて、国民が幸せになれない経済・社会構造になってしまったことを挙げた。

そうした構造になったのは、高度経済成長期に形成された大企業と政府の癒着の構造を変えられなかったことが原因だと岸さんは見ている。

もちろんそうなのだが、私は、日本の経済社会が、グローバル資本主義に巻き込まれ、高度経済成長期にうまく機能していた仕組みが続けられなくなったことが背景として存在しているのだと考えている。

その点で、グローバル資本主義に巻き込まれた最大の原因が、この40年間にわたってむしろ強まってきた対米全面服従路線にあるという点についても、岸さんと認識を共有できたと思う。問題は、対米全面服従の源流だ。

今回の対談で、私がある意味でいちばん知りたかったのは、岸さんが1985年8月12日に起きた日本航空123便の墜落の原因を知っているのかどうかということだった。

私は、墜落の責任をボーイング社にかぶってもらったことで、日本がアメリカに何も言えなくなってしまったことが服従の源流だと理解しているが、岸さんは墜落原因について「何も知らなかった」と答えた。

直接聞いているので、岸さんはウソをついていないと思う。もしかしたら、官僚の間では墜落原因は周知の事実なのではないかと私は疑っていたのだが、123便事件の処理が、ごく一部の政権中枢だけで行われたことがよく分かった。

なお、日本航空123便の事件に関しては、拙著『書いてはいけない』(三五館シンシャ)と『マンガ 誰も書かない「真実」 日航123便はなぜ墜落したのか』(宝島社)をお読みいただきたい。

自分がやりたいことをやって生きていくことが重要

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