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6人家族の食事「平等に分ける」が正解でもない訳 「ドン・キホーテとユニクロ」売り場の決定的な差

東洋経済オンライン / 2024年9月27日 17時0分

販売用の「球根」を載せたトラックが事故で横転し、様々な色のチューリップの球根が混ざってしまったそうだ。球根は見ただけでは何色の花が咲くのかはわからない。

売り手は、どうしようかと考えた結果、何色が咲くかわからない「訳あり球根」と銘打って安く売り出したそうだ。すると、SNSで情報が拡散されて、50万個がまたたく間に完売したそうである。何色かを分けなかったことで、咲くまで色がわからない。

球根が種類別に分けられているほうが買う側としてもわかりやすいが、そういったトラブルのストーリーと分けられない状態が、ワクワク感を演出する効果を作ったのだろう。災いを福に転じさせたわけだ。

古本屋や古着屋は、商品をそれほど正確に分けずに、あえてゴチャゴチャさせていることがある。「安い」ということに加えて、「宝探し」的な楽しさを演出しているのだ。「ドン・キホーテ」なども、そのあたりを心得ている。買い物の醍だい醐ご味みはワクワク感で、分けないほうが「ワクワクしやすい」演出ができるわけだ。

一方で、「ユニクロ」はすべてのサイズが、豊富なカラーバリエーションで整理され、分けられている。そこに行けば必要な服がすぐに「見つけやすい」という安心感がある。

目的をどちらに置くかで分け方が変わる

ミカンなどの果物も、通常、スーパーでS・M・Lのサイズ別に分けて売られている。どのキュウリも真っすぐなのは、事前に曲がったものは分けられて(よけられて)いるからだ。日本の消費者は、果物や野菜の「形」について、とりわけ敏感だ。

つまり、目的が「ワクワクしやすい」であれば分けないという選択肢が有効なのだ。これによって客は掘り出し物を見つける「宝探し」の感覚を味わえるし、店側にとっても整理の手間を省けるので、人件費などのコストを低く抑えられるメリットがある。

一方、目的が「探しやすい」であればサイズや形ごとに分けるという選択肢が有効になる。これによって商品を効率的に探したい客を集めることができるし、厳しい目を持つ日本の消費者に対して信頼と安全をアピールすることもできる。

目的をどちらにするかで、これから行おうとしている分け方が適切かどうか判断しやすくなるだろう。

下地 寛也:コクヨ株式会社ワークスタイルコンサルタント、エスケイブレイン代表

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