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大阪梅田「ロフト閉店」に見る雑貨店の栄枯盛衰 「宝探しの高揚感」を維持するには工夫が要る

東洋経済オンライン / 2024年9月27日 20時0分

梅田ロフトも、開業当初は大人気で多くの若者が殺到したという。まだ開発が進んでいなかった茶屋町エリア発展のきっかけを作るほど、熱い支持を集めたのだ。

しかし、結果としてエリアの再開発が進み、付近にどんどんと新しい商業施設が誕生した。そんな状況の中で「わざわざロフトで」感が薄れてしまったのではないか。それが、今回の撤退(というか、移転)にも繋がっている気がする。

ちなみに、梅田ロフト閉店のニュースを見ていると、「待ち合わせ場所としてもお馴染み」なんて報道も多い。梅田ロフトとは「何かを買いに行く場所」というよりも、どこか「ランドマーク的な場所」になっていたのではないか。そのことは、店内を見ていると、なんとなく察しが付くのだ。

一方でハンズは買収されてしまった…

梅田ロフトの閉店……と聞いて、ふと思ったのはハンズのこと。もともと、それぞれの渋谷店はご近所にあったけれど、先に衰退したのはハンズだった。ロフトと同様に品揃えが良かったこと、あるいは店員が商品に詳しく、わからないことがあれば何でも教えてくれることが売りの1つで、とにかく「対面販売」にこだわっていた。最終的にコロナ禍がとどめになって、その強みが消えてしまった。そして2022年、カインズに買収されてしまう。

ハンズの不調の原因にはいろいろあるだろう。肝煎りではじめたプライベートブランドの不調もその1つだ。

一方、ハンズの魅力が低下したことについて筆者が感じたのは、その空間の作り方の変化だった。ハンズの旗艦店である渋谷店は、縦型の店舗になっていて、それぞれのフロアの連絡がわかりづらく、館内全体が迷路のようになっていた。一見すると、これは消費者にとってあまりメリットがなさそうだが、さまざまな物を取り揃えるハンズにおいては、「宝探し感」を演出するのに役立っていたと思う。

その後、ハンズはこうした縦型店舗を横に広げるような「横型店舗」での出店を主にする。消費者のユーザビリティーを考えてのことだろう。ただ、これによって逆に、宝探し感がなくなってしまったのではないか。

ハンズをはじめとする雑貨屋の1つの面白さは、自分が出会ったことのないものに出会えるかもしれない、という「可能性」にある。ネットが進んだ現在、欲しいものが明確なときはネットで頼んでしまえばいい。そんな時代において、雑貨屋ができるのは、ある種の「宝探し感」の演出なのではないだろうか。

今風にいえば、「コト消費」なのかもしれないが、横型店舗への展開はこうした店舗空間の魅力を削いでしまったのではないか(その点、ヴィレッジヴァンガードがショッピングモールに出店して、初期ほどの猥雑さを持たなくなったのと似ている変化かもしれない)。

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