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「奄美大島に移住」57歳の彼が進める"趣味の終活" ウミウシに魅了されて引っ越し、"終活"の背景

東洋経済オンライン / 2024年10月24日 11時30分

勤務時間は平日の8時半〜17時と、月2回の土曜日の8時半〜12時半。平日は「17時1分にタイムカードを押して速攻帰る」が、システムトラブルやシステム導入のときには残業や休日出勤もいとわない。

「僕が残業するときは、本当に必要なときです。そうした例外を除けば、基本的に残業はなく、有休も取れます。定時に帰って文句を言われることはありません。給料は関東の会社にいるときより大幅に下がりましたが、本当にいい職場だと思っています」

今本さんはいま、定年後の生活を見据えて趣味の「終活」を始めている。今本さんの両親は60代でピンピンコロリで他界した。自分もそれほど長生きしないかもしれないと考える今本さんは雇用延長せず、60歳で定年退職して、65歳までは集中して海に潜ろうと考えている。

「自然を相手にした趣味では、すぐに動けることが何より重要です。働いていたらそれは無理ですが、退職すれば自分の好きなタイミングで撮影に行けます。貴重な健康寿命は仕事でなく、ウミウシ撮影に使いたいと思っています」

終活の一環として、将来、ホームページを閉鎖する準備も始めている。

「ホームページをそのままにして亡くなる人もいますが、自分はどこかのタイミングで閉じようと思っています。ただ、これまで撮った写真を後世に残したい気持ちもある。ウミウシ画像も含んだ静的なHTMLファイルにしておけばデータを他人に引き継ぎやすくなりますから、レンタルサーバーに置いていたウミウシのデータベースを自分のパソコンに移動させ、HTMLファイルとして出力するシステムを構築中です」

まだ出会っていないウミウシもいる

今年の春、今本さんは人生で9台目となるバイク、ホンダのスーパーカブ110PROを購入した。購入は定年後を予定していたが、『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ビル・パーキンス著・ダイヤモンド社)を読んで、購入を早めたという。

「死ぬときにお金がちょうどゼロになるような生き方を勧める本なんです。海が近い奄美に来たおかげで、趣味にもそれほどお金がかからなくなりました。ウミウシ撮影で徳之島に渡るときのフェリー代も、車なら往復2万5000円ほどですが、バイクなら1万円ほどで済みます。これまで節約を重ねてきたのだから、バイクももう我慢しないぞ、と。さっそく『ウミウシ撮影ツーリング仕様』に改造して撮影に出かけています」

今本さんのバイクは、撮影に必要なものを積めるようにボックスやカゴを後付けしている。ボックス下の左右両側には、カメラに付着した海水を洗い流すための水を入れた2リットル入りペットボトル8本を積むためのカゴも取り付けた。

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