週休3日のスーパーが最高利益を更新し続ける訳 「長時間営業」は不安からの逃げでしかない
東洋経済オンライン / 2024年10月25日 11時30分
営業時間を増やせば、売上高は増えますが、利益が伴うとはかぎりません。サービス業や飲食業など各業種のオーナーが悩んだ末に、休日を増やしたり営業時間を短縮しながら利益を上げたケースを『顧客の数だけ、見ればいい』から一部抜粋・再構成のうえご紹介します。
長時間営業という「逃げ」
「以前はくたくたになるまで仕事をして、疲れきるまでやってこそ仕事だと思っていた」こう語るのは、新潟県五泉市にある食品スーパー「エスマート」店主・鈴木紀夫さんです。
この言葉に、胸がチクリと痛くなる人は多いと思います。
明日の売上が見えないと、我々はどうするか。その一番単純な答えが「もっと働く」です。
たとえば店舗なら、営業時間を延長する。20時閉店だったものを22時閉店にする。挙句の果てには24時間営業にする。
そうすれば、確かに売上は増えるでしょう。「売上が上がらない」という不安からも、一時的には逃れられるでしょう。でも、人件費を考えたら全然儲からなかったりもしますし、何より、自分が疲弊してしまいます。つらい事実ですが、長時間労働は「逃げ」になってしまうのです。
そんなことは、鈴木さんもわかっていたことでしょう。しかし、自店は50坪弱のミニスーパー。少し車を走らせれば、10倍以上の規模のスーパーがたくさんあります。品揃えでは比較になりません。そこに負けないためにはせめて店は開けないと、と年中無休。朝は7時30分に開けて、閉店は20時。休みもない毎日でした。
営業時間を減らしたら、売上が上がった!
しかし鈴木さんは、その後「別の世界」の存在に気がつきました。競合や売上を見るのではなく、「顧客の数」を見るビジネスの世界です。そして、やり方を180度変えたのです。
そのやり方でビジネスを営み、しばらく経ったころ、鈴木さんは店休日と営業時間の問題に着手しました。まず、朝7時30分からだった営業時間を、9時からに短縮しました。
さらに、年中無休だったところ、毎週水曜日を定休日に。これは、毎日営業していることが当たり前のスーパーでは、極めて勇気のいることでした。
なぜ、それができたのか。そのころにはすでに、エスマートには確実な「顧客数」があったからです。
エスマートの店内には店主が目利きした品が並び、店内のあちこちには読むだけで楽しいPOP(店頭販促物)が貼られています。そして、行くたびに新しい情報に出合えます。店内には楽しそうなおしゃべりの声や、笑い声が絶えません。だから、エスマートには熱狂的なファンが数多くいるのです。
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