もう無理!運動の限界を決める「脳のメカニズム」 パフォーマンス最大化する「覚醒ゾーン」とは?
東洋経済オンライン / 2024年10月25日 8時0分
自律神経は筋肉の動きだけでなく、「疲れて苦しい、つらい」といった運動による苦痛感にも大きく関わっていると私は考えています。「苦しい、つらい」という感情が生まれると同時に自律神経も反応します。この状態を「情動」と呼びます。
情動は主に脳の「扁桃体」という、ストレスに強く反応する神経細胞が集まる場所で発生します。扁桃体で苦しいなどの感情を覚えると、交感神経が一気に活発になります。
運動により交感神経が活性化すると、心臓の働きを促進して全身に多くの血液を流そうとします。通常、交感神経の活性化は血管を収縮させますが、活動している筋肉の血管については、代謝産物やホルモンの影響により拡張します。
これが、運動中に都合よく筋肉に血液が集まるしくみです。しかし、強度を高めたかなりきつい運動で交感神経が活性化しすぎてしまうと、筋肉の血管といえど、拡張しづらくなって思うように血液が流れなくなります。すると、血液や筋組織に代謝産物がたまってくる。
代謝産物のうち、疲労物質と呼ばれるものは筋肉の動きを抑制したり、感覚神経を刺激したりします。そしてその情報は扁桃体にも伝わり、不快感を覚えると同時に交感神経が活発になる。運動が続くと、苦痛感に変わり、交感神経もさらに活発になるという負のスパイラルに陥ります。
そうすると、「もう無理だ!」となって運動を続けられなくなるのです。「苦しい、つらい」によって運動意欲が削がれた状態です。最後の最後、運動を制限してしまうのが情動なんですね。
ラットの実験でわかったメカニズム
――負のスパイラルからはずれて苦痛を感じなくなれば、強度が高い運動をもっと長い時間続けられるのですか。
ラットの実験で、扁桃体を破壊する前と破壊した後では、破壊後のほうが運動パフォーマンスが上がったという研究結果があります。おそらく、扁桃体の機能が抑制されることで交感神経の活動も抑えられ、筋肉の血管が収縮しにくい状態になっているからだと思います。
つまり運動をあきらめるほどの「苦しい、つらい」という感情の発生に遅れが生じているのでしょう。
――扁桃体の動きを抑えて、苦しい感情をできるだけ感じないようにして運動パフォーマンスを上げることはできるのでしょうか。
扁桃体はいわばリミッター(制御装置)です。筋肉に過剰な負荷をかけて体を痛めることがないように、そして命に危険が及ぶような生理的限界を超えないようにするためのもの。つまり、なくてはならない存在です。
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