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もう無理!運動の限界を決める「脳のメカニズム」 パフォーマンス最大化する「覚醒ゾーン」とは?

東洋経済オンライン / 2024年10月25日 8時0分

ただトップアスリートなどは競技中のミスで動揺(情動が変化)して、運動パフォーマンスが落ちることがないよう、失敗しても対戦相手にリードされても、平静を保つ、あるいは「とにかく勝つぞ」と闘争心を維持することができるように、メンタルトレーニングを積んでいるということはあります。

最大の運動パフォーマンスを発揮するには、リミッターをはずすことではなく交感神経と副交感神経のバランスが大事だと考えます。副交感神経が活性化しすぎて落ち着きすぎると、やる気や集中力が落ちてしまいます。

一方、交感神経が活性化しすぎた状態では、緊張や力みでいつもの動きができなくなってしまいます。このメカニズムはよくわかっていませんが、交感神経は筋肉内にあるセンサで、筋の緊張状態を調節している筋紡錘も支配していることが報告されています。

交感神経と副交感神経のどちらも適度に働いた「覚醒ゾーン」があり、最もいいパフォーマンスを発揮するならこの覚醒ゾーンを目指すといいでしょう。

軽い運動が仕事のやる気アップにもつながる

――競技によって「交感神経がどれくらい働くのがベストか」という程度は異なるのでしょうか。

競技種目によっては適正な水準はあると思います。例えば陸上競技ですが、個人差があるものの、スタートラインに立った時の心拍を測ると、短距離では速く、距離が長くなるにつれて、遅くなるという報告があります。

これはそれぞれの競技中に必要な交感神経の活動水準を反映していると考えられます。こうしたなかでも個人差がありますので、自分がよい成績を出したときの「覚醒ゾーン」を覚えておくといいと思います。

また、先ほど述べたように、交感神経が活発になると、緊張や力みでフォームが乱れるので、体操やフィギュアスケートなど審美系競技においても、自己記録を出した時の「覚醒ゾーン」を覚えておくといいでしょう。

短距離もそうですが、砲丸投げ、ウェイトリフティングなど瞬発力が求められる競技の場合、心拍数を上げて爆発的な力を出すために、交感神経を一時的にかなり優位としたほうがいい場合もあります。

サッカーやバスケットボールなどは試合の中で、強度が刻々と変化するので、どれくらいがベストかというのは一概には言えません。ただし、ペナルティキックやフリースローのときはリラックスして交感神経の過剰な興奮を抑えるようにしましょう。

――自律神経は意思でコントロールできないものですが、どうすればいいのでしょうか。

身体を動かすことで交感神経が優位になり、ゆっくり息を吐くことで、副交感神経が優位になり心拍数が落ち着きます。運動パフォーマンスを上げるには、運動に入る前の準備運動やストレッチ、深呼吸をするなどの自分なりのルーティンを決め、交感神経と副交感神経のどちらも適度に働いた「覚醒ゾーン」を目指すとよいでしょう。

――自分なりのルーティンでパフォーマンスを上げることは、ビジネスパーソンにも取り入れられそうですね。

実は運動すると、脳内でドーパミンという神経伝達物質の量が増えるんですね。すると集中力やモチベーションが上がる。ですので、仕事で疲れてきたときに、やる気を出すために運動をするのはおすすめです。その場で屈伸したり、スクワットしたりするだけでいいので、ぜひ試してみてください。

中原 美絵子:フリーライター

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