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絶望パスタの「ホームズ」チェーン展開の真相 こだわりオーナーシェフの味を次代に承継

東洋経済オンライン / 2024年11月23日 10時30分

苦労話:
発売当初なかなか売れなかったが、少しずつ病みつきになるお客様が増えていき、メディアでも取り上げられるようになって、絶望のスパゲッティを目的に行列ができるようになった。

話の種だけにでも食べたくなるだろうが、一度食べるとまた食べたくなる、そんな味なのだ。

そのほか、東京レストランツファクトリーと提携してオープンした店舗では、同社のピザ生地などのノウハウから、イタリアンメニューが追加されている。

これまでの業績としては、7月にオープンした池袋東口店の8月の売り上げは1000万円を超えた。坪あたりの売り上げで言うと50万円の計算になるそうだ。一般的には20万円程度だというから、かなり繁盛しているわけだ。

6月24日に開店した新潟県の長岡喜多町店も、オープン時の業績が続いている状況。また駅の乗降人員が10万人程度で不安要素があった成増アクト店も、ふたを開けてみれば予想以上に集客できた。鉄道の利用客だけでなく、近隣から訪れる自動車ユーザーが多かったことが勝因だったようだ。

もっとも重視しているのが「信用」

なぜここまで人を惹きつけることができるのだろうか。

ほかに似た料理がなく、一度食べたら記憶に刻み込まれる「絶望のスパゲッティ」の力は大きいだろう。それが38年間、グルメの中心地の1つである渋谷で人を集め続けてきた実績と結びついている。

長岡喜多町の店には、「懐かしい」と訪れた東京在住時にずっとファンだったという客も。出張や観光で上京して食べたという客も全国に少なからず存在すると考えられ、この後の地方の出店でも同様の効果があるのではと予想しているそうだ。今後、都内に銀座や恵比寿、下北沢のほか、名古屋、仙台、熊本などの地方都市にも出店し、まずは50店舗まで広げていく予定だ。

「ブランドを増やし、プロジェクトとして大きくしていく。そのためにもっとも重視しているのが信用だ。オーナーからは『味を再現できるか』はもちろん、『騙されているのではないか』という危惧を持たれることが多いためだ。成功事例を増やすとともに、東京商工会議所や自治体のような公的な機関にも協力をお願いしている」(川俣氏)

今回のプロジェクトの意義は、こだわりのあるオーナーが独自に守ってきた味を、共有できる形に置き換え、次世代に残したことだろう。これは簡単ではなく、東京レストランツファクトリーという会社自体に、食、そして職人に関わってきたノウハウがあったからこそ実現できた。

「豊かな外食文化を守りたい」という思いは、外食を愛する人の共通課題だ。オーナーシェフが安心でき、味を引き継いだ店も発展でき、客も喜ぶ「三方良し」がさまざまなやり方で広がっていくとよい。

圓岡 志麻:フリーライター

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