藤原道長「この世をば」歴史的名句が誕生した裏側 祝宴に集まった公卿たち、即興で詠まれた名句
東洋経済オンライン / 2024年11月23日 7時50分
道長は「即興で詠む歌だ」と前置きしつつ「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」と詠んだのでした。
「この世は自分(道長)のためにあるようなものだ。望月(満月)のように何も足りないものはない」
まさに栄華の絶頂の歌。実資は、道長の歌を聞き「何と優美な歌でしょう。これに応える術は私にはないので、皆で唱和致しましょう」と応じます。
そして、公卿たちは、道長の歌を唱和するのです。これが、有名な「この世をば……」が詠まれた背景です。
批判してきた実資もほめたたえる
実資は自らの歌で応えることはしませんでしたが、道長はそれを責めることはありませんでした。自らの歌が公卿らに唱和されたことに気をよくしたのでしょうか。
道長に対して、批判的なことを日記に書いてきた実資ですが、この歌に関しての批判は裏で特にしていません。「何と優美な歌でしょう」というのが本音だった可能性もあります。
(主要参考・引用文献一覧)
・清水好子『紫式部』(岩波書店、1973)
・今井源衛『紫式部』(吉川弘文館、1985)
・朧谷寿『藤原道長』(ミネルヴァ書房、2007)
・紫式部著、山本淳子翻訳『紫式部日記』(角川学芸出版、2010)
・倉本一宏『藤原道長の日常生活』(講談社、2013)
・倉本一宏『藤原道長「御堂関白記」を読む』(講談社、2013)
・倉本一宏『紫式部と藤原道長』(講談社、2023)
濱田 浩一郎:歴史学者、作家、評論家
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「光る君へ」道長(柄本佑)の「望月の歌」に反響続々 過去名シーンと重なる演出「解釈すごい」「深すぎる」
モデルプレス / 2024年11月18日 10時23分
-
「光る君へ」道具にされ三后辛辣!道長ついに「望月の歌」ネット反響「イメージ違う?」前日“同じ満月”
スポニチアネックス / 2024年11月17日 20時48分
-
「望月の歌」を詠んだ夜は満月ではなかった…NHK大河ですべては描かれない藤原道長が和歌に込めた本当の思い
プレジデントオンライン / 2024年11月17日 16時15分
-
祟りが原因?道長が重い病に苦しみ続けた背景 三条天皇は無礼を働いたと不満を漏らすことも
東洋経済オンライン / 2024年11月16日 7時40分
-
もはやNHK大河で主役級の存在に…中宮彰子が父・藤原道長を超えて天皇家と藤原家の頂点として君臨したワケ
プレジデントオンライン / 2024年10月27日 16時15分
ランキング
-
1スシロー「パペットスンスン」コラボに言及「追加販売を検討」 発売当日に一部完売したグッズも
ORICON NEWS / 2024年11月22日 17時45分
-
2農協へコネ入社の元プー太郎が高知山奥「道の駅」で年商5億…地元へのふるさと納税額を600万→8億にできた訳
プレジデントオンライン / 2024年11月23日 10時15分
-
3「無人餃子」閉店ラッシュの中、なぜスーパーの冷凍餃子は“復権”できたのか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月20日 6時15分
-
4【独自】船井電機前社長『不正を働いたことはない』 “破産の申し立て”は報道で知る「本当に驚いた。なんでこんなことに…」
MBSニュース / 2024年11月22日 18時20分
-
5ファミマ、プラ製スプーン「有料化」の実験結果を発表 大手コンビニで初、どうなった?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月21日 12時20分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください