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「またトラ」リスクは「トランプ四季報」で準備せよ 政治日程を考えれば「次のリスク」が見えてくる

東洋経済オンライン / 2024年11月23日 8時30分

最初はこの「冬」。すでに顕在化しつつある「気候変動問題」に関するリスクだ。今月はアゼルバイジャンで国連気候変動会議、COP29が開催された。途上国のための温暖化防止資金を討議することが主要テーマだったが、世界最大の経済大国で、CO2排出量第2位のアメリカが、来年にはパリ協定を再離脱するかもしれない。

各国は来年2月に温暖化ガスの排出削減目標を申告することになっているが、このままでは「脱炭素」に対する機運が失速することになりかねない。これが最初の「またトラ」リスクとなる。

筆者は、「脱炭素」の動きがこれで頓挫するとは考えていない。アメリカは再びパリ協定を抜けるだろうが、トランプ氏も国連気候変動枠組み条約を抜けるとまでは言っていない。そしてアメリカ国内では、州政府やNGO、そして企業など「サブ・ナショナル・アクターズ」が独自に気候変動対策を実施している。バイデン政権が行ってきた「インフレ抑制法」(IRA)による脱炭素事業も、共和党州で行われているものが多いので、トランプ政権下になってもほとんどそのまま実施されるとみる。

他方では、金融がらみの「脱炭素」の仕組みが気になるところだ。すでにテキサス州やフロリダ州などの共和党州では「反ESG法」が成立している。「意識高い系」(Woke)な投資は許さない、ということで、いわばアメリカ国内の政治的分断が影を落としている形。この動きは今後4年間で加速するだろう。

「春」は不法移民問題、「夏」は通商問題がネックに

お次は「春」のリスクだ。

年明け1月20日には第2期トランプ政権が発足する。新政権にとって大事なのは、「最初の100日」だと言われる。政権発足から100日目にあたる4月末を睨んで、次期政権が最初に取り組む課題は何だろう。

今回の選挙結果を振り返ってみると、ヒスパニック系の票が大きくトランプ氏に流れたことがわかる。「不法移民問題」に対するバイデン政権への批判票が集まったようで、次期政権にとってはこの問題が「一丁目一番地」となるだろう。そこで春に向けて、大規模な不法移民の強制送還作戦を始めるのではないか。

その場合は、真っ先にメキシコのクラウディア・シェインバウム大統領との関係が悪化することになるだろう。メキシコに進出している日本企業にとっては、大いに気になるところだ。

他方、大規模な不法移民の強制退去が行われれば、新たな移民の流入も減るだろう。アメリカ国内の建設、サービス、レジャー、農林水産業などの現場は、移民労働力に負うところが大きいので、性急な移民対策は国内の人手不足や物価上昇を招く恐れがある。長期的には、ようやく収まりつつあるインフレ再燃のリスクもあると言えるだろう。

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