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なぜか「尾骨」にあらわれる、人の"心のしんどさ" 心と体は「互いに」密接に影響し合っている

東洋経済オンライン / 2024年11月29日 16時30分

なぜなら、心の様子は体の様子にあらわれるからです。経験上、心に栄養や薬を与えても、それは一時の効果しかありません。むしろ、体にアプローチするほうが、心の「しんどさ」も解消しやすいと感じています。いちばん心と体のつながりがわかりやすい部位は、尾骨です。

たとえば、ワンちゃんはしっぽ(尻尾)で感情を表しますよね。うれしいことがあるとしっぽを高く上げ、ブンブンふる。叱られた後や怖いことがあったときは、しっぽをクルンと股の間にしまいます。人間も同じで、尾骨は感情をよく表す部分です。

以前、こんなことがありました。初めて操法(整体の指導を行うこと)にいらした女性に、うつ伏せになってもらったところ、一目で「骨盤が開いて下がって硬くなっている」とわかりました。

なにか大きなストレスを抱えているのかなと思い、尾骨とその上の仙骨に手を当てながら「いろいろ大変でいらっしゃるんですね」と静かに声をかけました。すると、彼女はせきを切ったようにダーッと泣き出したんです。ゆっくり話を聞いていくと、ご家族との関係で大きな悩みを抱えていらっしゃったようです。

また、こんな方もいらっしゃいました。激しい腰痛で奥さんに連れてこられたご主人。腰を診ると、仙骨は硬く尾骨はワンちゃんが叱られたときのように下がって巻いている状態でした。

「お仕事ができる方だけに、色々と大変でいらっしゃるんですね」とつぶやくと、そのご主人はガバッと起き上がって、「いや〜そうなんですよ、実はですね……」と、職場でのストレスや、仕事の相談ごとまで私にされました。全く知らなかった奥さんは、驚いていらっしゃいました。

帰り際スッキリした顔で「先生また来ます!」とおっしゃるので、「痛みがないなら来なくて結構ですよ。お家で奥さんと一緒にまくら体操(私が考案した「背骨」と「骨盤」にアプローチするセラピー体操のこと)してください」と言って見送りました。

その後、奥さんと一緒に体操に励み、ご家庭での夫婦の会話も増えて、腰痛も良くなったそうです。

心と体は「互いに」影響し合っている

人の体とはおもしろいものですね。そんなふうに、すこしメンタルが落ち込んでいる人や、やる気を失っていたり、引きこもり気味な人などは、たいてい腰が下がり、仙骨部分が硬く張り出し、尾骨がお尻の間に巻き込むような形になっています。

簡単に言えば、心が弱っている人は、姿勢が悪い場合が多く見られるのです。逆に、重いうつ状態だった人が、日常的に自分の体を整え、姿勢を改善していったことで、すっかり豊かな表情を取り戻すこともあります。

「気合いを入れたらできる」

「怖くないと思えば大丈夫」

「メンタルが強ければうつにはならない」

そんなふうに、心、いわば気の持ちようで「しんどさ」はどうにかなるものだと思っている人も多いかもしれません。でも、なかなかうまくいかないのが現実です。そして、心と体は「互いに」影響し合っているということも事実です。

心の様子が体の反応に表れることもあるし、それを心で止めようと思っても止められないこともある。体の反応で心の様子がわかることもあるし、体の状態が心を変えることもある。

だから私は、「しんどさ」を抱えて心だけに目を向けようとしてうまくいかないときは、ぜったいに体からアプローチするのが良いと思っています。

いちい 葉子:整体指導士、からだデザイン研究所主宰

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