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「働きやすい菓子店」が投げかける日本の大問題 従業員は全員女性「ロミ・ユニ」がしていること

東洋経済オンライン / 2024年11月29日 13時0分

約1年後、帰国しル・コルドン・ブルー東京校へ挨拶に行くと、転職して同校にいたルコント氏の元秘書に誘われ、同校事務局で働くことになった。やがてカフェブームが到来。周囲に乞われ、個人でカフェイベントの手伝いもする中で、頼まれて出したコンフィチュールが毎回驚くほど売れる。「このスタイルを誰かに真似されたら、一生後悔する」と、専門店開業を決意したのが2002年。

また、「ジャムだったら朝の品出しがないから、時間の自由が利きやすい。お菓子屋さんと違って、私のような“挫折組”の女性でも続けられる、すごい」という発見もあった。一般的な洋菓子店では、その日中に食べ切らないといけないクリーム類を仕込んで店頭に並べるため、早朝から夜遅い時間まで働くことが必要になるが、ジャムは賞味期限が長い。まもなく、コンフィチュール自体がブームになり、時代の波に乗る。

その後しばらくして、女性が1人で菓子やパンを製造販売する小さな店が増え始めるが、いがらし代表は独力での開業は選ばなかった。留学で貯金を使い果たしていたことに加え、「ある程度人数がいないと、週休2日は実現できない。最低でも販売が3人、製造が3人確保できる規模感が必要」と考えたからだ。

当時としては画期的な発想だが、「新規の事業を始めたい会社で、ブームの兆しが見えている商品を売る。こんなおいしい案件はないじゃないですか」と、企画書を作って売り込み続けた結果、「セルフィユというビン詰め食品の企画・小売りの会社の1事業部として、鎌倉の裏エリアで開業したんです」(いがらし代表)。

株式会社romi-unieとして独立したのは、2007年。1年後には東京・学芸大学に焼き菓子とジャムの店を開く(2024年6月に閉店)。焼き菓子の製造販売はこのときからで、めずらしい焼き菓子専門店と注目される。

スタッフは立ち上げ時の2004年から女性のみだが、それは人を募集したら自然に女性ばかりが集まったからだ。その間、社会保険制度も変わった。2000年には育休中の厚生年金保険料の事業主負担分が免除され、2012年には産前産後休暇の本人および事業主の負担が免除される。中小企業の事業主に重い負担だった、休暇中のスタッフの社会保険料免除は、同店が多様な働き方を受け入れる後押しになった。

正社員ともパートともキャリアについて話す

11月現在、20〜50代の従業員の雇用形態はさまざまだ。正社員21人のほかに、130時間以上働き社会保険に加入する契約社員が4人、扶養の範囲内で月20時間未満働くサブ・パートタイマー14人、月20時間以上働くパートタイマーが2人いる。育休中や時短勤務中の従業員もいる。

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