韓国大統領の戒厳令は「政治的自殺」だったのか 夫人の醜聞、閣僚弾劾などで追い詰められたか
東洋経済オンライン / 2024年12月5日 10時0分
尹錫悦大統領が2024年12月3日深夜に戒厳令を宣布したが、戒厳令を出した理由とその過程については、いまだに納得できる理由が示されていない。一部では「大統領の政治的自殺」という見方も出ているほどだ。
尹大統領は沈黙を続け、戒厳令を出した背景について百家争鳴の中、夫人である金建希(キム・ゴンヒ)氏がかかわる不正疑惑を捜査する「特別検察法」が国会で議決される可能性が高かったことが、尹大統領にかなりの圧力になっていたのではないかという指摘が注目されている。
野党からの政治攻勢が負担に?
尹大統領は12月4日午前1時頃に国会が「非常戒厳解除要求決議案」を通過させ、その3時間半後となる同日午前4時27分に戒厳令の解除を発表した。国会議員の過半数の賛成で戒厳令の解除を要求すれば、これを解除しなければならないという憲法第77条による措置だった。
2024年8月ごろ、最大野党「共に民主党」が戒厳令の可能性を取りあげたことがあった。これが広く知られていたため、尹大統領が憲法の規定を知らなかったという可能性は低い。
それにもかかわらず、尹大統領はなぜ戒厳令を出したのか。与党「国民の力」のある関係者は、「野党による弾劾、立法、予算案審議の遅れに対し『これ以上、我慢できない』と考えて戒厳令を出したのでは」と説明する。
もしそうなら、国政がまひしてこれ以上の混乱を避けるために、「憲法の守護者」として不可避な決定を下したということだ。
この関係者は閣議などで合法的な措置を行い、戒厳軍には空砲だけを支給したと明らかにしたうえで、「もしかしたら、大統領はそこまで思い詰めていたのかも」と言う。
しかし、「憲法の守護者」として戒厳令を宣布したという説明を、そのまま受け入れることは難しい。
一部では、金建希氏に対する特別検察法が再議決されるのを前に、与党からこれに賛同する議員が出てくる可能性を恐れて「政局全体を思い切って変えてやろう」と政治的に無理な決断をしたのではという見方もある。
また、尹大統領夫妻が2024年の総選挙で公認候補者選びに介入したという疑惑が浮上したままだが、この疑惑のキーパーソンとなるミョン・テギュン氏が拘束・起訴されたことも、決断に影響したのではという指摘も出ている。
政局を根底から変えようとした?
大統領府のある参謀役は、「いずれにしろ任期が来れば辞めるのだから、朴槿恵(パク・クネ)元大統領のように弾劾されて罷免されるような事態を招いてはいけない、であれば情勢を根本から変えてみようという判断があったのでは。金氏に対する特別検察法が国会で通過されればおしまいだという危機意識があったのだろう」と言う。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
「投資家逃げたら韓国は…」戒厳令、韓国人の本音 保守派でさえ理解できない尹大統領の謎行動
東洋経済オンライン / 2024年12月6日 10時0分
-
室谷克実 深層韓国 「6時間戒厳令」の愚 夫人の「白いラッキョウ女」かばい続け…尹氏自ら墓穴「大統領の器」ではなかった 来年「赤い韓国」誕生が確実視
zakzak by夕刊フジ / 2024年12月6日 6時30分
-
混迷する韓国政局 尹大統領、非常戒厳を宣布から6時間後に解除 野党は弾劾訴追案提出
産経ニュース / 2024年12月4日 19時38分
-
韓国の野党、大統領の即時辞任迫る 非常戒厳宣布 与党も国防相解任を要求
産経ニュース / 2024年12月4日 10時45分
-
韓国大統領「非常戒厳」宣布で起死回生狙ったか 戒厳司令官を任命、国会議長は戒厳無効を宣言
東洋経済オンライン / 2024年12月4日 3時45分
ランキング
-
1沖縄駐留の米海兵隊、グアムへ移転開始 「ロードマップ」から18年
毎日新聞 / 2024年12月14日 17時49分
-
2福島第一「除染土」処理、石破首相が閣僚会議の設置を正式表明…「政府一体で県外最終処分」
読売新聞 / 2024年12月14日 20時24分
-
3自転車運転中に公園内の崖から転落、管理する町が和解金550万円支払いへ…旭川地裁「町の過失8割」
読売新聞 / 2024年12月14日 6時49分
-
4「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン / 2024年12月14日 7時15分
-
5背中に熱湯、自宅襲い暴行…長期の陰湿いじめで「支配」 板橋の踏切自殺強要事件
産経ニュース / 2024年12月14日 20時33分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください