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「このマンガがすごい!2025」から読み解く"異変" 刊行20年、ベストテンはどう変わってきたか?

東洋経済オンライン / 2024年12月11日 14時0分

今回の『このマンガがすごい!2025』は、2005年末刊行の第1弾『このマンガがすごい!2006』から数えてちょうど20年目。マンガの年間ランキング本の歴史を振り返れば、1996年の『このマンガがえらい!』(宝島社)、2001年の『このマンガにハマる!』(二見書房)、2004年の『このマンガを読め!2005』(フリースタイル)といった先行例がある。それ以前にもマンガ情報誌「ぱふ」(雑草社)の読者投票による年間ベストテン特集などがあった。

つまり、『このマンガがすごい!』が元祖ではない。1年早く始まった『このマンガを読め!』は雑誌「フリースタイル」の年末恒例特集として継続している。しかし、現在の一般読者の認知度や市場への影響力においては、『このマンガがすごい!』と2008年創設の「マンガ大賞」が双璧と言えよう。

2005年から20年の間に、日本社会は大きく変化した。奇しくも2005年は「小泉劇場」と呼ばれた衆院選で自民党が圧勝し、郵政民営化法が成立した年だ。JR福知山線脱線事故、ライブドアによるメディア買収騒動、マンションの耐震偽装問題に揺れ、YouTubeがスタートした年でもある。いわば、今の日本社会が抱える病巣の発火点となった年と言っても過言ではない。そこから非正規雇用が増え、賃金は上がらず、円安が進み、陰謀論がはびこる。国民生活は総じて不安定になった。

ひとつの転換点は、2011年末発売の2012年版

そうした社会状況の変遷を『このマンガがすごい!』のランキングから読み取れるかというと、正直難しい。が、歴代のベストテンを眺めていて気がついたのは、2011年末発売の2012年版がひとつの転換点になっているのではないか、ということだ。

2011年版までは、ベテランから中堅作家による比較的メジャーな作品が主体だった。たとえばシリーズ第1弾となった『このマンガがすごい!2006』のベストテンは、次のようなラインナップだ。

[オトコ編]
1位 PLUTO/浦沢直樹(原案:手塚治虫)
2位 DEATH NOTE/作:大場つぐみ・画/小畑健
3位 失踪日記/吾妻ひでお
4位 働きマン/安野モヨコ
5位 鋼の錬金術師/荒川弘
6位 ホムンクルス/山本英夫
7位 もやしもん/石川雅之
7位(同票)おおきく振りかぶって/ひぐちアサ
9位 キーチ!!/新井英樹
9位(同票)団地ともお/小田扉

[オンナ編]
1位 ハチミツとクローバー/羽海野チカ
2位 のだめカンタービレ/二ノ宮知子
3位 NANA/矢沢あい
4位 バルバラ異界/萩尾望都
5位 プライド/一条ゆかり
6位 大奥/よしながふみ
7位 フラワー・オブ・ライフ/よしながふみ
8位 きせかえユカちゃん/東村アキコ
9位 シュガシュガルーン/安野モヨコ
10位 舞姫 テレプシコーラ/山岸凉子

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