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インド、巨大な手つかず市場「低所得者層」を狙え ヤマ発、テラモーターズが挑む2輪・3輪の新事業

東洋経済オンライン / 2024年12月13日 9時0分

ヤマハ発動機が2021年に設立したインドの現地子会社モト・ビジネス・サービス・インディアの中尾社長(記者撮影)

インド南部に位置する大都市ベンガルール(バンガロール)。人口は1000万人を超え、IT産業が活況なことから「インドのシリコンバレー」とも呼ばれる。市内中心部の官庁街から幹線道路沿いに南へ1時間ほど車で向かうと、そこには整備を待つ数百台のバイクがずらり。巨大IT都市のもう1つの顔が見えてきた――。

【写真で見る】テラモーターズがまもなく投入予定の高速3輪EV

「毎日11〜23時まで働いて月収は3万5000ルピー(6.3万円)。そのうち、2万ルピー(3.6万円)を故郷の家族に仕送りしている。将来の夢は自分の家を持つことさ」。コルカタ出身のバハドゥール・マリック(22)さんは、車輪に泥がついたバイクを横目に笑顔でそう夢を語る。

バハドゥールさんは現在、「Zomato(ゾマト)」というフードデリバリーアプリのドライバーとして生計を立てている。インド版ウーバーイーツの配達員だ。以前は、建設現場で働いていたが、1年ほど前からより稼げる配送ドライバーの仕事を選んだ。

IT企業で働く高収入のエンジニアらが数多くいるベンガルールでは、ゾマトやインド版アマゾンの「Flipkart(フリップカート)」などの利用者が急増し、それに合わせて物流需要も急速に拡大している。

そのため、市内各地にあるテックパークの周辺には配送拠点が次々に形成され、バハドゥールさんのように大都市で仕事を求める地方出身の出稼ぎ労働者が自然と集まってくる。

貧困から抜け出すために

インドでは、最大時速25km以下の低速バイクは運転免許が不要で誰でも乗ることができる。バハドゥールさんのような出稼ぎ労働者にとって、配送ドライバーは「すぐに始められるし、自分の努力次第で稼げる」仕事だという。

一方、こうした出稼ぎ労働者の多くは自らバイクを買う経済的余裕がないのも事実。また、インドでは舗装されていない悪路を走ることが多く、バイクの整備費用もばかにならないうえ、修理中は仕事ができなくなってしまう。配送により得た収入のうち3割がランニングコストに消えると言われており、貧困から抜け出せない要因の1つとなっている。

こうした社会課題の解決に、ビジネスチャンスを見出す日本企業がある。2輪大手のヤマハ発動機だ。2021年に設立した現地子会社モト・ビジネス・サービス・インディア(MBSI)が、インドで2輪のリース事業を展開。仕事道具としてバイクを貸し出すことでインドの低所得者層に現金収入を得る機会を提供している。

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