インド、巨大な手つかず市場「低所得者層」を狙え ヤマ発、テラモーターズが挑む2輪・3輪の新事業
東洋経済オンライン / 2024年12月13日 9時0分
また内燃機関に強みを持つヤマハ発動機は現在、インド市場に2輪EVを投入していないが、商用車が顧客の中心であるMBSIでは保有車両の7割弱が他社製のEVだ。インドでは高いガソリンコストと充電やメンテナンスにかかるコストの差で、長く使うほどランニングコストでEVの優位性が出てくるからだ。
「内燃機関中心で最初は考えていたが、実際にインドに来るとビジネスユースではEVの需要が強い。いやおうなしにEVを使わざるをえない」(中尾社長)。今後インドで電動化が一気に進んだときに、グループ全体として事業のリスクヘッジにもなる。
MBSIは事業開始から3年で単月での黒字化を達成、2024年は通年でも黒字化する見込みだ。中尾社長は「すでにインドの人口の85%をカバーする17の州・地域で営業許可を取っている。今後3年で5倍(保有台数)の成長を目指す」と語る。
インドで普及する交通手段といえば「オートリキシャ」の呼び名で知られる自動3輪車。日本の「人力車」から名前を取ったインドの乗り合いタクシーだ。都市部をはじめ広くインド社会に浸透しており、タクシーやバスのような公共交通機関として庶民が日常的に利用している。
インドのオートリキシャにも近年、EV化の波が押し寄せている。環境汚染が深刻なインドでは補助金政策が導入され、とくに商用車が主体の3輪ではガソリン価格の高騰によるランニングコストも意識され、販売におけるEV比率は5割を突破した(2輪は5%、4輪は2%)。インドの3輪EVの販売規模は2021年の約15.6万台から、2023年には63万台と急拡大している。
3輪EVを自社開発し、インドの低所得者層の生活を支援しながら攻勢をかけているのが日本発のベンチャー企業であるテラモーターズだ。
20%成長でトップシェア争い
テラモーターズは2015年からインドでオートリキシャを電動化した3輪EVの販売を開始した。年平均20%程度の成長を続けており、現在は年間2万台弱を販売しているという。「シェアは4~5%で推移していて、間違いなくインドでトッププレイヤー群に入っている」(上田晃裕社長)。2023年度には黒字化も果たした。
成長の背景の1つに、「ドライバーの雇用を生んで、低所得者層の所得を底上げしてきたことがある」と上田社長は胸を張る。インドでは、オートリキシャの運転手は地方からの出稼ぎ労働者が始める代表的な商売の1つだ。
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