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SAPIX講師が脈々と受け継ぐ「教えすぎない」の妙 算数の力を上げるために必要な「思考」と「習得」

東洋経済オンライン / 2024年12月14日 14時0分

しかし、あまりにも教えられることに慣れてしまうと、「わからないことは聞けばいいや」「待っていれば教えてくれる」という姿勢が身についてしまいます。

とくに算数という教科では、「教わればわかるけれど、自分で考える(手を動かす)ことは苦手」になってしまいます。

子どもに「教えて」と言われたら?

教えすぎないことが重要な一方で、子どもに「教えて」と頼まれたのに「自分で考えよう」と断ってしまえば、「もういいや」とあきらめてしまう可能性もあります。

一度心のシャッターが下りてしまうと、そこからまた興味を持ってもらうのは大変なことです。「がんばったらできるかもしれない」という段階まで教えることを目標に、つかず離れず調整しながら接していけるとよいでしょう。

大切なことは、子どもが自分で考えられる余白を残しておくこと。
SAPIXでは「ここまでは教えて、ここからは自分で考えてほしい」という切りわけをしています。

「ここはこういうふうにすればわかるはずだから、1回自分で解いてみよう」とうながします。しかし、その塩梅(あんばい)が算数を教えているプロの先生でもとても難しいのです。まして、ご家庭であればなおのことでしょう。

さらに言うと、どこまでの範囲を教えて、どこからは自分で考えたほうがいいのか、すべての子どもにあてはまる正解はありません。

ただ、どの子どもにおいても思考する機会を奪ってはいけないということは共通しています。

たとえば、算数の問題を解くのに方程式の知識を持ち込んでしまうと、本来は子どもがもう少し試行錯誤して視野を広げたほうがいいタイミングだったとしても、先に効率的に解く方法を習得して思考する余地がなくなってしまいます。

また、大人が教えすぎることで子どもがうんざりしてしまい、勉強への抵抗感を抱く可能性もあります。

「叱られても仕方がない」と子どもが思っていることでも、1時間ずっとお説教をされ続けると誰でも飽き飽きしてしまいますよね。

この場合と同じように、1つの問題が解けないからといってずっと教え続けられると、「面倒だな」「できたことにしちゃいたいな」といった気持ちが湧いてくるのは自然なことです。

問題の情報整理を手伝う意識で教える

大人は子どもに「勉強を教える」という姿勢ではなく、「問題の情報の整理を手伝う」「思考をうながす」といった接し方をすることがおすすめです。

「この部分ではどう思ったの?」

「この問題には、どんなことが書いてある?」

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