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「パーカーおじさん」堀江氏の怒りがド正論なワケ "おじさんイジり"がNGになった、現代の切実な事情

東洋経済オンライン / 2024年12月14日 12時0分

私は特に管理職や経営層に特化したハラスメント研修を多く行っていますが、参加者からは、多くの管理職が恐怖心から適正な業務指示や指導もできずに困っているという声をたくさん聞きます。

ではどのような指示だったらいいのか。前述のパワハラ3要件に加えて、厚労省の「パワハラ6類型」がその基準となっています。

1:身体的な攻撃

2:精神的な攻撃

3:人間関係からの切り離し

4:過大な要求

5:過小な要求

6:個の侵害

たとえば、終業18時の会社で、金曜の16時半過ぎに「明日までによろしく」と、数時間以上かかりそうな業務を指示することは4にあてはまり、ハラスメントの可能性ありです。

ただ、年度末や繁忙期、ビッグイベントの前日など、突発業務が十分に予見される時期だったり、単に1回依頼しただけだったりする場合は判断できません。

リストラ部屋などに収容して何もさせず放置するなど、精神的苦痛を与える行為は5の過小な要求にあてはまります。

前述のパワハラ3要件を満たし、6類型に該当する行為はダメだと、明確に規定があるのです。

「おじさんのパーカー」を見かけたら?

では、フジテレビの件のように緊張している新人の緊張をほぐしたい場合や、今回の論争のもとである「商談でパーカーを着ている中年男性」と仕事をともにすることになったら、どう対応すべきでしょうか?

答えは明確です。

「何もしない」、これに尽きます。

宗教上肉が食べられない人、身体的にしにくい動作がある人、すごく体重が多い人/少ない人。いずれも業務上の必要性が無い限り、否定的な扱いをしてはならないのと同じように、見た目の良し悪しもそうなのです。

現代においては、マジョリティの美的価値観が優先されるのではなく、人それぞれの価値観を優先し、あらゆる人の機会を増やすことが求められています。これが、「ダイバーシティ&インクルージョン」です。

パーカーを着た結果、商談に失敗したら? パーカーを着たことが原因かどうかを含め、商談失敗の責任を追及するのは何も問題ありません。原因を「パーカーを着たから」だと断定することが問題なのです。

カジュアルすぎるスタイルが、ビジネスにおいて不利になることは十分あり得ます。しかしその原因をパーカーだと決めつける行為は許されないでしょう。

明らかにパーカーが商談に不適切と感じたなら、その格好で商談は大丈夫なのか話し合うことはまったく問題ありません。合理的な証拠に基づかない価値観を、立場的に優位にある人が一方的に決めつけ、押しつけることがダメなのです。

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