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「遺伝子組換えでない」の表示がめっきり減った訳 「遺伝子組み換え食品」は本当に危険なのか

東洋経済オンライン / 2024年12月20日 16時0分

(写真:ナオ/PIXTA)

バターはいいけど、マーガリンには健康に悪い、オーガニック食品は安心で、中国産の食品は危ない……。ネットやテレビ、あるいは知人などの会話から、私たちは日々食品に対するさまざまな情報を仕入れ、中にはそれが“常識”となっているものもある。しかし、私たちが盲目的に信じている食品に関する情報ははたして本当なのか。

本稿では、科学ジャーナリストの松永和紀氏著『食品の「これ、買うべき?」がわかる本』より、遺伝子組み換え食品の安全性について紹介する。

そもそも「遺伝子組み換え」ってどういうこと?

遺伝子組換えは、品種改良の技術です。植物や微生物が持つ遺伝子を、別の植物に組み込んで新しい性質を付加したり、微生物に導入して有用な物質を効率よく作らせたりします。

遺伝子組換えにより特定の除草剤に耐性を持つようになった作物は、その除草剤をかけられても枯れません。種まきをして大きく育っている途中でその除草剤を散布すると、雑草は枯れますが作物は生き残りすくすく育ちます。これにより、雑草を抜く手間が省けます。

害虫を殺す物質を作物の体内に作るように遺伝子組換えした作物もあります。害虫は作物を少しかじって死ぬので、害虫の被害が減ります。遺伝子組換えにより作物の中で作られるようになった物質が、害虫の消化管内の受容体と結合し殺虫効果を示すのです。ヒトがこの物質を食べても、ヒトの消化管内では分解されず受容体もないので、なんの害もありません。

遺伝子組換えされた大豆やとうもろこし、なたねなどは、アメリカやカナダ、ブラジルなどで大量に栽培されています。小麦については、除草剤耐性と干ばつ耐性が付加された品種がアルゼンチンで商用化されていますが、日本には輸入されていません。

そのほか、遺伝子組換えされた微生物が、酵素の製造に用いられています。酵素は食品添加物として使われています。遺伝子組換えされた微生物自体は酵素の製造過程で取り除かれ、食べられているわけではありません。

遺伝子組換え技術はもともと、医薬品の世界で利用が進みました。ヒトのインシュリンや成長ホルモンなど、遺伝子組換え微生物が作っている医薬品が多数あります。たとえば、糖尿病患者に投与されるホルモンであるインシュリンは、以前は豚から取られ使われており、高価でした。

そのうえ豚のインシュリンはヒトのインシュリンと少し異なるため、副作用もありました。しかし、1970年代にヒトのインシュリンが遺伝子組換えされた微生物で生産されるようになって、大勢の糖尿病患者が安く高品質のインシュリンを得て救われました。

なぜ微生物の遺伝子を植物に?

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