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ブーム伸ばす謎のF-15「イーグル」!? 米空軍が進める戦闘機の汎用化 “中国との戦争”見据えてか

乗りものニュース / 2024年9月23日 6時12分

アメリカ空軍のF-15E「ストライクイーグル」(画像:アメリカ空軍)。

アメリカ空軍でF-15E「ストライクイーグル」多用途戦闘機化が推し進められています。なかでも注目すべきは空中給油機仕様。ただ、空中給油ポッドを付けた戦闘機は過去にもありました。それらと何が違うのでしょうか。

F/A-18の空中給油機仕様とは根本的に異なるワケ

 2024年現在、アメリカ空軍はF-15E「ストライクイーグル」戦闘爆撃機を空中給油機にも転用可能にするための装備を開発中です。

 戦闘機を空中給油機とする装備自体は新しいものではなく、通称「バディポッド」として世界各国で使用されています。たとえば、アメリカ海軍のF/A-18E/F「スーパーホーネット」も同様の装備を使用しています。

 既存のバディポッドはすべて「プローブアンドドローグ」方式を採用しています。この方式では、空中給油機が曳航する「ドローグ」に対し、燃料を受け取る側が「プローブ」を差し込んで接続します。ドローグ付きの燃料タンク(バディポッド)を外装することで、比較的簡単に空中給油機に改造できます。

 既存のバディポッドをアメリカ空軍の戦闘機に搭載することは難しくありませんが、アメリカ空軍の戦闘機は「プローブアンドドローグ」ではなく「フライングブーム」方式を採用しているため、そのままでは互換性がありません。そこで、アメリカ空軍は新たにフライングブーム方式のポッドを開発し、それをF-15Eに搭載できないか検討しているのです。

 フライングブーム方式では、空中給油機が燃料を受け取る側のレセプタクルにブームを差し込んで接続しますが、ブーム操作員(ブーマー)が必要となるため、空中給油機は大型機に限られてきました。フライングブーム式バディポッドがこれまで存在しなかった理由は、このブーマーの問題を解決できなかったことが最大の要因です。

 しかし、近年のコンピューターやセンサー、ソフトウェアの改善により、ブーム操作を自動化する自動空中給油装置の性能が向上し、ブーマー問題の解決に目処が立ちました。

戦闘機まで空中給油機化、なぜ?

 新しいバディポッドは既存の600ガロン(約2300リットル)外部増槽を原型とし、プラットフォームに依存しないことが条件となっています。F-15Eの後は、他の戦闘機やビジネスジェットの空中給油機化も想定されています。

 アメリカ空軍はKC-135、KC-10、KC-46などの大型空中給油機を500機以上保有しており、これは世界の空中給油機の過半数以上に相当します。現在でも十分な数を保有していると言えますが、なぜ、さらにF-15Eやその他の飛行機に空中給油機としての能力を与えようとしているのでしょうか。

 それは前線で空中給油できる能力を維持するためです。昨今、アメリカ政府は従来の対テロ戦争ではなく、国家間戦争(対中国)へ軸足を置こうとしています。

 対テロ戦争では多くの場合、相手がテロリストや武装集団など対空能力を持たない相手であったため、空中給油機は事実上どこへでも展開することができました。しかし強力な対空能力を持つ敵国家との戦闘においては、旅客機をベースとした空中給油機は脆弱な目標であり、より後方で空中給油せざるを得なくなると考えられます。

 F-15Eであれば高度な自己防御システムを装備し、自衛戦闘も可能です。また、他のミッションを担う戦闘機に随伴できる高い機動性を備えており、既存の空中給油機では難しい最前線近くでの空中給油も可能となります。

 さらに、戦闘能力を持った無人戦闘航空システムが実用化された後は、これを24時間以上継続して戦闘空域に留まらせるといった使用法も考えられます。

 現在、航空自衛隊では空中給油機を大幅に増やしています。その一方で既存のF-15の多用途機化を進めていることから、前出の新しいフライングブーム式のバディポッドを調達する可能性も、十分あると言えるかもしれません。

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