高輪ゲートウェイ駅の「ゲートウェイ」は何なのか 背景にJR東日本の社運を賭けた事業

乗りものニュース / 2019年11月17日 6時0分

工事中の高輪ゲートウェイ駅(2018年7月、草町義和撮影)。

JR東日本が田町~品川間の車両基地跡地を再開発し国際的な交流拠点を整備します。コンセプトは「グローバルゲートウェイ 品川」。社運を賭けたこのプロジェクトの期待と役割は、高輪ゲートウェイ駅の名前にも込められています。

山手線・京浜東北線が一部区間で運休

 2019年11月16日(土)、JR東日本が田町~品川間で山手線と京浜東北線の線路切り替え工事を行い、山手線は大崎~田町~上野間が16時ごろまで運休、京浜東北線は品川~田町間が終日運休しました。山手線の運転見合わせを伴う工事はJR東日本発足後、初めてといいます。

 品川駅とその周辺では、2011(平成23)年から車両基地の再編と駅改良および新駅設置工事が進められています。今回の工事は、新設される「高輪ゲートウェイ駅」を2020年3月に暫定開業させるための最後の線路切り替え工事でした。

 品川~田町間の広大な車両基地のルーツは、日本初の鉄道建設のときまで遡ります。このとき線路の敷設にあたって、品川~田町間は陸上に線路用地を確保できず、海上に堤を建設して線路を通しました。鉄道の発展に伴い車庫や工場の拡張が必要になるたびに、沖に向かって埋立て地は広がっていきました。その結果、最終的には約20ヘクタールもの広大な車両基地が誕生したのです。

 車両基地の西半分を再開発し、新駅の設置と国際的な交流拠点の開発をしようというのが、今回の計画の骨子です。この大胆な計画は、東北本線と東海道本線を結ぶ東北縦貫線(上野東京ライン)の開業とともに、機関車や客車の運行が終了し、車両基地内の一部の施設が必要なくなったこと、首都圏の南北に分かれていた車両基地を一体的に運用できるようになったことを背景に進められました。車両基地内を大幅に造り変えることで、車両基地の半分以上、13ヘクタールもの広大な敷地をねん出することが可能になりました。

 六本木ヒルズ(東京都港区)が約12ヘクタール、東京ミッドタウン(同)が約10ヘクタールであることからも、計画の壮大さがうかがえます。

「ゲートウェイ」は街のコンセプトだった

 車両基地跡地の開発は始まったばかりで、本格的な街開きは5年後の2024年の予定です。再開発のコンセプトは「グローバルゲートウェイ 品川」。世界中から先進的な企業と人材が集い、多様な交流から新たなビジネス・文化を生み出す「新・国際交流拠点」を形成しようという意気込みで、開発を担うのはJR東日本です。同社は駅の再開発には実績がありますが、駅周辺の本格的な都市開発事業は初めての経験です。

 駅名発表時に各方面から批判と戸惑いが寄せられた「ゲートウェイ」とは、JR東日本が社運をかけて開発に挑む街のコンセプトそのものであったわけです。

 ゲートウェイとは、元々は「門扉(gate)がついた入口、道(way)」を意味する言葉ですが、IT業界では「異なるネットワークを接続する機能」という意味もあるそうです。

 江戸時代、高輪ゲートウェイ駅の付近には、東海道の江戸の出入口として「高輪大木戸」が設けられていました。JR東日本は駅名を決定した理由のひとつに、古来より街道が通じ、江戸の玄関口としてにぎわいをみせた場所であることを挙げています。高輪ゲートウェイ駅も、街の玄関口、東京都心の玄関口としての役割が期待されていることは言うまでもありません。

 しかし、グローバルを冠するこの街の視線はさらに遠く、海外に向いています。「グローバルゲートウェイ 品川」は、隣接する品川駅をターミナルとする中央リニア新幹線で名古屋、大阪と、乗換駅となる泉岳寺駅から京急電鉄で直結する羽田空港で国内外とつながることから、世界から先進企業と人材を呼び込むアジア屈指の交通集積地を目指して開発が進められています。

JR東日本が都市開発に乗り出す理由

 なぜ、JR東日本は都市開発にチャレンジするのでしょうか。2018年に発表されたJR東日本グループ経営ビジョン「変革2027」の冒頭には、今後の経営環境の変化に対する大きな不安がつづられています。

 たとえば人口減少です。東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)の人口は当面、微増ないし横ばいが続く見通しですが、同社の事業エリアの過半を占める東北地方(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)では、2040年までに3割近くの人口減少が見込まれています。

 また2020年以降、働き方の変化やネット社会の進展、自動運転技術の実用化などにより、鉄道による移動ニーズの縮小が想定されます。この結果、鉄道事業の利益が急激に減少し、東京圏の利益でエリア全体を支えられなくなるリスクがあります。そこでJR東日本は、2027年までに関連事業の売上比率を現在の3割から4割まで引き上げたいとしています。

「グローバルゲートウェイ 品川」に求められるのは、今後、日本に限らず世界各地で展開が可能な国際水準のまちづくりです。にぎわいのある広場・歩行者ネットワーク、MICE(会議、学会、見本市など多くの集客が見込まれるビジネスイベント)・オフィス施設、商業・文化施設、外国人向け住宅など、世界から注目される最先端の都市基盤・機能・環境を整備します。

 また、この街はJR東日本グループが挑む「新施策のショーケース」と位置付けられ、水素社会への取組み、新駅での鉄道と二次交通の連携、スタートアップ支援、新たなアイディアを試すラボ機能など、同グループのリソースを活用し、社会の変化に対して、様々な提案ができる空間になることが期待されており、文字通り、社運を賭けたプロジェクトになるというわけです。

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