「ヒトラーをどう撮るべきか、悩みました」大根仁(演出)「東京がオリンピックを返上する流れを、できるだけ正確に」訓覇圭(制作統括)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

エンタメOVO / 2019年9月27日 18時55分

大根 ベルリン大会が終わり、東京パートに移った終盤以降は井上さんの担当です。ああいう軍人が出てくるような会議の場面は、慣れているNHKの演出家の方がうまく撮ってくれるだろうと。第36回のラストから直結する第37回が井上さんの担当だったこともあり、僕の方からお願いしました。

-これまでも、お二人の共同演出が何度かありましたが、その狙いは?

大根 1話の中に複眼的な演出が入ってくると、今までにないものが出来上がるのではないかと。「共同演出をやろう」という話は、僕が「いだてん」に参加したときから井上さんとしていました。本当は「このシーンはこの人」というように、それぞれの演出家が得意分野を撮って一つにするようなこともやりたかったのですが、演出家が3人以上いると、現場も混乱するだろうと。その結果、僕と井上さんで3回ほどやりましたが、中でも第36回は、コメディー要素あり、女性スポーツの描写もあり、時代の波に飲み込まれていく大河ドラマらしい重苦しい空気も描くことができ、最も僕なりの理想に近い形になりました。

-ナチスやヒトラーを描く上で心掛けたことは?

訓覇 ムッソリーニもそうですが、ヒトラーとのやり取りをどう描くかについては、具体的な会話の記録が残っていないので、不安がないわけではありません。でも、それを理由に避けて通るようなことはしたくありませんでした。日本の映像作品に今までどれぐらいヒトラーが登場しているのかは分かりませんが、少なくとも「いだてん」では、きちんと役者に演じてもらうことを大事にしたいと。だから、はっきり「こうだった」とは言えませんが、残っている事実の中から、僕らなりに「恐らくこうだったのでは…?」と推測して、フィクションとしてこの時代と正面から向き合いたいと思いました。

-ユダヤ人通訳ヤーコプのエピソードに、モデルとなった方はいるのでしょうか。

訓覇 ベルリンの選手村の村長代理の方の実話が基になっています。それを、通訳のヤーコブに置き換えて描きました。

-この物語を通じて、視聴者に伝えたいことは?

訓覇 この時代を、エンターテインメントとしてしっかり見せたいというのが第一です。僕も近現代史に詳しいわけではありませんが、この作品が興味を持つきっかけになってくれたら…と。そこには、それぐらい「この時代を扱ってこなかった」という思いがあります。だから、ベルリンがどんな大会で、その後、東京がオリンピック開催を返上する…という流れは、できるだけ正確に伝えたいと考えています。

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