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なぜインフルエンザなどのウイルスに抗生物質が効かないの?

ウェザーニュース / 2018年11月15日 11時15分

ウェザーニュース

抗生物質は1930年代に実用化され、人類の寿命を延ばした20世紀最大の発見の一つと言われます。万能の薬のように思えますが、インフルエンザやノロウイルスなど、ウイルス性の感染症にはまったく効きません。なぜ抗生物質はウイルスに効かないのでしょうか。

ウイルスは細胞を持っていない

抗生物質は現在、約70種類が使われ、このほかに半合成抗生物質も約80種類が利用されています。抗生物質が効くのは細菌で、抗生物質は細菌の細胞壁合成を阻害したりして増殖を抑え死滅させるのです。

しかし、ウイルスはタンパク質の殻とその中に入っている核酸(DNAやRNA)からなり、生命の最小単位である細胞を持っていません。細胞がないのですから、細胞壁の合成を阻害するなどして細菌を死滅させる抗生物質では、ウイルスに対して歯が立たないのです。

インフルエンザには抗ウイルス薬

インフルエンザはウイルス性感染症なので抗生物質は効きませんが、抗ウイルス薬なら効きます。ウイルスは人や動物の細胞内でしか生存・増殖できませんが、抗インフルエンザ薬は細胞内で増殖したウイルスを細胞内から出られなくしたり、細胞内でウイルスが増殖するのを抑えることでインフルエンザを治すのです。

なぜインフルエンザに抗生物質を使うの?

インフルエンザに抗生物質は効かないのですが、抗生物質が処方されることがあります。理由は、肺炎など合併症が起こるのを防ぐためです。肺炎は肺炎球菌という細菌によって引き起こされるので抗生物質が効くのです。

しかし、予防的に抗生物質を処方することに疑問が呈されています。抗生物質を乱用すると、抗生物質が効かなくなる薬剤耐性菌を生んでしまうからです。「抗生物質処方の50%以上は不適切」とOECD(経済開発協力機構)は報告しています。WHO(世界保健機関)やCDC(米国疾病予防センター)はガイドラインを作成し、抗生物質の適切な使用を呼びかけています。

私たちも病院で受診するとき、必要以上に抗生物質などの薬剤を欲しがらないようにしたいものです。

参考資料など

監修/吉田勝明院長(横浜相原病院・神奈川県横浜市)

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