M7級以上の地震が30年以内に高確率で発生するエリアは?
ウェザーニュース / 2019年3月11日 6時40分
3月11日、東日本大震災から8年を迎えます。大震災を引き起こした日本海溝沿いでは、宮城県沖で、マグニチュード(M)7級の地震が今後30年以内に発生する確率が90%程度であることが、政府の地震調査研究推進本部が公表した地震の長期評価で明らかになりました。
今後30年以内に日本海溝沿いで東日本大震災級(M9級)の地震が起きる確率はほぼ0%とされるものの、今後も各地で地震や津波を警戒する必要があります。
地震の警戒感に地域差

ウェザーニュースで「大地震はいつ来ると思いますか?」というアンケート調査を行ったところ、総じて7割を超える人が30年以内に大きな地震が発生すると考えている結果になりました。
しかし、10年以内(1年以内を含む)に絞ると、警戒感に地域差がありました。

東京都を含む茨城県から静岡県までの東日本の太平洋側は、「10年以内(1年以内含む)」の大地震発生の可能性に対して警戒感が強く(発生すると思うが70%以上)、逆に石川県や富山県、島根県などの日本海側は弱い(同50%未満)傾向にあることが分かりました。
また、地震発生確率が高いとされる南海トラフの「地震津波避難対策特別強化地域」に指定されている高知県も、10年以内に発生すると思う人が44%と、他のエリアと比べて低かったのです。
海溝型地震が起こる仕組み
冒頭で紹介した政府の地震長期評価は、大きな被害をもたらす可能性の高い、活断層で起きる地震と、地殻プレートの境界やその付近で起きる「海溝型地震」について、現在の科学的知見に基づき、評価し直したものです。

海溝型地震は、海底の中央海嶺で発生した「海のプレート」が、数百万年から数億年かけて移動して「陸のプレート」とぶつかり、陸のプレートの下に潜り込むことで発生します。下方に引きずり込まれた陸のプレートがそのひずみに耐えられなくなり、元の状態に戻ろうと跳ね上がることで大規模な地震が発生するのです(「プレート間地震」といいます)。
東日本大震災や1923(大正12)年の関東大震災、1960年のチリ地震、2004年のスマトラ沖地震は、このプレート間地震でした。
海溝型地震にはまた、海のプレート内部の破壊によって発生する地震もあります(「スラブ内地震」といわれます)。1933(昭和8)年の昭和三陸地震、1993年の釧路沖地震はスラブ内地震とされています。
日本が地震多発地帯の理由

日本列島周辺は、海のプレートである太平洋プレートやフィリピン海プレートが、陸のプレートである北アメリカプレートやユーラシアプレートの下に沈み込んでおり、複数のプレートによる複雑な力がかかるため、世界でも有数の地震多発地帯となっています。
90%以上の確率の場所は?
政府の海溝型地震の長期評価では、東北地方沖から房総半島沖までの広範囲に連動した超大型地震(M9級)は、過去の津波による堆積物から550年から600年程度に1度発生すると推定し、東日本大震災の発生から8年にとどまることから、今後30年以内の発生は「ほぼ0%」としました。
一方で、M7級の地震は「青森県東方沖及び岩手県沖北部」で90%程度以上、「宮城県沖」で90%程度、「茨城県沖」で80%程度、と日本海溝沿いの広範囲に及びました。
M7級の地震は、M8-9級の巨大地震と比べると、揺れも比較的弱く、過去に観測された津波も数十cm程度にとどまっています。
しかし、1978年の宮城県沖地震(M7.4)では、仙台市などで最大震度5だった中、多くの家屋やブロック塀が倒壊して28人の犠牲者が出たことから、その後、建築基準法の耐震基準が強化されました。
73年間大地震が発生していない南海トラフ
このほか、相模トラフ沿いでは、プレートの沈み込みによるM7程度の地震が今後30年以内に70%程度で発生すると評価されています。
また、約88年周期で大地震が起こると推定されている南海トラフでは、この73年間大地震が発生していないことから、M8-9級の地震が70-80%の高確率で発生する、とされています。
日本においては、どの場所であっても突然の地震に見舞われるおそれがあります。今後も揺れや津波への備えは欠かすことはできません。
今後30年間にM7級以上の地震が50%以上の確率で発生すると評価される主な海域
※政府の地震調査研究推進本部の評価結果より。表記は地域の名称、地震規模、確率の順
▼千島海溝
【色丹島沖及び択捉島沖】
M7.7-8.5前後
60%程度
【根室沖】
M7.8-8.5程度
80%程度
▼日本海溝
【青森県東方沖及び岩手県沖北部】
M7.0-7.5程度
90%程度以上
【宮城県沖】
M7.0-7.5程度
90%程度
【福島県沖】
M7.0-7.5程度
50%程度
【茨城県沖】
M7.0-7.5程度
80%程度
【青森県東方沖及び岩手県沖北部から茨城県沖】
M7.0-7.5程度
60-70%
※沈み込んだプレート内の地震
▼相模トラフ
【相模湾から房総半島南東沖】
M6.7-7.3程度
70%程度
※プレートの沈み込みに伴うM7程度の地震
▼南海トラフ
【駿河湾から遠州灘、熊野灘、紀伊半島の南側の海域及び土佐湾を経て日向灘沖まで】
M8-9級
70-80%
参考資料など
地震本部「主な海溝型地震の評価結果」(2019年2月26日発表)、地震本部「海溝型地震」、気象庁HP
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