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熊本地震から3年 熊本城復旧、驚きのアイデアとは

ウェザーニュース / 2019年4月16日 8時30分

ウェザーニュース

日本三名城の一つとして知られる熊本城は、平成28(2016)年4月14日21時26分、2日後の16日1時25分に熊本地方で発生した最大震度7の地震で、甚大な被害を受けました。

多くの人が熊本城の無残な姿に心を痛めました。なかでも“奇跡の一本石垣”としてマスコミにも大きく取り上げられた飯田丸五階櫓(やぐら)には全国の目が注がれました。

あれから3年、熊本城はどうなっているのか? 熊本城総合事務所首席審議員津曲俊博(つまがり・としひろ)さんに熊本城の史跡保護と復興状況について伺ってきました。

“奇跡の一本石垣”は、いま?

熊本城再建のシンボルのひとつでもある「飯田丸五階櫓」の倒壊防止工事には、一本石垣にかかる櫓の重量が約17t~18tもあり、多くの困難があったといいます。

「飯田丸五階櫓は、五階建てと平屋の櫓がL字型でつながって石垣の上に建っており、今回の地震で南面の石垣が崩れたのです。しかし、南東角の一本の石垣だけが残って櫓を支えてくれました。これも頑丈な木組みで建物本体が組まれていたおかげなんです。復旧工事は建物を取り外した後、石垣の復旧工事に取りかかります。石垣の石材回収にあたっては、無人重機を使い、その後櫓本体を支える鉄骨構台を組み上げていきました」(津曲首席審議員)

「鉄の腕」と呼ばれる架台で櫓を抱え込むようにして復旧工事を進めた(2016年11月9日撮影/写真:時事)

石垣のみとなった飯田丸五階櫓跡。復旧工事のため建物は完全に解体された(2019年02月19日撮影/写真:時事)

五階櫓建物の解体は、平成29年12月に始まり、平成30年6月に終了しました。その後被災した石垣の解体に取りかかり、この2月に築城当初につくられた古い石垣が約400年ぶりに姿を現し、関係者を驚かせました。櫓の土台となる石垣の拡張工事以来、埋もれていて人目につくことはなかったのです。

517面の石垣が被害

熊本市の高台に位置する熊本城(旧城域約98ha)は、東京ドーム約21個分の広さを持ち、973面ある石垣のうち517面(うち崩落50ヵ所、229面)が被害を受けたのです。

「私たちは石垣石材について基礎資料づくりから取りかかりました。破断や亀裂などの有無を観察した上で、寸法などをひとつずつ細かく記録していきました。さらに石垣は、石材の測量と番号付けを行い、一石ごとに解体するのです。総個数は約10万個に及ぶかもしれません」(津曲首席審議員)

大きなダメージを受けた天守閣も例外ではありません。

「天守閣の石垣積み直し工事では、解体した石材の補修や新しく交換する石材の作成も行い、被災前の姿に戻す作業をしています。地震で崩れた石垣の石材には番号を付けて回収し、元あった場所を特定した上で積みなおしを行います」(津曲首席審議員)

熊本城復旧の手順は、全体を5エリア(竹の丸、飯田丸、天守閣、本丸北、その他)、72工区(馬具櫓、長塀、田子櫓、平櫓、宇土櫓、長局櫓、数寄屋丸二階御広間、監物櫓、南大手門ほか)に分け、復旧完了予定は20年後の2037年度としています。

そこで津曲首席審議員が驚きの復旧プランを教えてくれました。それが復旧過程の段階的公開と活用案です。

見学用に活用する工事用スロープ(写真/熊本城総合事務所提供)

「復旧工事との調整を図りながら、今年の10月には、まず日曜・祝日に限定した天守閣エリアを一般に特別公開します。熊本城の被害状況や復旧プロセスを安全に観覧できるように、工事が行われない日曜・祝日に工事用スロープを利用した公開を行います。つまりその工事用通路を一般見学者に開放しようというのがアイデアだったのです。

また、今年度から特別見学通路の整備が本格化します。この通路を利用して、多くのみなさんに熊本城の復旧過程を見てもらいたいと思っています」(津曲首席審議員)

特別公開での見どころは?

大天守の外観が完成するのを機に、本年10月5日(土)から特別公開の第1弾として、復旧工事のない原則日曜・祝日のみの公開を行います(公開日時の詳細は熊本城公式HPを要確認)。

また、2020年春には、第2弾として立入規制区域内に平日の観覧が可能となる「特別見学通路」からの特別公開が予定されています(第2弾以降は平日・日祝とも通年の一般公開に移行予定。2021年春には天守閣が完全復旧し、特別公開第3弾として天守閣完全復旧の外観公開と天守閣内部の公開を予定)。

「刻々と進む復旧作業の現場は、いましか見ることができない貴重な光景だと思います。特別見学通路から城内を見下ろせるのもこの時にしか体験できません。開放されるエリアからの見どころは、異なる石垣様式として有名な「二様の石垣」と天守閣の姿、飯田丸五階櫓の復旧状況、さらに重要文化財櫓群の状況などです」(津曲首席審議員)

“復興城主”になりませんか?

熊本地震によって、熊本城は甚大な被害(約634億円)を受け、その復旧・復元には長い年月と莫大な費用を要します。“復興城主”制度は、1回につき1万円以上の寄附をされた方を「復興城主」とし、「城主証」とデジタル芳名板に氏名が登録されます。優待証にもなる「城主手形」も発行(問い合わせ先:熊本城総合事務所)。

熊本城の復興は、被災者にとってのシンボルであり、多くの人々に元気を与えてくれる存在です。私たちはこれからも熊本城の復旧を見守っていかなければなりません。


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