5月〜8月にかけて多く発生「光化学スモッグ」その傾向と対策
ウェザーニュース / 2019年5月9日 10時50分
「光化学スモッグ」を忘れていませんか?
工場や自動車の排気ガスなどに含まれる窒素酸化物などが太陽光の紫外線で光化学反応を起こして発生します。健康に影響を及ぼす恐れがあるため、今も注意報などが発令されます。どんな対策をとったらいいのでしょうか。
目やノドの痛みを訴える
光化学スモッグが日本で初めて報告されたのは1970年7月、東京の幹線道路、環七通りの近くにある東京立正中学校・高等学校(杉並区)の生徒43人が校庭で体育の授業中、「目がチカチカする」「ノドが痛い」などと訴えた事例です。
後に東京都の調査で光化学スモッグと判明し、以来、都道府県が大気中の光化学オキシダント(オゾンやアルデヒドなどの酸化物質で、光化学スモッグの原因となる物質)を測定し、一定の基準を超えると注意報や警報を発令することになりました。

光化学スモッグによる症状は、眼がチカチカする、涙が出る、目の痛み、ノドの痛みが一般的ですが、重症な例では手足のしびれ、めまい、頭痛、発熱、呼吸が苦しい、呼吸困難、おう吐、意識障害などが報告されています。
ピークは1970年代だが今も発生

「光化学スモッグ注意報」は、光化学オキシダント濃度の1時間値が0.12ppmで風が弱いときに各都道府県が発令します。「光化学スモッグ警報」は、地域により異なりますが、同じく0.24ppm程度を超えると発令する地域が多いです。ちなみに、光化学オキシダントの環境基準は、1時間値が0.06ppm以下です。環境基準の2倍を超えると「注意報」、4倍を超えると「警報」というわけです。

各都道府県が注意報等(注意報+警報)を発令した年間延べ日数をみると、1970年代の200〜300日前後がピークでした。工場の煤煙や自動車の排気ガスなどに対する規制が強化された結果、最近は減少して100日前後ですが、光化学スモッグは今も発生しているのです。

PM2.5など大陸からの大気汚染物質の流入によって、西日本の一部の地域では光化学オキシダントの濃度が上昇しているという指摘もあります。

これから太陽光(紫外線)が強くなり、気温が上昇する季節を迎え、光化学スモッグの発生が懸念されます。注意報や警報が発令されたら、屋内に退避するなどして身を守ってください。
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