【リンゴ病】 4年ぶりの流行続く 大人の感染は重症化も
ウェザーニュース / 2019年8月23日 6時30分
両頬がリンゴのように赤くなることから「リンゴ病」と呼ばれる感染症。通年見られますが、春から夏にかけてより流⾏する傾向があると言われています。
国立感染症研究所の発表によると、8月11日までの1週間にリンゴ病の患者は1医療機関あたり0.58人(患者数1740人)でした。前週より減ったものの、昨年秋に始まった4年ぶりの流行が続いている状況です。
「リンゴ病は子どもの病気と思われがちですが、大人が感染すると重症化することがあるのです。4年ぶりの流行が続いている状況で、夏を過ぎても注意が必要です」と語るのは、横浜相原病院(神奈川県横浜市)の吉田勝明院長です。
大人のリンゴ病は厄介
「30代の母親Aさんは5歳の長男がリンゴ病になった1週間後、リンゴ病を発症しました。38℃台の高熱と体の節々の痛みが3日続いて熱が下がりました。しかし、発症から1週間後にAさんの足の裏がかゆくなり、手足の関節がさらに痛みだし、キッチンに長く立っていられなくなりました。結局、Aさんは完治するまで3週間ほどかかりました」(吉田院長)
リンゴ病は「伝染性紅斑」の別名で、ヒトパルボウイルスB19が原因の感染症です。
「5〜10歳の小児がかかることが多く、小児の場合は発熱がほとんどありません。両頬がリンゴのように赤くなり、その1〜4日後に腹や背中、手足に赤い発疹ができますが、数日で消えて治ります。しかし、成人の場合はAさんの症例のように、発熱、頭痛、悪寒、かゆみ、筋肉痛、関節痛などが現れ、重症化することが少なくありません」(吉田院長)
成人の2人に1人は免疫がない
リンゴ病は一度感染したら2度とかかりません。ヒトパルボウイルスB19に対して免疫ができるからです。
「しかし、子どものときにリンゴ病にかかったことがなく、免疫を持たない成人は半数いるとみられています。幼稚園や保育園、小学校で小児が集団感染すると、子どもから両親や祖父母が感染するケースが少なくありません」(吉田院長)
また、免疫のない妊婦がリンゴ病に感染した場合、胎児も感染して胎児水腫になり、まれに胎児が死亡することがあるといいます。
「特に妊娠初期・中期の感染が危険とされます。リンゴ病は予防ワクチンがないため、リンゴ病に免疫のない妊婦は警戒する必要があります」(吉田院長)
リンゴ病は大人がかかれば重い症状になります。リンゴ病に感染すると発症する前からウイルスを排出して周囲の人に感染させることがあります。流行地域では手洗いとマスクの着用で予防に努めてください。
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