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「梅干し」が発酵食品じゃないってホント!?

ウェザーニュース / 2020年6月4日 5時0分

ウェザーニュース

すでに九州南部や四国が梅雨入りし、今後各地で梅雨を迎えていくことになります。言葉の通り、梅雨は梅の季節といわれ、梅の実が熟す時期。「梅干し」などの梅仕事を楽しむ人も多いのではないでしょうか。

ところで「梅干し」は漬物の一種とされているので、ぬか漬けなどと同じように発酵食品と思われがちです。実際はどうなのでしょうか。宮城大学食産業学群フードマネジメント学類の金内誠(かなうち・まこと)教授(発酵・醸造学)に伺いました。

塩分濃度が高いため微生物が生きられない!?

日本では漬物や納豆、海外でもヨーグルトやキムチなど、酵母や乳酸菌といった微生物の作用によって食材を“よりよく”変質させて作られる、いわゆる発酵食品は古くから保存食として人々の食生活のなかで重用されてきました。漬物やみそ、しょうゆ、酢、ヨーグルト、さらには日本酒やワインなども、微生物の働きがあって物質交換が行われています。

「梅干しは塩で漬け込むのですが、発酵食品ではありません。理由は塩分濃度が12%以上と濃く、塩の浸透圧によって梅本体に浸み込んで水分を抜いてしまうため、いわゆる『発酵』に必要な酵母(こうぼ)、乳酸菌などの微生物が生きられない環境となってしまうからです。

梅干しはまず塩分によって水分が抜かれ、さらに天日(てんぴ)干しによって水分が抜かれるため、微生物である腐敗菌が入ってこられなくなります。また、梅干しには殺菌・除菌効果の高いクエン酸が多く含まれているため、より微生物が入り込みにくいのです」(金内教授)

酸っぱさを生むクエン酸には健康効果も

発酵食品ではありませんが、梅干しには健康効果があると言われます。管理栄養士の柴田聡美さんによると、梅干しに含まれるクエン酸はリンゴ酸とともに味わい深い酸っぱさを生み、健康にもよりよい効果があるそうです。

「クエン酸はレモンなどにも含まれていて、胃腸の働きを増進して食欲を進め、たんぱく質の消化をよくします。一方のリンゴ酸は疲労物質である乳酸の分解を促進するため、疲労回復に効きます。リンゴ酸とクエン酸を一緒に摂取できる梅干しには、殺菌作用や体内の炎症を癒す効果があるのです」(柴田さん)

クエン酸はまた、体内で食べ物を分解し、エネルギーを生み出すための代謝過程である「クエン酸回路」を順調に回転させるために不可欠な存在だそうです。

「疲労やストレスがあるとクエン酸回路の働きが落ちてきます。梅干しを食べてクエン酸を補給すると短時間でクエン酸回路が活発に動きだし、疲労回復につながります」(柴田さん)

梅干しは発酵食品ではありませんが、同様に保存性のよい「ドライフルーツ」の一種でもあり、非常食として最適です。梅を乾燥させることで、水分が蒸発して成分が凝縮され、栄養を効率よく摂ることができるからだそうです。梅干しを食べて、梅雨の季節を乗り切りましょう。

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