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長引く梅雨、カビで発症する真菌症に要注意

ウェザーニュース / 2020年7月21日 5時0分

ウェザーニュース

梅雨が長引いていますが、梅雨はカビが大好きな季節。油断しているとパンはもちろん冷蔵庫に入れた惣菜までカビにやられることがありますが、そのカビが人の体内に棲みつくと、命を脅かされることがあるのです。

ぜん息の原因が実は真菌症

「カビは真菌(しんきん)とも言うので、カビが原因で引き起こされる病気は真菌症と呼ばれます」と言う横浜相原病院(神奈川県横浜市)の吉田勝明院長は、こんな症例を紹介します。

42歳男性のYさんは、いつの頃からかセキやタンがよく出るようになりました。さらに体を動かすと息切れするようになりました。よくなったかと思うと、またぶり返すといった状態で、自宅近くの診療所で受診したところ、「ぜん息」と診断されました。通院しながら内服治療を受けましたが、症状はいっこうに改善されないまま4年が経過しました。

しかし、ある年の梅雨どき、激しく咳き込み、ドロっとしたタンが出るようになり、血が混じっていたので呼吸器専門の病院を紹介してもらいました。血液検査やレントゲン検査など詳細な検査が行われた結果、専門的な治療が必要な「アスペルギルス肺炎」と診断されました。

「アスペルギルスという真菌(カビ)が肺の中に棲みついていたのです。抗真菌薬の投与で治すことができましたが、手遅れになっていたら肺の一部の切除が必要なところでした」(吉田院長)

診断が難しく長期化するケースも

真菌は感染する部位によって次のような病気を引き起こします。

▼皮膚
白癬菌(はくせんきん)による水虫(足白癬)、爪水虫(爪白癬)、いんきんたむし(股白癬)、しらくもなど

▼内臓
アスペルギルス、クリプトコッカス、カンジダによる肺炎、気管支炎、食道炎、胃腸炎、口内炎、膣炎など

▼アレルギー反応
夏型過敏性肺炎、アレルギー性鼻炎など

「いずれの真菌も、それ自体は毒性が強いものではありませんが、診断が難しく、長期化するケースが少なくありません。私たちの体力や免疫力が低下したときに起こりやすく、日頃の健康管理が大切です」(吉田院長)

免疫力が低下するのは、抗がん剤やステロイド薬、抗生物質を長期使用しているときで、日和見(ひよりみ)感染といって、体内の常在菌が減少した結果、代わりに真菌が取りついて増殖するのです。

真菌症を予防するには

真菌症を予防するにはどうしたらよいのでしょうか。

「予防するには、真菌が増殖しにくい環境をつくることです。具体的には湿気対策で、晴れている日は窓を開けて換気を心がけ、湿気がこもりやすい押入れやクローゼットも風を通すことです。扇風機で風を送るのもいいでしょう。浴室や洗面所などの水回り、エアコン内部などカビが生えやすいところの清掃も行ってください。日頃の体調管理が大切なのはいうまでもありません。健康状態が良好なら、真菌が体内で増殖することはないのですから」(吉田院長)

梅雨明けはもう少し先になり、湿度の高い日が続いてしまいそうです。引き続き体調管理を心がけてください。


参考資料など

写真:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)

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