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海水温上昇で“秋の魚”が高騰 逆に安くなる高級魚も!?

ウェザーニュース / 2020年9月18日 5時40分

ウェザーニュース

9月上旬に九州を中心に被害をもたらした台風10号。猛発達した原因のひとつは、海水温の高さでした。今年は海面水温の高い海域が例年よりも北に広がっていて、本州沿岸でも異例の暖かさとなっていたのです。

いまだに太平洋を中心に日本近海の海水温は高い状態が続いています。暖かい海水温は台風だけでなく、秋の味覚にも影響を与えているのです。

「サンマや秋鮭といった秋を代表する魚が不漁ですが、漁業関係者によると海水温の高さが原因のひとつのようです。市場に出回る魚類にも大きな影響が出ています」と言うのは、船橋地方卸売市場の株式会社「山末」部長の内海貴久さんです。どのような影響があるのか、詳しい話を伺いました。

サンマが超高値、秋鮭も少なめ

不漁が続いているのは、サンマや秋鮭といった高い水温が苦手な冷水系の魚のようです。

「近年、サンマの漁獲量が落ちていますが、今年はさらに深刻です。入ってくる量が少ない上に、痩せていて小ぶりのものが多いのです。秋鮭も、いつもなら今頃から豊富に入荷してくるはずですが、まだぼちぼちという感じです。

北海道の漁業関係者によると、本来産卵のために戻ってくる鮭が少なく、鮭の定置網には高い海水温の海域を好むブリがかかってきているそうです。このまま秋鮭の漁獲量が上がらないと、お節料理の定番であるイクラも高騰する可能性があります」(内海さん)

また、高い海水温はマグロの質にも影響していると言います。

「東北地方で獲れるマグロは、海水温の高さが影響して体温が高い状態で揚がってくるので、水揚げ後に急冷しないとマグロの体温で『身が焼ける』、つまり身の質が落ちてしまうので、マグロを取り扱う関係者も対応に苦慮しているそうです」(内海さん)

お手頃価格の魚も!?

一方でたくさん獲れて値段が安くなっている魚もあるようです。

「ブリは本来あまり獲れないはずの北海道で豊漁が続いているため、天然物がお手頃価格になっています。またコロナ禍の影響で飲食業界の需要が少ないため、高級魚も安くなる傾向にあります。例えば、そろそろ脂がのりはじめる真鯛が安めです。重さで比べるなら、サンマより鯛の方が安い時もあるぐらいです」(内海さん)

今年はサンマの塩焼きより鯛の塩焼きの方がお手頃、という可能性もあります。サンマや秋鮭など秋の味覚を存分に味わうためにも、少しでも水揚げ量が増えることを期待したいですね。

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