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クマ出没がこの5年間で最多 冬眠はいつから?

ウェザーニュース / 2020年11月2日 5時0分

ウェザーニュース

石川県加賀市のショッピングモールにクマが侵入するなど、クマの出没が相次いでいます。環境省によると今年4〜9月の出没件数は1万3670件で、この5年で最多。被害にあった人は9月末時点で86人にのぼっています。

環境省によると、冬眠前のエサとなるドングリ(堅果類)が2年連続の凶作傾向で、エサを求めて人里に近づくクマが増えているようです。クマは冬眠する動物として知られています。冬の入り口にさしかかる11月に入りましたが、クマはいつ頃から冬眠に入るのでしょうか。

11月〜翌年4月の5〜6か月冬眠する

クマ研究の第一人者・東京農業大学の山崎晃司教授によると、ツキノワグマは例年エサになる食物がなくなる11月ごろから翌年4月頃までの5〜6か月間にわたって冬眠します。冬眠する場所は、樹洞、岩穴、土穴などです。

冬眠中に出産したメスは1か月ほど冬眠明けが遅くなるといいます。ちなみに、交尾期は6〜8月ですが、冬になってから受精卵が着床するため冬眠中に出産するのです。

ツキノワグマの普段の体温は37〜39℃ですが、冬眠するときは31〜35℃まで下がり、呼吸数も1分間に2回程度と省エネモードになるそうです。

冬眠明けには体重が半分になっている

動物園で飼育されているクマは冬もエサを与えられるので冬眠する必要がありませんが、上野動物園では「冬眠チャレンジ」と称して、園舎の室温を下げて冬眠させたことがあります。オス9歳の場合、冬眠前にエサを1日に1万kcalに増やして体重が20%増加しました。冬眠期間は野生よりだいぶ短い93日間でしたが、冬眠明けには体重が30%減っていたといいます。

野生の大人のオスは体重が50〜100kg、メスは30〜60kgですが、冬眠明けには体重が半分に減っているそうです。それだけ冬眠に備えて大量の食物を摂取する必要があるのです。

12月以降も冬眠しないクマがいる?

「11月には冬眠に入るから、12月はもうクマに出くわすは心配ない」と思われるかもしれませんが、冬眠しないクマもいるようです。

環境省の「クマ出没情報」(目撃情報を公表していない北海道、クマが生息していない九州・沖縄県を除く。四国はこの5年間は目撃情報ゼロ)によると、昨年10月は2670件、11月は1951件でした。11月は冬眠に入るクマが多かったのでしょう。ところが、冬眠期間とされる12月に374件、翌年1月に100件、2月に63件、3月に94件の報告がありました。冬眠しないのか、あるいは冬眠を一時中断したのでしょう。

冬の気温が比較的高い西日本だけでなく、厳寒の東北でも目撃情報がありました。「冬はクマが冬眠するから安心」と油断できません。冬山登山やスキー場で出くわす可能性もあることを覚えておいてください。

参考資料など

「ツキノワグマの基礎的な整体の理解」(東京農業大学・山崎晃司)、環境省「クマの出没情報・速報値」

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