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ドライマウスや歯周病が新型コロナなどの感染リスクを高める!? 効果的な予防法は

ウェザーニュース / 2021年2月5日 5時0分

ウェザーニュース

新型コロナウイルス感染症の発症者は緊急事態宣言が発令されて以降、ピーク時に比べると少しずつ減少する傾向にありますが、相変わらず医療提供体制は逼迫(ひっぱく)し、油断できない状況が続いています。

そんな中、真冬の時季特有の乾燥した気候や、マスク着用の常態化による口の中の渇き「ドライマウス」や歯周病の発症が、新型コロナウイルスへの感染にも大きく影響しているといわれています。日本歯科医学会からも新型コロナウイルスには口腔ケアによって予防や重症化の軽減へ効果がある可能性が高いと報告が上がってきています。

歯周病と新型コロナウイルス感染症との関連性、感染の予防法などについて、自身のクリニックでも「コロナウイルス感染予防コース」を始めたという恵比寿一丁目 小島デンタルクリニック(東京都渋谷区)の小島将太郎院長に伺いました。

歯周病菌がウイルス感染リスクを高める?

「歯周病がウイルスや細菌の感染リスクを高めることは、歯科医など関係者の間ではよく知られています。1918年以降、世界中に蔓延(まんえん)したインフルエンザ、いわゆる『スペイン風邪』にも、虫歯や歯周病の患者が感染しやすかったという報告がなされています。

新型コロナウイルス感染症では、イギリス・リーズ大学歯学部などの研究チームが死亡した患者を調べたところ、歯周病菌が高頻度に検出されたというレポートを2020年7月、医学専門誌に公開しています」(小島院長)

歯周病菌が新型コロナウイルス感染症を引き起こす原因は何なのでしょうか。

「おもな原因として、歯周病菌がもつ毒素や酵素に加え、歯周病による歯茎(歯ぐき)の炎症が関係しているとされます。歯周病菌はプロテアーゼという酵素を出しています。この酵素が口の中の粘膜を傷つけてウイルスを侵入させます。歯周病で歯茎に慢性的な炎症が起こると生じる『IL-6』という炎症物質も、ウイルスによる感染を促進するようです。

子どもが新型コロナウイルスに感染しにくいといわれるのも、歯周病をもたない傾向にあるためとみられています」(小島院長)

冬場の天候やマスク着用などによる乾燥の影響はどうでしょうか。

「乾燥による唾液(だえき)の減少が問題となることがあります。唾液は歯の表面についた汚れを洗い流す、酸を中和して口腔内を中性に戻す、歯の再石灰化を促すなどの作用があります。また、唾液に含まれている『lgA』という抗菌物質は、粘膜の保護を促し、ウイルスなどの病原体の侵入を防いでくれます。

日本人では20歳代の7割、30~50歳代は8割、60歳代は9割が歯周病にかかっているといいます。さらに唾液の量は、加齢とともに減少します。口の中が乾燥したり汚れていたりすると、ウイルス感染リスクを高めるだけではなく、新型コロナウイルス感染症が招く肺炎、とくに高齢者に起こりやすい誤嚥(ごえん)性肺炎が起こりやすくなるとみられています」(小島院長)

激減する例が数多く報告されている

それでは、口の中の乾燥と歯周病を防ぐために心がけること、予防法はどんなものでしょうか。

「新型コロナウイルスは、細胞の表面にあるたんぱく質の『ACE受容体』が侵入経路の一つとして指摘されています。ACE受容体は口の中の粘膜、とくに舌の表面にも多いといいます。

そこで、正しいブラッシングと舌磨きは必須です。歯科衛生士による適切な口腔(こうくう)ケアを受け、正しいブラッシングを身につけたいものです。

ブラッシングや舌磨きを行うと、唾液の分泌(ぶんぴつ)が活発化します。これにより、インフルエンザの発症率が10分の1に減ったなどの実例が、国内で発表されています。

正しい歯みがきと口腔ケアの徹底は、インフルエンザ同様に新型コロナウイルス感染症に対しても予防策となりうる可能性が高いと思われます」(小島院長)

鶴見大学歯学部の花田信弘教授は日本歯科医師会のホームページ上で、「歯と口の細菌や毒性物質は、循環器、呼吸器、消化器の3方向へ拡散し、ほぼすべての臓器に慢性炎症を起こします」と述べています。新型コロナウイルスの蔓延という緊急時には、これが免疫暴走、細菌性肺炎や敗血症の危険因子になる可能性を指摘し、「国民の皆さまが歯と口の健康維持の重要性を理解し(中略)、新型コロナウイルスの感染に備えることが大切です」と結んでいます。

新型コロナウイルス感染症予防の基本はマスクと手洗いなどとされていますが、さらに歯みがき、舌の清掃、口腔ケアを加えると予防効果はより高まりそうです。ワクチン接種の実施にはまだ時間がかかりそうなこの冬、日々の歯みがきなどの口腔ケアからも、感染予防に努めましょう。

参考資料など

日本歯科医師会「新型コロナウイルス感染症に負けない歯と口の健康づくり」(花田信弘・鶴見大学歯学部探索歯学講座教授)
日本医師会 COVID-19有識者会議「唾液・唾液腺によるウイルス防御機構」(吉原俊雄弘・東京医科大学耳鼻咽喉科 頭頸部外科 客員教授)
Patel J, Sampson V. The role of oral bacteria in COVID-19. Lancet Microbe. 2020;1:e105
Abe S, Ishihara K, Adachi M, Sasaki H, Tanaka K, Okuda K. Professional oral care reduces influenza infection in elderly. Arch Gerontol Geriatr.2006.43:157-64.

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