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「草餅」「桜餅」「わらび餅」「柏餅」、春の季語でないものはどれ?

ウェザーニュース / 2021年4月8日 5時48分

ウェザーニュース

和菓子は季節感に富む食べ物です。夏なら水羊羹(みずようかん)、秋なら柚餅子(ゆべし)、冬であれば鯛焼(たいやき)などを思い浮かべる人もいるでしょう。これらの和菓子はいずれも、俳句の季語にもなっています。

さらに、「草餅」「桜餅」「柏餅」「わらび餅」も、俳句の季語になっています。

四つのうち、三つは春の季語で、残る一つは別の季節の季語です。さて、わかるでしょうか。

【1】草餅

ヨモギなどの葉を入れてついた餅が草餅です。草餅の「草」は今ではヨモギが主流ですが、かつては春の七草の一つであるハハコグサ(ゴギョウ)を使うことが多かったようです。

中に餡(あん)を入れて食べることもあります。

草餅は春の代表的な和菓子の一つで、俳句にもよく詠まれています。

両の手に 桃と桜や 草の餅

これは江戸時代前期の俳人、松尾芭蕉(1644-1694年)の俳句です。春の雰囲気がよく伝わりますね。

【2】桜餅

桜餅は地域によって少し異なります。

関東風の桜餅は、小麦粉などの生地を薄く焼いた皮に餡を入れて、塩漬けした桜の葉で包んだ菓子です。「長命寺(ちょうめいじ)」「長命寺餅」ということもあります。

関西風の桜餅は、道明寺粉(どうみょうじこ)などを蒸して餡を包み、さらに塩漬けした桜の葉で包んだ菓子です。「道明寺」「道明寺餅」ということもあります。

三つ食へば 葉三片や 桜餅

これは明治から昭和期に活躍した俳人・小説家の高浜虚子(1874-1959年)の俳句です。この句から推察すると、虚子は桜餅の葉を食べなかったようですね。

桜餅は桜と同様に春の季語になっています。

【3】わらび餅

わらびの根茎からとったデンプン(わらび粉)を使って作る菓子がわらび餅です。

しかし今は、わらび粉ではなく、サツマイモから作るデンプンを使っていることが多いようです。わらび粉が希少になり、高価になったためです。

きな粉や糖蜜をかけて食べることが多いのも、わらび餅の特徴です。

わらびは日当たりのよい山野に自生する山菜で、小さく渦巻いた若芽が春に萌え出ます。そのため、わらびもわらび餅も、春の季語になっています。

一日 余さず使ひ わらび餅

これは農家出身の俳人、神蔵器(かみくら うつわ/1927-2017年)の俳句です。神蔵は俳句誌『風土』の名誉主宰でもありました。

この日は日がな一日、わらび餅を作ったのでしょうか。できたわらび餅は、さぞおいしかったでしょう。

【4】柏餅

ここまでくると、答えはもうわかりましたね!?

これまで見てきた「草餅」「桜餅」「わらび餅」はすべて春の季語でもありました。ということは、最後の「柏餅」だけ、春の季語ではないことになります。皆さん、正解できたでしょうか。

柏餅は、小豆餡やみそ餡を糝粉(新粉/しんこ。うるち米を加工した粉)で作った餅に入れ、その餅を柏の葉で包み、蒸して作ります。

柏餅は端午の節句(こどもの日)によく食べられます。ということで、柏餅は夏の季語にもなっています。

てのひらに のせてくださる 柏餅

これは高浜虚子に師事した俳人、後藤夜半(ごとうやはん/1895-1976年)の俳句です。誰かが手のひらに柏餅を載せてくれたのでしょうか。どこか温かい気持ちになる、素敵な俳句ですね。

緑茶やほうじ茶のお供として、春の和菓子を味わいつつ、一句ひねるのも、乙なものです。
(文中、敬称略)

参考資料など

『全季俳句歳時記』(編著/柳川彰治、青弓社)、『いちばんわかりやすい俳句歳時記』(著者/辻桃子・安部元気、主婦の友社)、『事典 和菓子の世界 増補改訂版』(著者/中山圭子、岩波書店)、『ときめく和菓子図鑑』(文/高橋マキ、写真/内藤貞保、山と渓谷社)

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