熱がこもるだけじゃない? マスク着用で熱中症リスクが高まる理由
ウェザーニュース / 2021年7月19日 5時0分
全国的に蒸し暑い毎日が続いています。マスク着用により、熱中症のリスクが高まるのではないかと心配になります。横浜鶴見リハビリテーション病院(横浜市鶴見区)の吉田勝明院長に、マスクと熱中症の関係と対策を伺いました。
顔以外に肌から放熱を促す工夫が必要
ウェザーニュースでの「夏のマスクで一番困ること」というアンケート調査では、9割が「蒸れ、暑さ」と回答しています。
マスク着用が熱中症リスクを高めるのは、顔の半分、場合によってはそれ以上がおおわれてしまうからです。
「人は体内にこもった熱を皮膚から放熱することで、体温が高くなりすぎるのを防いでいます。中でも凹凸のある顔は発汗量も多く、優れた放熱器官なのです。その顔をマスクでおおうことによって、熱がこもってしまうのが熱中症になりやすい第一の理由です」(吉田院長)
顔で放熱できなければ、ほかの肌から放熱させなければなりません。
マスクを外せない状況では、胸元や腕など顔以外の肌をなるべく露出させる必要があると吉田院長は語ります。女性であればノースリーブ、男性であれば半袖の開襟シャツにノーネクタイなど、軽装にして肌が露出される面積を増やしましょう。
のどの渇きを感じにくいのも危険な兆候
熱中症になりやすいもう一つの意外な理由は、マスクをしているとのどが渇きにくいためだそうです。
「マスク内は湿度が保たれるので、のどが潤っているような錯覚が生じます。そのため水分補給を怠りがちになり、知らぬ間に熱中症を発症するのです」(吉田院長)
マスクをしているときはのどの渇きを感じなくても、定期的に水分補給を行わなければなりません。
「1日1.2リットルを目安に水分補給をしてください。電解質の入ったスポーツドリンクがより適しています。日中は1時間ごとにコップ1杯ずつ飲むといいでしょう。特に汗をかいたあとは、塩分の補給も忘れずに」(吉田院長)
熱中症が怖い理由の一つに、症状が進むと意識が朦朧として正常な判断が下せないことが挙げられます。頭の中では水分補給の大切さを理解していながら、つい補給しないまま長時間過ごしてしまうのです。
「家族や同僚と1時間ごとに声を掛け合う」、「一人のときはアラームを鳴らす」など、こまめに水分補給する方法を身につける必要があると、吉田先生は言います。
一時的にマスクを外すことも選択肢に
環境省と厚生労働省が出した「熱中症予防×コロナ感染防止」の指針では、一時的にマスクを外すことも選択肢として掲げられています。「屋外で人と十分な距離(2m以上)をとっていれば、熱中症予防のためにマスクを外しましょう」というのです。
そのほか、暑さに備えた体づくりと日頃からの体調管理として、次のことも推奨されています。
・毎日30分程度の無理のない運動
・定時の体温測定と健康チェック
・体調が悪いときは、無理せず自宅で静養
など
感染症対策と熱中症対策を両立させながら、上手に夏の暑さを乗り切ってください。
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