【平成サッカー30年の軌跡】平成29年/2017年 ハリルの涙とJへの“黒船到来”

超ワールドサッカー / 2019年4月29日 19時0分

写真:Getty Images

新元号が「令和(れいわ)」に決定し、2019年4月30日をもって幕を閉じる「平成」。日本サッカーにとって、「平成」という時代は大きな変革を遂げた30年間となりました。Jリーグ設立、ドーハの悲劇、日韓W杯招致…。激動の30年を平成の出来事と共に振り返ってみましょう。

世の中の流れ


2017年、ドナルド・トランプ大統領がアメリカで誕生。「民主主義崩壊の前兆」と言われた。

■暗いニュースが絶えなかった1年
平成29年(2017年)は、不祥事やテロ等、暗いニュースの多い1年となりました。まず1月には前年の大統領選で当選したドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領に就任します。選挙活動中からの過激な発言で賛否両論を生んでいましたが、大統領就任早々、アフリカと中東の7カ国出身者に対するアメリカへの入国禁止令を出し、国内外から多くの批判を浴びました。

日本では、安倍晋三首相に汚職疑惑が浮上します。国有地払い下げに関する「森友問題」や、獣医学部新設に関する「加計問題」が立て続けに発覚。世間では「もりかけ問題」と呼ばれ、連日報道されました。このことにより安倍内閣の支持率は急落しましたが、9月に行われた、衆議院の解散総選挙では与党が圧勝しています。この際に、野党第一党だった民進党が分裂、枝野幸男氏率いる立憲民主党が野党第一党に交代しています。

また、この年は北朝鮮の動向が世界中を騒がせた年でもあります。2月に金正恩氏の兄に当たる金正男氏が、マレーシアの空港で北朝鮮工作員に暗殺される事件が起こりました。まるでスパイ映画の一場面のようなこの事件は、世界に衝撃を与え、殺されたのが金正男氏ではないのではないかとの報道も出たほどです。その後も北朝鮮は、度重なるミサイル発射や核実験を続け強硬姿勢を取ります。日本でも北朝鮮からのミサイルが現実的な脅威として認識され、全国瞬時警報システム、通称「Jアラート」という言葉がニュースにも多く登場しました。

その他には、アメリカのポップ歌手、アリアナ・グランデさんのライブ中に起きた自爆テロや、ラスベガスで銃乱射事件などのテロや暴力事件に関するニュースが1年を通して絶えない年となりました。



サッカー界

反骨精神に溢れたハリルホジッチ監督の涙は、多くのファンを驚かせた。

■ハリルJAPAN、ロシアへ
2017年、ハリルJAPANのロシア・ワールドカップへ向けた戦いは最終局面を迎えます。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、「縦の速さ」や「デュエルの強さ」といったテーマを掲げて日本を率いていました。また、「チームこそがスター」という考えを提唱する指導者で、今まで日本の絶対的エースだった本田圭佑、香川真司、岡崎慎司といった選手が自分の求める役割にハマらないと判断すると、先発から外すなど、今までの監督は違うタイプでもありました。

アジア最終予選では、初戦のUAE戦にまさかの敗北。W杯予選で初戦に負けた国の予選突破率は0%という統計が話題になり、解任の噂が出るなど、決して順風満帆には進んでいませんでした。しかし、その後は浅野拓磨や、井手口陽介といった若手を積極的に起用してW杯予選を勝ち抜きます。

最終予選後半に入ると、オーストラリアやサウジアラビアといった強豪国とグループで同居しながらも、日本はグループ首位を維持していました。迎えた8月31日、勝てばW杯本戦出場が決まるホームでのオーストラリア戦に臨みます。オーストラリアといえばフィジカルの強さを特徴とした相手で、今までアジア予選では幾度となく苦戦を強いられてきた相手でした。しかし、そのオーストラリア相手に日本は2-0で完勝。井手口陽介が決めた豪快なミドルシュートは記憶に新しいでしょう。これにより、日本は6大会連続6回目のW杯出場を決めました。

W杯出場を決めたこの夜、監督の目には涙が浮かんでいました。お祝いのようになると思われた試合後の会見でも「プライベートに大きな問題がある」とだけ言い、質問を受けずに退席した為、監督辞任の噂が広がってしまいました。後日、進退に関する問題はないことが判明しますが、ハリルホジッチ監督の愚直な性格を体現する一幕となっています。

■Jリーグに“黒船”到来
JリーグのDAZNでの配信が開始された。巨額のDAZNマネーは、経済的に停滞していたJリーグを救った。

2017年、世界最大級のスポーツライブストリーミングサービスである『DAZN』でJ1からJ3リーグを含めた全試合が配信スタートしました。また、動画の権利がJリーグに帰属することとなり、これまで以上に試合動画を利用したコンテンツが増加。SNSの普及も合間って、Jリーグに触れる機会が格段に増えたことは言うまでもありません。また、テレビでの視聴がメインであったサッカーコンテンツが、スマートフォンやPCといった様々なデバイスで視聴できるようになり、大きな話題を呼びました。

放映権契約は2017年からの10年間で総額約2100億円と、破格の金額になり、Jリーグとしての収入だけでなく、クラブの収入の増加にも寄与。リーグタイトルや順位に対する賞金が格段に挙がり、各クラブの補強戦略や集客戦略にも大きな影響を及ぼすこととなりました。

そして、大きく変化を迎えた年にJリーグを制したのが、川崎フロンターレです。これまで獲得したタイトルはJ2リーグの優勝のみ。リーグ戦、リーグカップ、天皇杯と好成績を残すものの、タイトルには手が届かず、“シルバーコレクター”と揶揄されてきました。そんな川崎Fは、持ち味であるパスサッカーを貫き、攻撃的なスタイルで魅了するだけでなく結果も残し、クラブ発足21年目にして初の主要タイトルとなるリーグ優勝を収めたのです。

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