【CL決勝特集①】劇的に次ぐ劇的な戦いぶりで初のファイナル進出《トッテナム》

超ワールドサッカー / 2019年6月1日 21時30分

写真:Getty Images

2018-19シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)決勝、トッテナムvsリバプールが日本時間6月1日28時からスペイン・マドリードのエスタディオ・メトロポリターノで開催される。2007-08シーズンのマンチェスター・ユナイテッドvsチェルシー以来、11年ぶりのイングランド勢対決となったこの大一番を前に、ここまでの両チームの勝ち上がりを振り返っていく。

◆トッテナム 2018-19シーズンCL戦績
6勝4敗2分け
20得点13失点

◆折り返し勝ち点1からの逆転劇!

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昨季のプレミアリーグを3位で終えたトッテナムは優勝候補筆頭のスペイン王者バルセロナ、セリエA4位のインテル、オランダ王者PSVという難敵3チームと同居したグループBに組み込まれることになった。

今夏の移籍市場でプレミアリーグ史上初の新戦力補強ゼロに終わったトッテナムは、主力の多くがロシア・ワールドカップ(W杯)に出場した影響もあって厳しい前半戦を過ごすことに。そして、リーグ戦連敗の状況で臨んだインテルとのアウェイでの今季CL初戦では試合を通して主導権を握り、後半立ち上がりにMFエリクセンのゴールで先制に成功。しかし、試合終了間際の86分にFWイカルディのスーパーボレーで同点に追いつかれると、後半アディショナルタイムにもMFベシーノにセットプレーから逆転ゴールを決められて最悪のスタートを切ることに。これで流れを失うと、バルセロナとの第2戦では格上バルセロナ相手にやや無謀とも取れる真っ向勝負で臨んだ結果、FWメッシらに格の違いを見せつけられる2-4の大敗で連敗。また、勝利必須で臨んだPSVとのアウェイゲームではGKロリスの一発退場が響き、痛恨の2-2のドローに。

グループステージ折り返し時点で勝ち点1の3位と逆転突破は不可能と思われたが、諦めないチームはここから驚異の巻き返しを見せる。PSVとのホームでのリターンマッチでは開始直後に先制を許す最悪の展開も試合終盤にエースのFWケインが2ゴールを奪うエースの仕事を果たして逆転で今大会初勝利。さらに、2位通過を争うインテルとの直接対決では拮抗した展開の中、80分にMFエリクセンの値千金のゴールで先制に成功し1-0の勝利を収めて2位に浮上。最終節ではすでに首位通過を決めたバルセロナとのアウェイゲームで先制を許す苦しい戦いを強いられるも、85分にFWルーカス・モウラの劇的同点ゴールが生まれると、インテル相手にドローに持ち込んだPSVのアシストもあって劇的な形で2位通過を果たした。

▽グループステージ結果

インテル 2-1 トッテナム
トッテナム 2-4 バルセロナ
PSV 2-2 トッテナム
トッテナム 2-1 PSV
トッテナム 1-0 インテル
バルセロナ 1-1 トッテナム

◆スーパーヤンにソン・フンミンがドルトキラー発揮!
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コンディションが上向いたシーズン中盤からリーグ戦でも復調を見せて迎えた決勝トーナメント初戦のラウンド16ではグループAを首位通過したドルトムントと対戦。エースのケイン、MFデレ・アリに左サイドバックの主力2選手がコンディション不良と苦しい台所事情を強いられたが、昨季グループステージで連勝を飾った相手に対して伏兵ヴェルトンゲンとドイツ時代からドルトムントキラーとしてならしたFWソン・フンミンが躍動を見せた。

ホームでの1stレグではエースのMFロイズ不在もリーグ首位の好調を維持するドルトムント相手に劣勢の前半を強いられる。しかし、後半に入ると、左ウイングバックでのスクランブル起用を強いられたヴェルトンゲンが魅せる。後半立ち上がりにピンポイントクロスでソン・フンミンの先制点をお膳立てすると、83分にはDFオーリエのクロスをストライカーさながらのダイレクトボレーで合わせ、追加点まで奪取。これで勢いに乗ったトッテナムは途中出場のFWジョレンテにもゴールが生まれ、望外の3-0のスコアで先勝に成功した。また、守護神ロリスが主役となったドルトムントホームでの2ndレグは防戦一方の状況を頼れるスキッパーの活躍で凌ぐと、後半に負傷明けケインの見事な決定力でトドメのアウェイゴールを奪い、2戦合計4-0の圧勝劇でベスト8進出を果たした。

▽ラウンド16結果

トッテナム 3-0 ドルトムント
ドルトムント 0-1 トッテナム

◆VARが明暗分けたシティとの激闘!
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2010-11シーズン以来の準々決勝の舞台ではラウンド16でシャルケを破ったマンチェスター・シティとの同国対決に。直近のリーグ戦4敗1分けと再び大不振に陥った中、下馬評ではシティの絶対優位が囁かれていたが、約半年遅れでの開場となった新本拠地トッテナム・ホットスパー・スタジアムのホームアドバンテージと絶好調のソン・フンミン、決勝トーナメントから導入されたビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が大きなドラマを生むことになった。

新スタジアムでのCL初陣となった1stレグでは連戦を考慮してMFデルフやMFマフレズの抜擢に、[4-2-3-1]のシステム変更を行ったシティに対して、同じ[4-2-3-1]での真っ向勝負を選んだポチェッティーノ監督の英断が報われることに。立ち上がりにVARによってDFローズがハンドを取られて与えたPKをGKロリスが見事な反応でFWアグエロのシュートをストップし流れを掴むと、その後は果敢なプレスを武器に試合の流れを掌握。しかし、0-0のスコアで迎えた後半立ち上がりにはデルフとの接触でケインが足首のじん帯を損傷し負傷交代を強いられる。このアクシデントで勢いを失いかけたホームチームだったが、78分にはエリクセンからのパスをゴールラインぎりぎりで残したソン・フンミンが鋭いカットインからの左足のゴールで直近リーグ戦のクリスタル・パレス戦に続く新スタジアムでのCLファーストゴールを記録し、1-0での先勝に成功した。

その翌週に行われた難所シティ・オブ・マンチェスターでの2ndレグでは文字通りの壮絶な打ち合いに。ケイン不在もあって初戦と異なる[4-3-1-2]の布陣で臨んだ中、開始4分にFWスターリングの個人技であっさりと2戦合計タイとなる先制ゴールを献上。だが、初戦でも存在感を放ったソン・フンミンが相手DFラポルテの2つのミスを突き7分と10分に圧巻の連続ゴールを奪い、貴重な2つのアウェイゴールと共に逆転に成功する。しかし、システム変更によってプレスがハマらず、11分にMFベルナルド・シウバ、21分にスターリングとあっさりとゴールを許してソン・フンミンが獲得したアドバンテージを前半のうちに失ってしまう。さらに、MFムサ・シソコの負傷交代によってジョレンテの投入も余儀なくされた。すると、押し込まれた後半立ち上がりの59分には絶好調のMFデ・ブライネに3度目のアシストを許し、アグエロに2戦合計逆転となる4点目を許した。

ここまでの試合の流れを考えれば、このままシティが押し切るかに思われたが、粘りのスパーズはここから試合を引っくり返す。73分、左CKの場面でDFトリッピアーのニアへのクロスに反応したジョレンテが腰付近にボールを当ててゴールに流し込む。ハンドが疑われたため、VARによるレビューが行われたものの正当なゴールと認められた。これで2戦合計4-4もアウェイゴール数で優位に立ったトッテナムはシティの猛攻に晒されると、後半アディショナルタイムにVAR介入の大きなドラマ。エリクセンの不用意な自陣でのバックパスをベルナルド・シウバに引っ掛けられてアグエロを経由したボールをスターリングに決められる。これでシティの劇的突破と思われたが、VARのレビューの結果、アグエロのオフサイドとの判定でゴールは認められず。そして、VARのアシストを受けたトッテナムがシティとの同国対決を制してベスト4進出を果たした。

▽準々決勝結果

トッテナム 1-0 マンチェスター・シティ
マンチェスター・シティ 4-3 トッテナム

◆飛車角抜きに過密日程撥ね返す魂の勝利!
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前身チャンピオンズカップ時代以来、57年ぶりのベスト4進出を果たしたトッテナムは、決勝トーナメントでレアル・マドリー、ユベントスと優勝候補2チームを連破した今大会屈指のダークホースとなったアヤックスと対戦。シティ戦以上の劇的な展開は起こりえないと思われたが、今大会で最もエモーショナルなチームはこの準決勝でも劇的過ぎるドラマの主役となった。

ケインに加え、ソン・フンミンを出場停止で欠く飛車角抜きの状況でホームでの1stレグに臨んだトッテナムは、“進撃のヨング・アヤックス”の勢いに呑まれることに。守備的に入った中で前半の15分には相手の見事な連係プレーからMFファン・デ・ベークに痛恨のアウェイゴールを献上してしまう。さらに、味方との接触で顔面を打ったヴェルトンゲンの負傷交代というアクシデントに見舞われた中、攻撃的な交代カードを欠くチームは相手に2つ目のアウェイゴールを与えないことが精一杯の苦しい戦いぶりでホームでの初戦を0-1で落とすことに。

また、ソン・フンミンの復帰によって巻き返しを狙うアウェイでの2ndレグに向けては4日前に行われたボーンマス戦で2人の退場者を出して40分間を9人で戦う異例の状況を強いられたこともあり、コンディションに不安を抱える中での戦いとなった。そして、前半の立ち上がりにDFデ・リフトにセットプレーから先制を許す最悪な入りを強いられると、押し返し始めた前半半ばにもMFジイェフに追加点を奪われ、2戦合計0-3の厳しすぎる状況で前半を終えることになった。

それでも、190cmを超える屈強なベテランストライカー、ジョレンテの投入で流れを引き寄せたトッテナムは55分に高速カウンターからルーカス、直後の59分にはボックス内での混戦から再びルーカスが複数の相手DFを翻弄するステップワークからのゴラッソで連足ゴールを奪い、一気に点差を縮めてあと1ゴールで逆転できる状況に追い上げた。しかし、ホームの大歓声を後押しに粘り強く戦うアヤックスを前に3点目を奪うことができず、試合は5分が与えられた後半アディショナルタイムを残すのみに。この最終盤も決定機を作り出せないトッテナムだったが、ラストプレーの場面で最後尾のシソコからのロングボールをジョレンテが身体を張って落とすと、これをデレ・アリが絶妙なダイレクトパスでボックス中央のルーカスに繋ぐと、これをルーカスが左足でゴール右隅に流し込み、ハットトリックを達成すると共にトッテナムをクラブ史上初のCL決勝に導いた。

▽準決勝結果

トッテナム 0-1 アヤックス
アヤックス 2-3 トッテナム

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