超特急で試合が消化されていく…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2020年11月7日 22時30分

写真:Getty Images

「あと1試合かあ」そんな風に私が溜息をついていたのは木曜日、10月各国代表戦週間明けから始まった地獄の7連戦がいよいよ、今週末のリーガ戦で終わることに気がついた時のことでした。いやあ、例年なら、CLグループリーグは2、3週間おきの開催なんですけどね。今季はコロナ禍のせいでスタートが遅れ、3週連続で一気に3節まで終了ともなると、それぞれの試合の感慨も悔しさも消化する暇もなし。ふと見るともう、すでに決勝トーナメント進出決定目前になっているチームがあるのには、どうにも戸惑いを覚えてしまうばかりかと。

ちなみにスペイン勢では3連勝のバルサと2勝1分けとしたセビージャが突破秒読み組なんですが、翻って、リーガでは前者が直近の試合を2分け2敗として、現在12位。後者など、1分け3敗で16位という代償を払っていますからね。それに比べると、クラシコ(伝統の一戦)から2連勝して、2位につけるレアル・マドリー、3連勝中で4位にいるアトレティコはCLがイマイチな分、リーガで良かったりするんですが、いやいや。何にせよ、この4チームは消化試合が1つ、2つ、少ないことも考慮に入れないといけないですし、来週からの代表3連戦の後も地獄の7連戦リピートが待ち受けているため、今はまだ、シーズンの先行きに関してはまったく予想ができないんですが…。

え、それで火曜に揃ってCL3節に挑んだマドリッドの両雄はどうだったのかって?はい、今回は時間帯が分かれてくれたおかげで、私も近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で、2つのTVの前を行ったり来たりするという、不審な行動を取らずに済んだんですけどね。先にキックオフとなったのはアトレティコだったんですが、滑り出しは上々。前半18分にはCKから続いたプレーでエレーラのクロスをヒメネスがヘッドで決めて、早くも先制点をゲットします。おかげで私もすっかり大船に乗った気分でいたところ、その数分後には災難が到来したから、さあ大変!

ええ、敵のパスをエリア内で遮ったエレーラの腕にボールが当たり、うーん、主審がVAR(ビデオ審判)のモニターを見ている間、ルイス・スアレスが自分も覗こうと近づいたのが相手をイラッとさせましたかね。スアレスにはイエローカードが出されるわ、それで主審の気も散ったか、胸から跳ねて腕に当たった瞬間の停止画像でハンドと判断され、ペナルティを取られるなんて、まさに踏んだり蹴ったりとはこのこと?ミランチュクのPKが決まり、1-1の同点にされてしまったアトレティコだったんですが、それからは何ともフラストレーションが溜まる展開に。

だってえ、コレアの渾身のエリア外からのシュートはオサスナ戦に続いて枠に嫌われるわ、ジョアン・フェリックスもGKギジェルメに止められてばかり。後半、負傷明け初先発したサウールと代わり、ピッチに入ったコケのヘッドもゴールバーを直撃した上、落ちたボールをスアレスがゴールにしてもオフサイドと、なかなか勝ち越し点が取れなかったのには、シメオネ監督も業を煮やしたんでしょうか。24分にはコレアとマルコス・ジョレンテをビトロとレマルに代えてみたところ、まさか、たった10分もプレーしないうちにビトロが負傷とは、本当にツイてない。

いえ、モスクワ市が入場を許可した8000人の観客の中には少数ながら、現地のアトレティコのペーニャ(ファンクラブ)メンバーもいたため、3月以来、スタンドに人がいる試合を経験していない選手たちにはいつもより、シメオネ監督の声が届かないきらいはあったでしょうが、士気への影響はそんなになかったと思いますけどね。結局、シュート14本、うち枠内8本も撃ちながら、決定力に欠けていたのが運の尽き。そのまま、「サッカーは頭がおかしくなるようなゲームだ。バイエルン戦で今日よりいい試合をしながら、ウチは負けて、今日は勝ち点1を掴めた」(ニコリッチ監督)というロコモティブ・モスクワと引き分けたとなれば、え、チラッとカラバフの悪夢が頭に浮かんだのは私だけではない?

いえ、まだそこまでは切羽詰まってはいないんですけどね。ちなみにカラバフというのは、2017-18シーズンのCLグループリーグでアトレティコが3、4節の連戦で2引き分けして、最後は3位でCL敗退、後日、決勝トーナメントから参戦したELで優勝した原因を作ったアゼルバイジャンのチームなんですけどね。何せその時は1節でもローマと引分け、2節でチェルシーに負けて、もっと勝ち点が少なかったのに対して、今季は前節のザルツブルク戦勝利のおかげで、勝ち点4でも2位ですし、とにかく頼りになるのは、その日もバイエルンが昨季の5冠王者の風格を発揮。

ロコモティブ・モスクワとの1節とは違い、ザルツブルクのホームも今回は無観客となったのが良かったか、アトレティコ戦でも得点したベリシャ、そして奥川雅也選手のゴールで後半35分ぐらいまで2-2と粘られながら、その後、怒涛の4得点。終わってみれば、2-6の逆転勝利って、これならミュンヘンで4-0のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らったアトレティコも全然、恥じることはない?要はそのバイエルンが1強状態で3連勝、この勢いなら、かなりの高みで首位突破してくれるため、アトレティコとしてはワンダ・メトロポリターノにロコモティブ・モスクワを迎える4節、ザルツブルクとの6節アウェイ戦で必勝を目指すだけでいいんですが、さあて。

その頃にはジエゴ・コスタとカラスコも負傷が治っているはずですし、まずはその前に土曜午後9時(日本時間翌午前5時)から、無人のワンダで開催されるカディス戦を無事に済ましてくれればいいかと。ただ、相手はエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)でのマドリー戦を始め、開幕からアウェイでの4試合に全勝。昇格組とは思えない強さを発揮しているチームのため、木曜からマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場で雨の中、今週、トマスの夏季移籍市場最終日、契約解除金を払ってのアーセナル電撃移籍により、特例入団を果たしたコンドグビア(バレンシアから移籍)も加わって、トレーニングを再開したアトレティコも油断は禁物。それにしてもここ数試合、チームの攻撃を牽引する働きを見せている、成長著しいジョアン・フェリックスなどはポルトガル代表にも招集されていますし、一体、いつになったら、休めるんでしょうかね。

そして引き続き、バルでマドリーがホームにインテルを迎えた試合を観戦した私でしたが、こちらも先手を取ったのはジダン監督のチームでした。ええ、前半25分には古巣訪問となったアクラフがメンディに押され、狙いの狂ったバックパスをベンゼマが奪い、GKハンダノビッチもかわしてシュート。これで先制点を奪うと、32分には鉄板コンビのセットプレーが炸裂します。「ハンダノビッチはクロースのCKとボクのヘッドを研究していると言ってたけど、この通り。Cuanto más sigamos sorprendiendo, major/クアントー・マス・シガモス・ソルプレンディエンドー、メホール(より長く驚かせていられるなら、その方がいい)」と当人も言っていたように、セルヒオ・ラモスが頭で決めて、2点差にしたとなれば、もう勝負はあった?

でもそこはエースのルカクを欠いていたとはいえ、イタリアの名門インテル。相手もここまで、2引き分けで勝ち点2と、前節のボルシア・メンヘングラッドバッハ戦での土壇場の引き分けで、初めて勝ち点1を手にしたマドリーと似たり寄ったりで、追い詰められていたのは同じですからね。35分にはバレッラがtaconazo(タコナソ/ヒールキック)で戻したボールをラウタロウがエリア内から撃ち込んで、1点差に迫ったかと思いきや、後半23分にはとうとう、アルトゥーロ・ビダルのロングパスをラウタロウが頭で落とし、ペリシッチのシュートで同点に追いついているんですから、まったく侮れませんって。

え、実はその頃にはもう、ジダン監督は追加点を狙うべく、スタメン出場したアザールとアセンシオをビニシウスとロドリゴのブラジル人若手FWコンビに代えていたんだろうって?はい、それがズバリ当たったのは35分、バルベルデが出したスルーパスに駆けだした20才の先輩が敵エリアまで上がり、並走してきた19才の後輩にパス。「Estoy listo en todo momento/エストイ・リストー・エン・トードー・モメントー(ボクはずっと準備ができてたよ)。ピッチに入った時に何かできるように、ゴールとか、アシストとか、チームを助けるためにね」と後で初々しく、インタビューに答えていたロドリゴのシュートが決まり、待望の勝ち越しゴールをもたらしてくれるんですから、本当に才能のある控えを持つチームは羨ましい。

おかげで3-2の勝利を手に入れたマドリーは同日、こちらも今節から無観客になった、キエフのオリンピスキー・スタジアムでメンヘングラッドバッハに0-6と大敗をしたシャフタールと同じ勝ち点4となって、3位に上昇。昨季もPSGに負け、クラブ・ブルージュと引分けた後、ガラタサライに連勝して、グループ突破への軌道修正ができたのと似た展開になってきましたが、そうそう、そのガラタサライとの4節ではロドリゴがハットトリックを挙げたなんてこともありましたっけ。何にしろ、インテルのコンテ監督も「マドリーはこの試合を決勝と見なしていたが、決勝では絶対、失敗しない」と言っていましたが、ここ一番の時には力を発揮してくれるのはさすがかと。

あとは、こちらも日曜午後9時からのバレンシア戦に勝って、気分の良いまま、代表戦週間を迎えてもらいたいものですが、幸い、インテル戦で足首に打撲を受けたアザールも無事、木曜のバルベベバス(バラハス空港の近く)でのセッションに参加。といっても、また復帰したてで来週はベルギー代表に行ってしまう?ようやくケガが治り、この週末のリーガには出場できそうなウーデゴールもそのまま、ノルウェイ代表にさらわれてしまいそうですしね。各国代表クラスの選手が多いからこそ、チームの質が高いと言ってしまえばそれまでですが、この時期はジダン監督もケガせず、皆、無事に帰って来てほしいとひたすら、祈っているに違いありませんって。

そしてマドリッド1部チームの弟分、折しも前節にはそのバレンシアと対戦し、波乱のロスタイムにアンヘルのゴールで逆転。その喜びも束の間、100分にソレルにPKを決められ、2-2で引き分けてしまったヘタフェは今週末、日曜午後2時(日本時間午後10時)にビジャレアルをコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎えることに。いやあ、実は木曜に相手はELグループリーグ3節のマッカビ・テルアビフ戦をプレーしていて、それがまた、集中豪雨でラ・セラミカのピッチが水浸しになったため、キックオフを午後9時から、10時に変更。整備員さんたちの必死の排水作業のおかげで何とか、開催できたんですが、ここまでするのはやっぱり、下手に延期すると後で日程調整に困るせい?

まあ、おかげで試合もバッカの2ゴールなどで4-0と大勝して、こちらもシバススポル、カラバフ戦に続いて3連勝と、突破にかなり近づいたのは朗報なんですけどね。重いピッチでフル出場をしているだけに、2点目のアシストをした久保建英選手はヘタフェ戦で控えに回るかも。何せ、現在首位のレアル・ソシエダ、6位のグラナダ、ビジャレアルも3位とEL出場組は何故か、揃ってリーガでも好調ですからね。尚且つ、この3節でも3チーム揃って勝利と、ヨーロッパでも躓いていないのはただただ、感心するしかありませんが、そろそろ7連戦の疲れが出るのは間違いないかと。

それだけにここ2試合、グラナダ戦での0-1負けに続いて、白星から遠ざかっているヘタフェには奮起してもらいたいところですが、こればっかりはねえ。とりあえず、バレンシア戦で退場したダミアンは出場停止となりますが、来週は彼も同僚のアランバリと共に再び、ルイス・スアレルやヒメネス、バルベルデといったマドリッドの兄貴分たちの選手たちと、ウルグアイ代表でご一緒するだけに、ちょっとはお休みがあった方がいいかもしれませんね。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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