TVで見た時は強かったのに…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2020年11月28日 13時30分

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「あまり変わり映えがしなかったかも」そんな風に私が溜息をついていたのは水曜の夜、思い起こせば、コロナ禍が昨季のリーガを止める直前、3月上旬のセビージャ戦以来となるワンダ・メトロポリターノでの試合観戦を終え、家路を辿っている時のことでした。いえ、いまだにスペインは1部、2部リーガ、そしてCL、ELでもスタジアムは無観客のままなんですけどね。このCL4節ではラッキーにも数少ないメディアとして、ロコモティブ・モスクワ戦を見に行けることに。それが以前なら、マッチデーには人で溢れかえっていたメトロの駅やワンダへと繋がる道に人影はほとんどなく、スタジアムの赤いライトアップだけが試合があることを告げているだけで、とにかく何もかもが非現実的。そんな中、まったくゴールが決められないアトレティコにイライラさせられる感覚だけが、妙に懐かしい気がしたのも久々のスタンド観戦だったせい?

まあ、そんなことはともかく、今週のCLグループリーグでは火曜にバルサがメッシとデ・ヨングをお留守番にし、控えメンバーで挑みながら、ディナモ・キエフに0-4と大勝。セビージャもかなりの数のロシア人ファンがスタンドから見守る中、クラスノダールにムニルの土壇場のゴールで1-2と勝利して、どちらも決勝トーナメント進出が決まっていたんですが、この2チームはどちらも前半戦順調でしたからね。それとは対照的だったマドリッドの両雄は必勝を期して、それぞれインテル戦、ロコモティブ・モスクワ戦に挑むことに。ホーム、アウェイが逆だった3節はキックオフ時間がずれて、私もバル(スペインの喫茶店兼バー)に4時間居座っての観戦となったんですが、同時進行となれば、レアル・マドリーの方はオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の2元中継に頼るしかありません。

どちらも同日、午後5時頃に訃報が伝わってきたマラドーナを追悼する黙祷から、スタートしたんですが、何せ、アトレティコは先週末の土曜に同じワンダでバルサに勝利したばかりでしたからね。メンバーも左SBのエルモーソがロディになった以外、いえ、それには当日の午前中に先発予定だったジエゴ・コスタが深部静脈血栓症を患っていることが発覚。これって、長時間フライトをした時に起きるエコノミー症候群みたいなもので、彼は今季のプレシーズン練習開始直前にコロナ陽性となり、その後遺症かもしれないと言われているんですが、急遽、招集外になったせいもあるんですけどね。もうすっかり、選手たちもファンの応援がないのには慣れたもんで、バルサ戦同様、序盤から、血気盛んなプレーを見せてくれたものの…。

でも、コレアが撃っても、マルコス・ジョレンテが撃っても、カラスコが撃っても全て、GKギジェルメに弾かれてしまったんですよ。そうこうするうち、前半7分、早くもサン・シーロからはナチョがバレッラにエリア内で倒されてPKをゲットの報が。スペイン代表戦3試合目のドイツ戦で負傷したセルヒオ・ラモスが不在だったため、アザールが代わりに決めて、お隣さんは先制点を挙げたんですが、とにかく目の前の試合の方はゴールが入らなくてねえ。更にミラノでは、バランに倒されたのにペナルティを取ってくれないのに激怒。「Tiene ahí la mierda del VAR para mirar y nada/ティエネ・アイー・ラ・ミエルダ・デル・バル・パラ・ミラール・イ・ナーダ(そこに見るためのクソVARがあるのに何にもしない)」と主審に喰ってかかったアルトゥロ・ビダルが続けざまにイエローカードをもらい、退場となった33分にもまだ、雨の降りしきるピッチでアトレティコはギジェルメを破ることができません。

そしていよいよ後半、ジダン監督がトップチームに残った唯一のCF、マリアーノをロドリゴに、ウーデゴールをようやくPCR検査が陰性になって、この試合に間に合ったカセミロに代えたと聞いてほんのすぐ後、14分にはルーカス・バスケスのクロスをロドリゴがvalea(ボレア/ボレーシュート)で決めて、マドリーのリードが2点に広がったことが伝わってきたんですが、いえ、22分には私もゴールを喜ぶことができたんですけどね。ええ、カラスコのFKは敵の壁に当たって戻って来たものの、再びシュートしたボールをGKが弾いたところにコケが詰め寄って、至近距離からシュート。これがネットに突き刺さって、場内には観客のいる試合とまったく同じ、お祝いのミュージックとゴールアナウンスが響いたんですが…。

いやあ、まさかVAR(ビデオ審判)により、「Me han dicho que estaba por la minima/メ・アン・ディッチョー・ケ・エスタバ・ポル・ラ・ミニマ(ギリギリのところだったと言われた)」というコケのオフサイドが指摘され、ノーゴールになってしまうとは。うーん、あとで後半のピッチに出る前、トンネルでヒメネスとコレアがその日の主審について会話。スロベニア人のビンチッチ審判が、「Se pone a hablar en ruso con los otros/セ・ポネ・ア・アブラル・エン・ルソ・コン・ロス・オトロス(他の奴らとロシア語で話してたよ)」とコレアから聞いて、「とにかく変だよな」と話しているシーンが公開。2人共、サウールに「Cámara con audio/カマラ・コン・アウディオ(カメラが音も録ってる)」と注意されて黙ったなんてこともあったんですが、いざとなれば、同郷のオブラクにも頼れたはずですからね。

別に彼らが文句を言う程、その日のジャッジが悪かったとは思えませんし、何より、反省すべきは16回もCKのチャンスがありながら、1点も取れなかった自分たちの決定力のなさかと。ええ、シメオネ監督もレマル、エルモーソ、そして最後はカンテラーノ(アトティコBの選手)のカメージョを入れて、チームをリフレッシュしてみたんですけどね。モスクワではCKから先制ゴールを決めたヒメネスのヘッドもこの日は枠を外れ、そのまま、0-0で終了となれば、まさに「Es para estar enfadado/エス・パラ・エスタル・エンガダードー(これは怒っていい結果)」(コケ)とはこのことでしょう。

え、グループ最弱のチームと中2節、連続引き分けって、2年前のカラバフの悲劇(3位敗退でその後、ELに優勝)を思い出さないかって?その通りなんですが、あの時はもっと4チームの勝ち点数が競っていたんですが、今回はバイエルンがこの日もザルツブルクに3-1で勝利して4連勝と、すでに首位突破を確定。おかげで勝ち点5の2位アトレティコにも次点で勝ち抜ける可能性は十分、残っているんですが、いやあ。いくら、「Cuando se depende de uno mismo, hay tranquilidad/クアンドー・セ・デペンデ・デ・ウノ・ミスモ、アイ・トランキリダッド(自分たち次第で何とかなるんだから、平静でいられるよ)」(ヒメネス)とはいえ、来週火曜にワンダに迎えるのはまさにその、アトレティコが1節で4-0のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らったバイエルンなんですよお。

ロコモティブに1勝でもしていれば、まだ負けても大丈夫と、私も気楽でいられましたが、アウェイでの最終節、ザルツブルク戦に全てのカードを懸けるのはあまりに怖いですからね。シメオネ監督も「La Champions se nos viene complicando un poco/ラ・チャンピオンズ・セ・ノス・ビエネ・コンプリカンドー・ウン・ポコ(CLはちょっと難しくなっている)」なんて悠長なこと、言っているどころではない?といってもコスタの治療は長引きそうですし、ルイス・スアレスもまだコロナ陽性になってから、1週間ちょっとしか経っていないのが辛いところ。

今週末、土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)から、メスタジャでのバレンシア戦には再び、CFなしで挑まないといけないのは仕方ありませんが、ファンとしては、スアレスが来週には陰性になってくれるのを祈るばかり。メキシコ代表の合宿中に負傷したエレーラも復帰は微妙ですし、先日、入団したコンドグビア(バレンシアから移籍)はCLに選手登録されていないため、現在、5連勝で2位と、好調なリーガの方はローテーションが入りそうな感じですが、さて。相手の方も左SBのガヤが前節のアラベス戦で左ハムストリングを肉離れして全治1カ月と最近、どのチームもケガ人が増えてきているのは嫌な傾向ですよね。

一方、「出られない選手が多くてマドリーが泣いているなんてマスコミが言うのはお笑いだ」という、コンテ監督の試合前のコメントを裏付けるように、そのまま、0-2で勝利。インテルに2連勝して、来週火曜にキエフでシャフタールに勝てば、グループ突破が決まるところまで、2節まで勝ち点1しかなかったマドリーは立て直すことができたんですが、そこはやはり、前人未踏の13回優勝をしている得意な大会。いみじくもバルサに勝って、ロコモティブに勝てなかったシメオネ監督と、リーガ前節ビジャレアル戦で1-1と引分けながら、インテルには完勝したジダン監督が「Esto es el fútbol/エストー・エス・エル・フトボル(これがサッカー)」という台詞で一致していたのも何ですが、負傷中のベンゼマ、コロナ陽性のヨビッチ、マリアーノもこの日は不発ながら、ちゃんとゴールが入るのですから、お隣さんもここは見習わないといけないかと。

いえまあ、コンテ監督も「精神的にとても重圧のある試合で、落とすことができなかった上、相手がマドリーとあっては…」と、グループ最下位のインテルがエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)での3節のように、互角にプレーできなかった理由を説明していましたが、何せ、2010年にはモウリーニョ監督(現トッテナム)の下、CL優勝を遂げて以来、しばらく不調が続き、6シーズンもこの大会に出られない時代もあった彼らですからね。昨季もグループリーグで敗退し、EL16強対決の一発勝負ではヘタフェを簡単に足蹴にしたものの、その時はエチェイタがシュートを邪魔することもできず、巨人のように見えたルカクでさえ、ラモス抜きで、ナチョ&バランのCBコンビに成す術もなかったとなれば、これは格の違いと言っていい?

もっともそのELの方でも、最後にインテルはこちらも前人未踏、6回目の優勝を遂げたセビージャに決勝で負けることになったんですが、ちなみに夏にはヘタフェの一員として、そのインテル戦に途中出場し、今季からはRMカスティージャにレンタル移籍。頭数不足で遠征に参加していたウーゴ・トゥーロの出番はなかったんですが、一応、これでリベンジは果たせたかと。先週から、マドリーも地獄の10連戦に突入したため、また近いうちにトップチームに呼ばれることもあるかと思いますが、とりあえず、木曜のバルデベバス(バラハス空港の近く)でのセッションの映像を見たところ、土曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのアラベス戦にはベンゼマが戻って来られるかもしれません。

何せ、宿敵のバルサはもっと切実なんですが、マドリーもリーガでは現在4位と、そんなに調子がいい訳ではありませんからね。ラモスはシャフタール戦に向けて、鋭意リハビリ中ですが、ようやくミリトンはPCR検査が陰性に。この先もセビージャ戦、お隣さんとのマドリーダービーと大変な試合が続くだけに早いところ、ケガ人、自宅隔離選手には復帰してもらいたいところですが、アラベスでも前節のバレンシア戦の後、マヌ・ガルシアが陽性と、ウィルスにはもう誰がいつ、感染しても不思議はなさそう。

そしてヨーロッパの大会組でないヘタフェはまた日曜、同じ週1ペースのアスレティックをコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎えることになるんですが、相手は前節、ベティスに4-0で大勝と復活の兆しが見えてきていますからね。このところゴール日照りに見舞われ、直近4試合、白星に見放されているボルダラス監督としてもそろそろ、浮上のキッカケを掴みたいはずですが、さて。今のところ、11位と程々のところに位置している彼らですが、年が変わって、ファンがスタジアムに戻って来られる頃にはまた、EL出場権を争えるぐらいの高みにいてくれたら、きっと皆、喜んでくれますって。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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