去る者は追わず…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2020年12月30日 21時50分

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「えええ、こんな簡単に決まるのお?」そんな風に私が唸っていたのは火曜日、クラブからジエゴ・コスタ退団のcomunicado official/コムニカードー・オフィシアル(公式声明)が出たことを知った時のことでした。いやあ、3日間のクリスマスミニ休暇を楽しんだ後、アトレティコは先週土曜の夕方にはマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場でセッションを再開。その時はコスタも普通に練習しており、取材陣が気にしていたのはFA(イングランド・サッカー協会)から、FIFA経由で10週間のサッカー活動禁止処分を受けたトリッピアーはどうしているのかの方だったんですが、翌日にはコスタが来年6月で終わる契約を前倒しで終了したいという意向をフロントに通告したとの報が。

どうやら非公開だった日曜の練習にはすでに当人の姿がなかったようで、月曜にまた私がセッションを見に行った時にも、カメラマンたちが入り口でコスタの車を待ち受けていたんですが、やっぱり現れず。最初は家族の事情でと聞いていたため、まさか昨年、娘さんが骨肉腫にかかり、一時、スペイン代表監督の座を降りていたルイス・エンリケ監督のように、身内に重病人でも発生したのかと心配していれば、結局は個人的理由、それも今季のCFレギュラーがルイス・スアレスで、自分の出番が少なくなりそうだからって、え、ちょっと自分勝手すぎじゃない?

だってえ、2017年の夏にチェルシーから出戻りした彼はアクシデント続きで、いえ、翌年になるまで試合に出られなかったのは、アトレティコが未成年選手獲得の規則違反によるFIFA処分中で新規選手登録ができなかったせいなんですけどね。翌シーズンは以前、足に入れた補強具の入れ替えで、その次のシーズンも頸椎のヘルニアで長期離脱。何試合も出場停止が続いたこともありましたし、今季もコロナ感染の後、後遺症で血栓を患い、ようやく復帰した2節前にはここ3シーズンで19本目のゴールとなるPKを決めて、さあ、これからというところだったというのに、あまりに唐突な心変わりじゃないですか。

いえ、自身も選手として2003年にアトレティコのユニフォームに再び袖を通したものの、あまり出場機会に恵まれなかったせいか、翌シーズンの冬の市場で母国のラシン・クラブに行ってしまったシメオネ監督など、コスタの気持ちがわかるんでしょうかね。あれだけ、血栓の治療中には「復帰をずっと待っている」と彼の重要性を熱弁していたにも関わらず、火曜の記者会見では沈着冷静そのもの。「Tiene la necesidad de encontrar nuevos desafíos porque está bien, está fuerte/ティエネ・ラ・ネセシダッド・デ・エンコントラール・ヌエボス・デサフィオス・ポルケ・エスタ・ビエン、エスタ・フエルテ(彼には新しい挑戦を見つける必要がある。状態もいいし、強靭だからね)」と大人の理解を示していたんですけどね。一応、契約破棄に際しては、クラブもリーガの他のチームに行く場合、CL16強対決に残っているチームに行く場合は1500万ユーロ(約19億円)の違約金を払うよう、条件を付けることができましたし、ルイス・スアレス1人なってしまうCFの補強にも動いているため、それ程、焦る必要はない?

実際、今季の夏も頼りになるゴールゲッターを獲るには、リーガの人件費制限のせいで、コスタの放出が必須と言っていた矢先にモラタがユベントスに移籍。そのおかげでスアレスが来られましたし、すでにマルカ(スポーツ紙)などでは後継FWの候補者アンケートなども実施していて、一番人気は今季、2部で首位を走るエスパニョールのラウール・デ・トマス。他にもロドリゴ(リーズ)、マキシ・ゴメス(バレンシア)などが票を得ているようで、最初に名前の挙がったミリク(ナポリ)は4番手だったんですが、ロディ1人しかないない左SBにもマルコス・アロンソ(チェルシー)のレンタル移籍といった話も出ていますしね。ジョレンテやカラスコらのおかげでゴール不足が解消されつつある今は、冬の新入団選手を楽しみにして待つのがいいかもしれませんね。

え、そんな余裕があるのも彼らがお隣さんと同じ勝ち点ながら、消化試合が2つも少ない首位にいるおかげかって?まあ、それもあるんですが、この水曜のリーガ再開節、といっても1週間空いただけなんですが、アトレティコが対戦するのはマドリッドの弟分ヘタフェなんですよ。ホント、これは相性が悪いとしか言えないんですが、彼らはシメオネ監督が就任して以来、リーガ、コパ・デル・レイでの対戦17試合で2分け15敗と1勝もしていないどころか、1点も取っていないって、ちょっと尋常ではないかと。ここまで分が悪いと、選手たちも諦め気味になるのか、アランバリなども「Siempre que no se puede ganar, el empate es lo major/シエンプレ・ケ・ノー・セ・プエデ・ガナール、エル・エンパテ・エス・ロ・メホール(勝てないのなら、引き分けが最良)」と言っていましたっけ。

おまけにヘタフェは先日、カディスに勝って7試合白星なしのスランプは脱したものの、前節のセルタ戦で1-1の引き分けと再び躓き、更にダミアン、カバコ、ニヨムの3人が累積警告による出場停止に。かてて加えて、今週は10月の7節グラナダ戦後にクーチョが審判批判した件について競技委員会の処分が出され、4試合出場停止となってしまったんですが、こちらは先週の試合で負傷して、リハビリに同じぐらいの期間が必要というのは不幸中の幸いというか、何というか。

ちなみにボルダラス監督にとって、一番の悩みの種はこの試合、右SB要員がいなくなってしまったことですが、今季はゴールもなかなか入らないヘタフェですからね。現在、11位ながら、降格圏まで勝ち点差3しかないというのも気になりますが、クリスマス明けは日曜のダブルセッションから、リスタートした彼らが実際、成績を改善するのは年明けのバジャドリー戦、エルチェ戦からということになる?そういえば、火曜に先行したカードではビジャレアルがセビージャに2-0と負け、久保建英選手はこれで3試合連続出場機会なし。当人には動く意志がないと言われていますが、ひょっとしたら、ヘタフェのアンヘル・トーレス会長が上手いこと、レンタル移籍の話を兄貴分とつけてくれるかもしれませんよ。

その一方でアトレティコは、うーん、トリッピアーとコスタに加え、エレーラもまだケガが治らず、欠場となるんですけどね。前節のレアル・ソシエダ戦には扁桃腺を腫らして出られなかったジョアン・フェリックスがこの月曜、28日のDia de Inocente/ディア・デ・イノセンテ(スペインのエイプリルフール)恒例のTV番組で、incentada(イノセンターダ/ドッキリカメラ的なイタズラ)の犠牲になっていたのはともかく、もう土曜から元気に練習していましたしね。右SBにはベルサイコも復帰しているため、また3日おきの10連戦のような過密日程が来た折には心配ではありますが、見たところ、戦力的に不安はなさそう。

ただ、水曜午後7時15分(日本時間翌午前3時15分)から、ワンダ・メトロポリターノでヘタフェ戦をプレーした後は年明け3日、日曜にアラベス戦、来週は水曜にコパ・デル・レイ2回戦のコルネジャ(2部B)戦、そして9日土曜にアスレティック戦と続くんですが、その次のスペイン・スーパーカップの週がラ・リーガのカレンダーでポッカリ空いているのは不思議。アトレティコもヘタフェも開幕が遅れ、未消化試合があるため、そこに入れられて、またミッドウィーク稼働になるんじゃないかという疑いは捨てきれないものの、果たしてどうなんでしょうか。

そしてその週、1月14日にはアスレティックとスペイン・スーパーカップ準決勝を戦うことになっているレアル・マドリーの直近の様子も伝えていくことにすると。日曜からバルデベバス(バラハス空港の近く)で練習を再開したジダン監督のチームもminiparon(ミニパロン/リーガの小休止期間)明けは水曜午後9時30分(日本時間翌午前5時30分)、アウェイのエルチェ戦からスタート。何せ、彼らは現在、リーガ5連勝中と調子に乗っている上、先週にはすでにアザール、ウーデゴーア、ヨビッチ、マリアーノら、しばらく負傷で戦列を離れていた選手たちも戻って来ていますからね。

クリスマス中に来年6月までだった契約を1年延長したモドリッチも筋肉痛から回復したため、今回、欠場となるのは前節のグラナダ戦で太ももの筋肉に重傷を負い、全治3カ月となってしまったロドリゴだけに。ここまでの連勝中はジダン監督の使う選手も14、5人と限られていたんですが、「Eden va a estar mañana y la idea es que juegue un poco/エデン・バ・ア・エスタル・マニャーナ・イ・ラ・イデア・エス・ケ・フエゲ・ウン・ポコ(明日はエデンもベンチに入って、少しプレーする予定)」というアザールはともかく、固定メンバー以外の誰かの顔をピッチで見られるかは試合の展開次第かと。

ちなみに相手のエルチェはここ8試合白星なしの5分け3敗と調子が良くなく、いやあ、それどころか、20日にコロナ感染が発覚したアルミロン監督もまだ、自宅隔離中で現場の指揮が執れないという境遇にありますからね。ただ、2節前、アトレティコが3-1と快勝した昇格組とはいえ、マドリーには同類のカディスに負けたという黒歴史があるため、油断は禁物です。その他、調子がいいせいか、このクリスマス期間中、マドリーのニュースは意外と少なく、うーん、出番の少ないイスコがスペイン代表での恩師、ロペテギ監督のいるセビージャへの移籍を考えているといっても今季末の話のようですしね。ジダン監督も「Cuento con todos mis jugadores/クエントー・コン・トードス・ミス・フガドーレス(選手全員を当てにしている)」と火曜の記者会見でも繰り返していたように、冬の移籍市場での動きは今のところ、予想されていません。

そうそう、先日、私もヒマな時間を利用して、またサンティアゴ・ベルナベウに行ってみたんですが、いえ、超大型クレーンが並び立つ工事現場風景は変わってないんですけどね。今度はメトロの駅出口すぐのところに目立つようにスタジアムツアーのチケット売り場ができていただけでなく、コンチャ・エスピーナ通りに面した外周の足場を縫った隙間にオフィシャルショップがリオープン。うーん、コロナの感染拡大を防ぐため、クリスマスや大晦日など、日にちを区切って、マドリッド州への出入りにまで制限がかかっている現在とあって、観光客もおらず、ショップ内も店員の人数の方が多いという、かつての賑わいを覚えている者としては淋しい限りではあったんですけどね。ツアーも盛況とは言えなさそうなんですが、何か最近はベルナベウ新装オープンが先か、コロナ禍が終わるのが先かという雰囲気になってきたのはちょっと怖いかもしれません。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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