【J1クラブ通信簿/横浜F・マリノス】ケガと超過密日程に狂わされた連覇への航海、課題を再確認したシーズンに

超ワールドサッカー / 2021年1月10日 19時0分

写真:©︎J.LEAGUE

未曾有のシーズンとなった2020年のJリーグ。新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受け、中断による異例の超過密日程、観戦や応援の制限など、多くの困難を乗り越え、すべての日程を終了した。

その中でも、熱戦が続いた2020シーズンのJリーグ。超ワールドサッカー編集部は、J1全18クラブの通信簿(チームMVP、補強成功度、総合評価)をお届けする。

第10弾は9位の横浜F・マリノスを総括!(評価は「S」が最高、「E」が最低)

◆総合評価【D】
14勝5分け15敗 (勝率41.2%)
69得点59失点

連覇を目指し、王者として2020シーズンの明治安田J1に臨んだ横浜F・マリノス。しかし、その航海はとても厳しいものとなってしまった。

その大きな要因は、予想以上のケガ人が出たこと、そして新型コロナウイルスの影響による過密日程が挙げられるだろう。特に、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)に出場したことで、他チーム以上に過密日程を組まざるを得ない結果となり、それはチームのプランを大きく崩すこととなった。

開幕戦でガンバ大阪を相手に敗れてスタートを切ると、新型コロナウイルスの影響でリーグ戦が中断。その間に急遽戦力を補強する一方で、チーム内にはケガ人も続出。戦力が完全に整ったのは、奇しくもACLが再開する11月前となった。

再開後もなかなか成績が上がらなかった横浜FMだが、1つは新戦力がチームのシステムにフィットするのに時間を要したこと。そして、前述の通りケガによる人員不足と言えるだろう。

アンジェ・ポステコグルー監督が打ち出したスタイルでは、選手が数人入れ替わるだけでプレー精度が大きく下がってしまう傾向があり、2020シーズンはそういったことを感じさせるシーンが多く見られた。

1つは守備面のバランスだ。両方のサイドバックが同時に高い位置を取ることもある今の戦い方は、4バックの中央2人に大きく守備の負担がかかる。2019シーズンはDFチアゴ・マルチンスが大車輪の活躍を見せ、広大な範囲をカバーするとともに、DF畠中槙之輔、GK朴一圭との良い補完性を見せていた。

しかし、チアゴ・マルチンス、畠中、朴一圭とそれぞれがケガに見舞われてしまい、なかなかベストメンバーを組めず。DF伊藤槙人が奮闘を見せたが、急遽獲得したDF實藤友紀はすぐにケガに見舞われ戦力として計算するのが難しくなり、シーズン途中にはDF喜田拓也を中央に置いた3バックシステムも採用した。最終ラインの不安定さが失点を「21」も増やしてしまった要因だと言える。

リスク覚悟で守っていたものが崩壊し、過密日程により選手をターンオーバーさせざるを得ない状況になると、現状の横浜FMでは精度に問題が出てしまうところが課題として見つかった。

そして、それは攻撃陣にも言える。2019シーズンの得点王&MVPのFW仲川輝人もシーズンを通してケガに悩まされ、たった2得点に終了。シーズン途中加入のFWジュニオール・サントスが13得点と気を吐き、終盤にはFWエリキも13得点まで伸ばす活躍を見せたが、綺麗にハマった攻撃を見る回数は2019シーズンよりも減っていた。

ケガと過密日程により戦力が整わなかったことでプレークオリティが下がったことが主な要因といえるが、一方でACLも含めて多くのことにトライする良い機会になったともいえる。3バックのシステムを試したり、選手のポジションを変えたりと川崎フロンターレが独走しすぎたことで2021シーズンへ繋がる準備をし始めたようにも見えた。多くの選手が経験を積めたという点では、将来につながるシーズンになったともいえるだろう。

◆チーム内MVP

©Y.F.M.

MF喜田拓也(26)
明治安田生命J1リーグ30試合出場(先発24試合)/0得点

途中加入で13得点を記録したFWジュニオール・サントスや、終盤にゴールを量産したFWエリキなども候補だが、チーム内MVPはMF喜田拓也に与えたい。

キャプテンとして連覇を目指すシーズンに臨んだ喜田。しかし、前述の通りチームは超がつくほどの過密日程とケガ人続出という緊急事態に陥ってしまい、思うように結果が出なかった。

喜田は本職のボランチのほか、3バックシステム時にはリベロの役割を担うなど、大きな責任を持って戦うシーズンとなった。

リーグ戦だけでなく、ACLでもチームを牽引。敗退決定時には悔しさをにじませ、言葉が出ないほどだったが、それだけの重責を担っていたということでもあるだろう。チーム最多の先発出場数も含め、喜田をMVPに推したい。

◆補強成功度【C】
©︎J.LEAGUE

突出して活躍を見せたのは、シーズン途中加入のFWジュニオール・サントス。後半戦の得点源となり、22試合で13得点を記録したことは大きな戦力となった。

また、ロケレンから加入したDF小池龍太、MF天野純も大きな存在感を発揮。DF松原健が担っていた右サイドの負担を分散できたことは大きく、時には左サイドバックでもプレー。大きな戦力となった。

その他、古巣復帰という形になったMF水沼宏太も25試合に出場し3得点。試合をこなすごとに結果を残し、戦術理解度が高くチームとして戦い方の幅を広げられる要因となった。

GK梶川裕嗣はGK朴一圭の負傷により出番が周り、ACLを含めて一定のパフォーマンスを披露。途中出場がメインだったFWオナイウ阿道も4得点を記録。FW前田大然も要所で持ち味を発揮した印象だ。

ここまで見れば、突出した結果を残していなくとも補強は成功と考えられるが、シーズン当初の補強で考えれば、失敗したと言わざるを得ない。

レノファ山口FCから加入したDF前貴之、ツエーゲン金沢から加入したDF山本義道、京都サンガF.C.から加入したMF仙頭啓矢、徳島ヴォルティスから獲得したMF杉本竜士が居たのを覚えているだろうか。いずれも夏には他クラブへ期限付き移籍すると、シーズン終了後には完全移籍でチームを去った。この補強に関しては、完全な失敗だったと言えるだろう。

2021シーズンに向けても補強を進める横浜FM。戦い方のクオリティを上げられる選手を見つけるのは簡単ではないが、巻き返しに向けてもしっかりと固めていきたいところだ。

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