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スタメンに騙されてはいけない…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2021年2月28日 1時40分

写真:©Atlético de Madrid

「これでまた、気合が入ってくれればいいんだけど」そんな風に私が呟いていたのは金曜日、チェルシー戦の翌日を練習休みにした後、木曜午後にマハダオンダ(マドリッド近郊)で再開したアトレティコのセッションに30人程のサポーターが駆けつけ、柵の外でbengala(ベンガラ/発煙筒)などを焚いて、チームを応援していたというニュースを見た時のことでした。いやあ、丁度、水曜のCL16強対決1stレグ前にはアタランタファンが集結。車で1時間程離れたミラノのサン・シーロ(インテルとミランのホーム)に軒を借りた昨季とは違い、本拠地ベルガモにレアル・マドリーを迎えるチームを華々しく見送っていたんですけどね。世が世なら、アトレティコファンだって、去年のリバプール戦のようにワンダ・メトロポリターノ周辺の道で大勢が待機して、赤と白の炎と煙で夜空を染め上げていたはず。

ところがどういう因果か、今は試合が無観客なのはともかく、スペイン政府のコロナ感染予防規制により、イギリス勢が入国できず。おかげでアトレティコは遥々、ブカレスト(ルーマニア)まで移動して、ホームゲームを戦う破目になったんですが、このまま、おめおめと敗退してしまったら、今季中、サポーターが発煙筒を使う機会もなくなってしまうかもしれませんからね。今週末のリーガ戦もアウェイですし、ワンダは木曜から、警官や消防官などのエッセンシャルワーカーを対象にした先行ワクチン集団接種会場の1つとして、ピッチではなく、沢山あるVIP用ラウンジが大賑わい。おかげでスタジアム練習もないとあって、彼らもマハダオンダに行くことにしたんでしょうけど、実際、アトレティコだけでなく、総じてスペイン勢のCL決勝トーナメント滑り出しは良いものとは言えなかったかと。

そう、先週、PSGにカンプ・ノウで1-4と大敗したバルサ、サンチェス・ピスファンでドルトムントに2-3と競り負けたセビージャに続いて、火曜にチェルシー戦に挑んだシメオネ監督のチームだったんですが、うーん、キックオフ1時間前にスタメンが発表された際には、「superofensivo/スペルオフェンシーボ(超攻撃的)」という形容詞が速報に付いていて、私も胸を躍らせたものですけどね。ルイス・スアレス、ジョアン・フェリックス、コレア、レマル、マルコス・ジョレンテと来れば、てっきりノーガードの撃ち合い覚悟かと思いきや、とんでもない。その実体は敵にボールを預け、サビッチ、フェリペ、エルモーソの3CBを軸にSB役のジョレンテ、レマル、そしてコレアまでも加わった6人DF制だったなんて、一体、誰に予想できる?

いえ、2試合制の場合、シメオネ監督が初戦のホームゲームは0-0でもいいと思っているのは周知の事実でしたけどね。だったら、コンドグビアやトレイラといった守備的な選手を使って、以前はよくやっていた、コケとサウールを合わせてのcuatrivote(クアトリボテ/4人ボランチ制のこと)か何かなら、こちらも変な期待を抱かずに済みましたし、何せ今のアトレティコは7試合連続失点中と、鉄壁の守りからは程遠い状態。おまけにその日は一定の頻度で繰り返す、「パスが3度と続かない」病も発症してしまったため、ほとんど自陣から出られず、GKオブラクの側に固まっているだけとなれば、どんなにフラストレーションが溜まったことか。

ただ、相手の方もあまりチャンスは作れなかったため、後半が始まった時にはこのままスコアレスドローでも仕方ないという気持ちになっていたんですが、そうは問屋が卸さなかったのは26分。ちょっと前には滅多にないアトレティコのチャンスでジョアン・フェリックスが大きく外していたchilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)を見事、34才のチェルシーのエース、ジルーに決められてしまったから、ビックリしたの何のって。それもVAR(ビデオ審判)でオフサイドを細かくチェックされたところ、クロスを上げていたのがエルモーソだったとなれば、GKオブラクも不運な巡り遭わせを嘆くしかありませんって。

結局、アトレティコの34才のエースは5年間、この試合は名目上、ホームチームだったとはいえ、CLアウェイ戦でノーゴールという記録を更新し、そのまま、彼らは0-1で敗北。バルサ、セビージャと共に2ndレグでのremontada(レモンターダ/逆転突破)祭りに参加することになったんですが、いやあ、確かにこうなると、敵エリア付近から、自陣に戻る間のプレーで3度もボールロストしていたキャプテンのコケも「Tenemos que ir a Londres a ganar, no queda otra/テネモス・ケ・イル・ア・ロンドレス・ア・ガナール、ノー・ケダ・オトラ(ロンドンには勝ちに行かないと。他の選択肢はない)」と言っていた通り、腹を括るしかないんですけどね。

これで2月のアトレティコはグラナダに勝利した以外、5試合で2分け2敗。3月17日のスタンフォード・ブリッジでは負傷でいなかったカラスコ、FA(イングランド・サッカー協会)のサッカー活動禁止処分が今月末に明けるトリッピアーも戻って来ますし、相手はマウントとジョルジーニョが累積警告で出場停止。それだけに絶望することはないものの、問題はこの停滞期にジリジリ詰まってきた、リーガ後続との距離の方なんですよ。

ええ、一時は2位と勝ち点差10と絶対首位の座を極めたアトレティコも今ではお隣さんとたったの3差に。水曜に延期されていたエルチェ戦に3-0と勝利した3位のバルサも5差と追い上げてきましたからね。といってもクーマン監督のチームは今週末、4位のセビージャとの潰し合いだけでなく、来週水曜にも2-0で負けた1stレグを逆転しないといけない、コパ・デル・レイ準決勝セビージャ戦2ndレグもあるため、まだ生温かい目で見ていればいいんですが、怖いのは来週末にマドリーダービーが控えていることかと。

というのも金曜の練習で復帰できたのがベルサイコとコロナ陰性となったエレーラだけのアトレティコはこの日曜、午後9時(日本時間翌午前5時)から、木曜のEL32強対決2ndレグでもザルツブルクに2-1と勝利。2連勝でディナモ・キエフとの16強対決に進むことになったビジャレアルと対戦しないといけないから。ここでまた勝てないと、いよいよダービーが首位決戦になってしまいかねませんからねえ。もちろん、負傷欠場者の数では遥かにマドリーが上なんですが、彼らはこの2月、5試合全勝。その直近の白星がそれこそ、水曜のCLアタランタ戦1stレグだったんですが、エースのベンゼマ、そしてキャプテン、セルヒオ・ラモスを筆頭に9人もの選手がお留守番となった、その試合がどうだったかというと。

先週末のバジャドリー戦から、マリアーノをイスコに代えた以外、同じメンバーで挑んだ彼らにはまだ探り合いが続いていた前半18分、エリア前で倒されたメンディが「ocasion manifiesta de gol/オカシオン・マニフィエスタ・デ・ゴル(決定的なゴールチャンス)」にあったとして、ファールを犯したフロイラーがレッドカードを受けて退場になるという、滅多にない幸運が降ってくることに。更にアタランタは30分にエースのサパタがケガで交代という逆境に見舞われたため、自慢の破壊力を披露することができなかったんですが、それにしても時間がかかりましたね。マドリーがゴールを入れるのは。

ええ、敵が10人になってから、ボールをずっと握っていた彼らなんですが、シメオネ流を余儀なくされたアタランタは辛抱強く抵抗。後半12分にはビニシウスをマリアーノに、31分にはイスコ、アセンシオをカンテラーノ(RMカスティージャの選手)のウーゴ・ドゥーロとアリーバスに代えた後、40分、クロースの短いCKをモドリッチが繋ぐと、「Era una jugada ensayada, pero el que tenía que rematar no era Ferland/エラ・ウナ・フガダ・エンサジャーダ、ペロ・エル・ケ・テニア・ケ・レマタル・ノー・エラ・フェルラン(練習したプレーだが、シュートを撃つ役はメンディではなかった)」と後でジダン監督も苦笑いを浮かべていたんですが、まさか左効きのSBがエリア前から、右足で強烈なgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めてしまうとは!

リーガ前節もセットプレーから、カセミロのヘッドで1-0の勝利をしたのに続いて、最少得点差での白星をもぎ取ったマドリーでしたが、ゴール供給源のFWがいなくても勝てるのはセットプレーでの強さと最近、ラモス不在でも落ち着いてきた守備の固堅さ故。2014年にリーガ優勝を遂げた時のアトレティコみたいではありますが、この日は敵の枠内シュートが0と、「No me esperaba una noche tan tranquila/ノー・メ・エスペラバ・ウナ・ノチェ・タン・トランキーラ(こんな静かな夜は予想していなかった)」と余裕を見せていたGKクルトワも3月16日、エスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)で開催される2ndレグでは用心しないと。

というのもこの1stレグでカセミロがイエローカードを受け、累積警告となってしまったからですが、アタランタだって、11人で90分戦えれば、もっともっと攻撃してくるでしょうからね。ただ、さすがにあと3週間もあると、マドリーもベンゼマ、アザール、バルベルデ、ロドリゴ辺りが戻って来る可能性があるため、その分、戦力も増しますが、人手不足は月曜午後9時からのレアル・ソシエダ戦ではまだ解消する見込みはないよう。今回の相手は木曜のEL32強対決マンチェスター・ユナイテッド戦2ndレグで0-0と引分けたものの、1stレグ、こちらもスペイン国外の代替地、トリノのユベントス・スタジアムでプレーしたホームゲームで喫した0-4の大敗により敗退。オールド・トラフォードではオジャルサバルがPKを失敗するなど、結構、尾を引く幕引きをしていますからね。

よって、首位奪取のチャンスが見えてきたマドリーの方が士気的にも有利な気がしますが、さて。ちなみにELスペイン勢、最後の1チーム、グラナダはナポリのホームで2-1と負けたものの、初戦2-0の勝利がモノを言って突破。16強対決はノルウェイのモルデが相手なので、頑張れば、準々決勝にも行けそうですが、いやはや。だってえ、昨季のリーガ最終戦でマドリッドの弟分チームを抜いて7位となり、EL予選2回戦からの出場権を勝ち取ったのがグラナダで、それこそ何か1つ違えば、今季もヘタフェがヨーロッパの舞台で輝いていたかもしれないんですよ。それが今となっては…。

そう、ここ6試合白星なし、それも1分け5敗というスランプに陥っている彼らはこの土曜、午後9時(日本時間翌午前5時)から、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでバレンシアと対戦。とりわけここ2節はレアル・ソシエダとベティスに1-0という僅差で連敗しているため、ボルダラス監督など、「Lo malo de una semana así es que se hace más larga cuando pierdes/ロ・マロ・デ・ウナ・セマーナ・アシー・エス・ケ・セ・アセ・マス・ラルカ・クアンドー・ピエルデズ(こういう週は負けた後、ますます長く感じさせられる)」とボヤいていましたが、じっくり反省と練習の時間が取れたのはチームにとっても良かったはず。

バレンシアも今季は補強不足に悩み、現在12位と決して届かぬ高みにいる訳ではありませんしね。14位のヘタフェとしては、ここで悪い流れを断ち切って、降格圏までの勝ち点3差を少しでも広げるよう、努力してもらいところ。一応、久保建英選手やアレニャを控えにして、馴染みの4-4-2に戻した結果、失点は減ったため、あとはマタやアンヘル、クーチョらFW陣がゴールを取り戻してくれれば、また勝てるようになるんじゃないかと思いますが…とりあえず、今週末はマドリッド勢最初の朗報を彼らから聞けるといいですよね。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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