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これからは胃の痛くなる週末が続く…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2021年4月6日 22時30分

写真:©Atlético de Madrid

「普通ならもっとワクワクしててもいいんだけど」そんな風に私が腑抜けていたのは月曜日、ジダン監督とナチョのCL準々決勝リバプール戦1stレグ前記者会見をレアル・マドリーTVで見ていた時のことでした。いやあ、今季は決勝トーナメントに4チーム揃って進出したスペイン勢でしたが、最初の16強対決でバルサはPSGに、セビージャはドルトムントに、そしてアトレティコもチェルシーに負けて、もう生き残りはマドリーだけ。おまけにこのカードは2018年決勝の再戦で、当時はBBC(ベンゼマ、ベイル、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)擁するジダン監督のチームが、前半途中にセルヒオ・ラモスとの接触プレーで肩を脱臼したサラーが交代したこともあって、3-1と余裕の勝利でDecimotercera(デシモテルセーラ/13回目のCL優勝のこと)を達成しているんですけどね。

その翌年、リバプールはワンダ・メトロポリターノでトッテナムを破り、14年ぶりにCL優勝しているため、あまりリベンジ気分はないかと思いますが、大体がして、そのキエフでの決勝で2ゴールを挙げたベイルも今はトッテナムに貸し出し中でいませんし、一番、相手ファンの恨みを買っていそうなラモスなど、先週水曜のスペイン代表戦後の練習で左ふくらはぎを負傷。この火曜午後9時(日本時間翌午前4時)から、もうイギリスからの入国がOKになったため、チェルシーとのホームゲームのためにブカレスト(ルーマニア)まで行かされたお隣さんとは違い、幸運にもエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)でプレーできることになった1stレグのみならず、来週水曜、アンフィールドでの2ndレグにも出られないんですよ。

加えて、先週末からチーム練習に加わっていたアザールもまだ戻れず、カルバハルも復帰予定が立ってないなど、全戦力を使えない状態は変わらないとはいえ、リーガ前節の結果を踏まえたこの週明けは、ジダン監督の「Siempre faltan jugadores, pero la fuerza es el equipo/シエンプレ・ファルタン・フガドーレス、ペロ・ラ・フエルサ・エス・エル・エキポ(常に選手が欠けているが、チームがウチの力だ)」という言葉に納得。「ウチのチームは何1つ、諦めたりはしない。そういう信念をこのクラブとチームは持っている。Mientras hay vida siempre peleamos/ミエントラス・アイ・ビダ・シエンプレ・ペレアモス(命がある限り、私たちは常に戦う)」というのには私もただただ、頷くばかりだったかと。

それとは別腹で、サラー、マネ、フィルミーノの3弾頭を今季は脅かすまでに成長。先日のポルトガル代表のW杯予選3試合でも、初先発となったルクセンブルク戦前半にケガして交代したジョアン・フェリックスと真逆の大活躍で、3ゴールを決めていたディオゴ・ジョタが、2016年にパソス・デ・フェレイラからアトレティコに入りながら、1試合も出ることなく、ウォルバーハンプトンに移籍。当人も前日会見で、「マドリーへのライバル意識を感じる時間はなかった」と言っていましたが、昨季はとうとう、リバプールに引き抜かれるまでになったFWがマドリッドに来ているのを見て、逃した魚の大きさを嘆いていたりもしている自分だったりするんですが…。

まあ、そんなことはともかく、paron(パロン/リーガの停止期間のこと)明けのリーガでマドリッド勢がどうだったか、お話ししていかないと。まずは土曜日、トップバッターとして、マドリーがエイバルを迎えたんですが、ラモスがいない分を最近、ジダン監督も気に入っている3CB制で補ったのが良かったんでしょうかね。バランを温存したため、ナチョ、ミリトン、メンディが並び、マルセロとルーカス・バスケスがcarrilero(カリレーロ/長い距離をカバーするSB)を担ったんですが、開始4分には、久々の出場となったマルセロのクロスをベンゼマがヘッドしてゴールに。

ただ、これはオフサイドだったため、先制点にはならなかったんですが、その後も20分にはアセンシオの直接FKがゴールバーを直撃したり、36分にも彼のゴールがVAR(ビデオ審判)でオフサイドとなったりと、一方的にマドリーが攻めまくり。メンディリバル監督も後で「序盤のあの有り様じゃ、parece que te han podido meter 8.../パレセ・ケ・テ・アン・ポディードー・メテール・オチョ(8点ぐらい取られるんじゃないかと思った…)」と嘆いていた程だったんですが、実際にスコアボードに数字が上がったのは41分のことでした。

ええ、この時はカセミロが敵陣で奪ったボールをアセンシオにパス、今度はオフサイドに引っかからず、そのシュートがGKドミトロビッチを破って、マドリーにリードを与えてくれたんですよ。これで3試合連続ゴールと、当人も「Ahora están entrando los goles, antes iban al palo y no entraban/アオラ・エスタン・エントランドー・ロス・ゴーレス、アンテス・イバン・アル・パロ・イ・ノー・エントラバン(今はゴールが入ってくれている。前はポストに当たったりして入らなかったのにね)」と言っていましたけどね。最近、めきめき調子を上げてきた感じがしますが、仕上げをしてくれたのは、これまた、ここ4試合で6ゴールと絶好調だったベンゼマ。丁度、ハーフタイムの頃から降り始めた雨が強風を伴うドシャ降りと化した後半15分ぐらいまでは、ルーカス・バスケスのバックパスをGKクルトワが取り損ね、危うくオウンゴールになりかねないドッキリもあったんですが、雨足の弱まった28分、ビニシウスのクロスを頭で決め、今度はつつがなく、チームの2点目を挙げてくれましたっけ。

結果2-0と快勝したマドリーは首位のお隣さんとの差を勝ち点3に縮め、累積警告にあと1枚と迫っていたナチョもイエローカードを受けず、次節のクラシコ(伝統の一戦、マドリーvsバルサ戦のこと)にも出られるという幸運ぶり。おまけにモドリッチとクロースは入れ替わりで出場、ベンゼマとアセンシオも早めに引き上げて、体力温存させることができましたからね。火曜のリバプール戦ではかなり、いい試合が見られるんじゃないかと思いますが、これは180分間の戦い。よっぽどのことがない限り、決着は2ndレグでつくんじゃないでしょうか。

そしてバルデベバス(バラハス空港の近く)のにわか大雨がセントロ(市内中心部)にも移ってきたため、次の時間帯だったオサスナvsヘタフェ戦は諦めて、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)から家に避難してしまった私だったんですが、どうやらそちらはかなり不活発な展開だったようで、0-0のまま終了。何せ、先週のインターナショナルウィークではエネス・ウナルがトルコ代表でコロナに感染し、スペインに戻れず。マクシモビッチもセルビア代表戦の後、私的な事情でこの月曜にようやく戻って来るというハンデがマドリッドの弟分チームにはありましたからね。U24日本代表のアルゼンチン戦を月曜に終えた後、練習に合流したのが金曜だった久保建英選手も後半30分からの出場に留まりましたし、とりあえず、降格圏との差は勝ち点6あるため、焦ることはないんですが…この土曜のカディス戦の後はマドリーとの兄弟分ダービー、続いてバルサ戦と難敵が続くため、次節は絶対、勝っておかないといけないですよ。

そして夜には、セビージャ(スペイン南部)はマドリッドとかなり離れているものの、やはりゲリラ豪雨に襲われる中、カルトゥーハでレアル・ソシエダが0-1でアスレティックを破り、昨季のコパ・デル・レイ王者に輝いたんですが、得点のキッカケはギリシャ戦に続き、またしてもイニゴ・マルティネスがポルトゥをエリア内で倒して献上したPK。これにはこの日、パルコ(貴賓席)で観戦していたスペイン代表のルイス・エンリケ監督もちょっと、考えてしまうかも。ちなみにその殊勲のPKを決めたオジャルサバルも同じ代表のチームメートなんですが、意外と根性がありますよね。というのも、レアル・ソシエダの第1キッカーである彼はここ4回中、3本のPKを失敗していたから。

それどころか、「Curiosamente ensayé tres penaltis en el último entrenamiento y fallé dos/クリオーサメンテ・アンサジェ・トレス・ペナルティス・エン・エル・ウルティモ・エントレナミエントー・イ・ファジェ・ドス(面白いことに最後の練習でPKを3回蹴って、2回失敗してたんだ)」と当人も後で告白していた程だったんですけどね。本番ではやはり先週、代表合宿でご一緒していたGKウナイ・シモンに手も触れさせないとはまったくもって、見事じゃないですか。表彰式では不幸にも前日、カルトゥーハでのセッションで負傷したイジャラメンディに、34年間、クラブが遠ざかっていたトロフィーを受け取る役目を譲ってあげる心遣いもありましたしね。同じバスク地方(スペイン北部)のクラブで、両方のチームを経験している選手も多いせいか、普通だったら、メダルを受け取るやいなや、すぐロッカールームに戻ってしまう準優勝チームの選手たちがセレモニーを最後まで見守っていたのも印象的でしたっけ。

ま、アスレティックは17日にバルサと今季のコパ決勝もあるため、そこで37年ぶりのぶりのビッグタイトルを掴んで、1984年のリーガ優勝以来、パレード出航していないガバラ(ビルバオの運河を航行した木材運搬船)に乗ってくれればいいんですけどね。実は彼ら、2012年にもコパとELで決勝進出し、どちらかではガバラを出せるものと期待されていたんですが、前者はバルサに、後者はアトレティコに負け、無冠に終わるという悪い前例も。今年は1月に先行して行われたスペイン・スーパーカップ(昨季のリーガ1、2位とコパ・ファイナリストによるファイナルフォー)で優勝しているため、まだいいんですが、土曜の日中、このコロナ禍にも関わらず、サポーターが市街に溢れ、警官隊と衝突する騒ぎを起こしていた映像を見たりすると、もし優勝できても、サン・セバスティアンにファンの集まる祝勝行事を控えたレアル・ソシエダのように自粛という流れになるかもしれませんね。

そして翌日曜はまたリーガが戻り、ブタルケに2部の弟分、レガネスの試合を見に行った私だったんですが、相手が昇格組のサダベルだったせいか、前回のホームゲーム、近所のフエンラブラダとのダービーの日とは打って変わって、スタジアムの周辺にはまったく人影がなし。ただ皮肉なもので、大勢のサポーターに見送られて挑んだその試合には0-2であっさり負けていた彼らだったのに、この日は前半、アルナイスとロベル・イバニェスが決めたゴールで2点を先行することに。後半14分にはルビオのシュートがルーベン・ペレスに当たって入った1点で追い上げられたものの、そのまま無事に2-1と逃げ切って勝利です。ベンチスタートだった柴崎岳選手も後半途中から、プレーすることができましたしね。今のところ、直接昇格の2位とは勝ち点差が8あるレガネスですが、プレーオフ圏内の4位はしっかりキープしているため、1部最速リターンもまだまだ期待できるんじゃないでしょうか。

え、それで日曜の夜にセビージャ戦をプレーしたアトレティコはどうだったんだって?いやあ、レガネス(マドリッド近郊)から急いで戻り、丁度、最寄りの駅から行きつけのバルに向かう道中、サウールがラキティッチを踏んでペナルティを取られたとオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の中継で聞いて、私も慌ててお店に駆け込む破目になったんですけどね。GKオブラクが前節のアラベス戦のホセルに続き、オカンポスのPKを弾いてくれたのには俄然、テンションが上がったものの、前半のアトレティコの守備崩壊状態はもう、何て言っていいか、わからないぐらい。当日、サビッチが急性胃腸炎を起こし、ベンチにも入れなかったのが、シメオネ監督の戦略を狂わせたか、あまりにセビージャのチャンスが続くのにたまりかね、前半34分には3CB制のカリレーロとして入っていたロディをコレアに代えるって、これはロディもちょっと可哀想だったかと。

DFを4人したのが良かったか、後半には少々、持ち直したアトレティコでしたが、悲劇に見舞われたのは25分のこと。最後はヘスス・ナバスのクロスをアクニャに頭で決められてしまったんですが、そのプレーは元々、トリッピアーの蹴ったボールがオカンポスの腕に当たりながら、ハンドを流されたのが起点でしたからね。となれば、「Toca luchar contra todo/トカ・ルチャール・コントラ・トードー(全てを相手に戦わないといけなくなった)」(コケ)と、選手たちが猛抗議していたのも当然だった?いえ、結局はその1点ぽっきりを返せない彼らが悪いんであって、その日は頼りのルイス・スアレスが不発。ベンチにはリハビリが間に合わなかったジョアン・フェリックスも、出場停止が重なっていたカラスコもいなかったのは本当に不幸だったかと。

ええ、シメオネ監督が投入できたのもコンドグビアとエレーラだけでしたし、コケは2回ともシュートをGKボノの正面に撃つわ、エルモーソはフリーで大空に飛ばしてしまうわ、コレアも最後のチャンスをモノにできずとなれば、1-0で負けてしまったのも仕方ありません。うーん、それでも「Sé que es lo que quiero, sé cual es el camino y no le tengo miedo a nada/セ・ケ・エス・ロ・ケ・キエロ、エス・クアル・エス・エル・カミーノ・イ・ノー・レ・テンゴ・ミエードー・ア・ナーダ(自分の望むことはわかっているし、それがどういう道なのかもわかっている。何も恐れることはない)」と指揮官が落ち込んでいないのは有難いんですけどね。実はこの敗戦によるダメージは、月曜にバジャドリー戦に土壇場のデンベレのゴールで1-0と勝ったバルサに勝ち点差1とされてしまったことだけでなく、イエローカードをもらったスアレス、マルコス・ジョレンテ、そしてコンドグビアの3人が一気に次節、ベティス戦で累積警告の出場停止となってしまったこと。

実際、昨今のアトレティコの凋落ぶりは凄まじく、シーズン前半はお隣さんに負けた1敗と引分けが2回あっただけだったのに比べ、後半戦に入ってからは10試合でたったの3勝だけ。これじゃ10以上あった後続との勝ち点差がみるみるなくなっていくのも当たり前ですが、まったく。こうなると、今週来週はマドリーがリバプールとの2試合で頭がいっぱいになって、週末のクラシコでバルサと潰し合いしている間、アトレティコの選手たちもじっくり反省。調子の良かった頃の勝ち癖を取り戻してくれるのを私も祈るしかありません。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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