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VARでイエローからレッドに変わった勝負の綾/六川亨の日本サッカー見聞録

超ワールドサッカー / 2021年4月9日 12時50分

写真:©︎J.LEAGUE

イエローのままでよかったのか、それともレッドは妥当だったのか。論議を呼びそうなプレーが7日のFC東京対札幌戦であった。

前半29分、チャナティップのパスで岡崎の背後を取った小柏が右サイドからFC東京ゴールに向かって独走しかけたところ、渡辺剛が体をぶつけるように進路を塞いで小柏をストップした。

主審は迷わず渡辺剛にレッドカードを出し、VARで確認しても変更はなく一発退場となった。

小柏は明治大3年の時に背番号10を背負った俊足FWで、FC東京も獲得を狙っていた逸材である。

キャプテンの退場により長谷川監督はアンカーの森重をCBに下げ、三田と安部をダブルボランチに、アダイウトンと田川をサイドMFに、ディエゴ・オリベイラを1トップに据える4-4-1にシステムを変更して前半を0-0でしのぎきった。

そして後半からは「よりハードワークできる選手」として田川に代え永井を右サイドに投入し、前線からの守備を強化した。

問題のシーンは後半10分だった。自陣のバイタルエリアでルーズボールを拾ったディエゴ・オリベイラが単独でドリブル突破を仕掛けた。札幌陣内左でキム・ミンテを左にかわしたところ、足を引っかけられて転倒する。

主審はためらわずにイエローカードを出し、FKで試合を再開しようとした。しかしボールを前にキッカーの森重と三田は、主審に対し渡辺剛と同様にキム・ミンテは得点機会阻止でレッドカードをアピールする。

長谷川監督も「剛(渡辺)の退場は致し方ないと見ていた。剛の後ろには(カバーできる可能性のある)岡崎がいた。ディエゴは抜け出していて、札幌の選手はいなかった。他の選手もプレーに関与できたかもしれないが、いなかった。前半のプレーが退場なら、今回の札幌のファウルも退場に値するのではなかと予備審判に話した」そうだ。

判断の基準は次の点だろう。ディエゴ・オリベイラが倒されたのはペナルティーエリアの幅より外側だった。このためゴールに直接向かえたかどうか。向かえないと判断すればイエローカードでいいだろう。

しかしキム・ミンテを抜く際に右の方向、ゴールに向かうようにボールを出して体をキム・ミンテの前に入れようとしていた。このままプレーを続行したら、長谷川監督が指摘したようにカバーに入る選手もいないため、GKと1対1の決定機を迎えていた可能性が高い。

主審は渡辺剛の時とは違いオンフィールドレビューを採用して3分ほどVTRでプレーを確認後、イエローカードを取り消す仕草からレッドカードでキム・ミンテを退場処分とした。そしてこのFKからディエゴ・オリベイラが先制点を奪うと、24分にはまたも独走から自らが宮澤に倒されて獲得したPKを確実に決めて決勝点とした。

もしもキム・ミンテのプレーがイエローカードのままだったら試合の結果も違ったものになっていたかもしれない。こちらのジャッジに関しては、Jリーグジャッジリプレイの見解を楽しみに待ちたい。

そして試合の行方を左右したもう1つのプレーがある。前半36分、右サイドの深いところで切り返しを試みた小柏が足を滑らせて肩から転倒する。接触プレーではなくスリッピーな芝に自爆した格好だ。すると小柏は左肩を押さえたまま起き上がれない。

3分ほどの治療時間の後、小柏は担架に乗ってピッチを後にした。

再び長谷川監督のコメントによると「4-4-1でスタートしたんですけど、札幌に両ワイドを使われると苦しくなるので、不幸中の幸いというか、小柏君がケガをして時間があったのは我々も助かりました。そこで選手と話すことができた。小柏君のケガは残念。早く治して元気な姿を見せて欲しい。去年は一緒にキャンプをしましたから」ということだった。

その言葉通り、FC東京は岡崎、森重、小川の3BKに中村拓海とアダイウトンのウイングバックによる3-4-2にシステムをチェンジ。実際は中村拓とアダイウトンがDFラインに入る5-4-1に近い布陣で札幌の攻撃を耐え、反撃をアンデルソン・ロペスの1点に抑えたのだった。

渡辺剛の出場停止は痛いが、ディエゴ・オリベイラの復調はFC東京にとって心強いはず。次節はホームで多摩川クラシコを迎える。組織力の川崎F対個人技のFC東京の一戦は、序盤戦の山場と言っていいだろう。


【文・六川亨】


【動画】2選手が退場となったFC東京vs札幌ハイライト

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