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空模様が怪しくなってきた…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2021年9月4日 23時5分

写真:©︎RFEF

「もしやこれって、マズいのかもしれない」そんな風に私が心配になっていたのは金曜日、下手をすると、スペイン代表の2022年W杯カタール大会出場がすんなり決まらないかもしれないことに気がついた時のことでした。いやあ、昨年からのコロナ禍のせいで、ユーロ2020が今年の夏に開催となり、更に東京オリンピックなどもあったため、W杯予選が今年の3月から始まっており、2勝1分けのスペインがグループ首位にいたことすら、最初は思い出すのも一苦労。おまけに大甘ユーロ予選の方ではグループ2位まで出場権ゲットとか、本大会なんか、3位の大半も決勝トーナメント進出と激甘だったため、W杯予選ではグループ1位しか、直接出場権を得られないことをあまり気にしていなかった自分も悪かったんですけどね。

スポーツ紙が1位突破できなかった場合、今回のrepesca(レペスカ/プレーオフ)は方式が変わって、予選グループ2位の10チームと、予選で出場権が得られなかった昨年のネーションズリーグ上位3チームの計12チームが参加。4チームずつの3グループで準決勝、決勝を一発勝負で戦い、優勝した3チームがW杯出場権を得られると、しつこいぐらい説明していたのを他人事のように読み飛ばしていたところ、まさかそれが我が身に降りかかってくるとは。うーん、スペインが近年、プレーオフ経由で本大会出場を果たしたのはイニャキ・サエス監督が率いた2004年ユーロ、今は亡きルイス・アラゴネス監督、最初のインターナショナルメジャートーナメントとなった2006年W杯の2つなんですが、その時はそれぞれ、ノルウェイ、スロバキアを2試合制の対戦で撃破。

今回のプレーオフも試合数は同じですが、2チームを相手にしないといけないのと、会場が抽選で決まるため、ホームでプレーできない可能性も。大体がして、ネーションズリーグ上位3チームって、どこなのか、仕組みもややこしいし、正直、予選が終わるまでわからないって何?来年の3月開催ともなると、その頃、リーガのビッグクラブはCL16強対決と準々決勝の狭間で予定も立て込んでいる時期ですしね。できれば、代表戦でガチな試合は避けてもらいたいものですが、不確定な未来のことはこれぐらいにして、とりあえず、まずはマドリッド勢のクラブたちが火曜に閉じた移籍市場でどういう動きをしたのかから、お話ししていくことにしましょうか。

やはり一番の期待を集めていたのは、この夏、ダビド・アラバ(バイエルンとの契約を満了して移籍)以外、新顔がなかったレアル・マドリーで、うーん、1憶6000万ユーロ(約170億円)から始め、1憶8000万ユーロ(約236億円)へとエムバペの移籍金オファーを上げながら、PSGからまったく答えがないのに業を煮やしたんですかね。移籍市場終了日夕方にはとうとう、2億ユーロ(約262億円)まで釣り上げたんですが、同時に諦めもあったか、PSGも狙っていたという、18才のMFカマビンガ(レンヌ)を嫌がらせのように3000万ユーロ(約40億円)で獲得。その発表があった後はウンともスンともなく、久々のギャラクティコ候補は契約の切れる来年6月まで、メッシとネイマールのチームメートで居続けることに。

まあ、相手はカタールの王族がオーナーでお金に困っていませんからね。巷でPSGが要求していたと言われる2億2000万ユーロ(約290億円)まで、マドリーが値上げしても同じだったかと思いますが、地に足をつけている普通のクラブは出入りのバランスがチーム作りに不可欠。そのせいで私も夜半過ぎまでGol(スペインのサッカー専門オープンTV局)に釘付けになっていたんですが、というのもチェルシー側の事情はわからないものの、夏の間中、噂になりながら、一旦は沈静化していたアトレティコのサウールの移籍交渉が再開されたと聞いたから。

それと平行していたのが、2年前にバルサに移ったグリーズマンの復帰で何せ、向こうはメッシの退団、キャプテンのピケ、ブスケツ、ジョルディ・アルバ、セルジ・ロベルトらの大幅減棒までして尚、ラ・リーガのサラリーキャップ基準を満たしてないとあって、どうしても高年棒選手を放出しないといけない状況にありましたからね。ようやく午前0時少し前にサウールの1年レンタル移籍が、買取オプション付きでチェルシーが400万ユーロ(約5億3000万円)払うことでまとまり、続いてグリーズマンも1年延長付き1年レンタル、出場試合数によって、アトレティコが4000万ユーロ(約53億円)の移籍金で買取るという契約も成立。そしてバルサはクーマン監督の希望していたオランダ代表FWルーク・デ・ヨングをセビージャに400万ユーロ払って、1年レンタルというのがデッドラインギリギリで決まったんですが、いやあ。

最近はスペイン代表にも呼ばれず、ヒマだったんですかね。移籍市場が閉じた後の深夜、サウールがイバイ・ジャノス(スペインの有名ライバー)のTwitchiチャンネルに自宅から出演。2節のエルチェ戦では、彼女のジャイサさんが今年の2月に産まれた長女のアフリカちゃんを連れてきて、コロナ禍の無観客試合ではできなかった念願のキックオフ前集合写真をワンダ・メトロポリターノで撮っていましたし、先週末のビジャレアル戦では奇跡の同点オウンゴールを呼び込む、執念のロングボールを蹴っていた彼自身も前日まではアトレティコ残留を信じながら、まさかの展開になった事情を語っているとは時代も変わったものです。

それによると、サウールもここ2年間、本領を発揮できていないのにストレスを抱えており、昨季は監督とヒル筆頭株主と面談。「Le pedí entrenar en mi posición, a pesar de no jugar, que no me importaba tanto/レ・ペディ・エントレナール・エン・ミ・ポシシオン、ア・ペサール・デ・ノー・フガール、ケ・ノー・メ・インポルタバ・タント(自分のポジションで練習させてくれるように頼んだんだ。試合では、そこでプレーすることはなかったけど、それはあまり重要じゃなかった)。そしたら、2人はボクがアトレティコを出た方がいいと思ったらしい」んですが、いや、どこをどうすればそうなる?

要はマハダオンダ(マドリッド近郊)でのセッションでも左SBばかりやらされて、うんざりしていたんでしょうけど、でもねえ、チェルシーだって、ボランチは大激戦区。だってえ、昨季のCL王者にはUEFA年間最優秀MF賞のカンテ、同最優秀選手賞のジョルジーニョ、そしてコバチッチもいるんですよ。アトレティコ以上に中盤のポジション争いは熾烈なように見えますが、まあ、それでも当人は余程、嬉しかったのか、ロンドンに移動して、新チームに合流した木曜以降、ツィッターにビデオを連投(https://bit.ly/3BDCdw2)。あちらもプレミアリーグにCL、カップ戦と試合数が多いため、きっと出番は回ってくると思いますが、さて。

ちなみにマヌ・サンチェスもオサスナにレンタルされてしまい、これでトップチーム、唯一のカンテラーノ(アトレティコB出身の選手)となってしまったのがコケなんですが、彼もエルチェ戦前には1年間、果たせなかった長男のレオ君とピッチで写真撮影の夢を実現。現在はスペイン代表参加中で、水曜にストックホルムのフレンズ・アレナでスウェーデン戦前の記者会見に出た際には、サウールやグリーズマンについての質問が出るのは当然だったかと。いえ、当人は緊迫の移籍市場終了日の夜も「友だちとプレステで遊んでいて、12時には寝に行った」ぐらい、お気楽な様子だったんですけどね。

サウールのことも「Se va cedido, pero ojalá que para volver/セ・バ・セディードー、ペロ・オハラ・ケ・パラ・ボルペル(レンタル移籍するけど、戻って来ますように)」とあっけらかんとしていたんですが、この夏のプレシーズンでは親善試合に鬼のように駆り出されていたアトレティコBの後輩たちもボルハ・ガルセス(レガネスにレンタル)、カメージョ、リケルメ(同ミランデス)、セラーノ(同デポルティーボ)、リカルド(グラナダに移籍)と続々と修行の旅立ちをしていますからねえ。サウールの背番号8は早速、翌日のボスニア・ヘルツェゴビナ戦でフランスの同点ゴールを挙げて、古巣復帰を祝っていたグリーズマンが受け継ぐことになりましたが(https://bit.ly/38CxrCn)、しばらくはコケもチーム内で先輩風を吹かせられず、ちょっと寂しいかもしれません。

そして最終日のドタバタ劇は弟分チームでもあって、いえ、ヘタフェは月曜にはCBホルヘ・クエンカ(ビジャレアルからレンタル)、最後の仕上げには2部のお隣さんから、左SBジョナタン・シウバ(レガネスから移籍)、MFフロレンティーノ・ルイス(ベンフィカからレンタル)を獲得した上で、昨季はRMカスティージャ(2部B、今季はRFEF1部)にレンタルしていたカンテラーノのウーゴ・ドゥーロ(バレンシアにレンタル)、イグナシ・ミケル(ウエスカにレンタル)を放出と比較的平和だったんですけどね。昨季まで指揮官を務めていたボルダラス監督(今季はバレンシア)に狙われていたアランバリやジェネも守れたため、ミチェル監督も安心して、paron(パロン/リーガの停止期間)明けの巻き返しに専念できるはずですが、驚かされたのは今季また、1部に復帰したラージョの方。

ええ、午後9時頃にはセルジ・グアルディオラ(バジャドリーからレンタル)の入団が発表され、これで前線の補強も済んだかと思いきや、GOLではマドリーのマリアーノのレンタル移籍も交渉進展中との報告が。しばらくすると、それがクラブ間で完全に合意ができたらしいとされながら、土壇場で選手が拒否して破談というのも凄いですが、次に出た名前が何と、ファルカオだったんですよ!そう、2011年夏の試合中、アグエロ(現バルサ)のマンチェスター・シティ移籍で鬱状態だったビセンテ・カルデロンに「ポルトからファルカオの入団が決定」というアナウンスが流れて以来、2シーズン、計70ゴールとヨーロッパリーグ、コパ・デル・レイのタイトルをもたらしてくれた、あの伝説のゴールゲッターがガラタサイとの契約を解除して、ラージョに入ってくれるとなれば、今季は2部最短Uターンの悪夢とは無縁でいられる?

ま、移籍関連はこんな感じなんですが、そろそろ腹を括って、スペイン代表が首位陥落したスウェーデン戦がどうだったか、お伝えすると。スタメンのうち、10人をユーロ出場メンバーで固めたチームは早くも前半5分、1人、新参者として加わったカルロス・ソレル(バレンシア)が大当たり。ええ、ジョルディ・アルバのクロスをワンタッチで押し込んで、東京オリンピックで銀メダルをゲットしてきた実力はダテでないことを証明していましたが、それで油断してはいけませんよね。何と、失点直後のキックオフから速攻に出たスウェーデンはロングボールをソレルに取られたものの、彼のパスを上手くブスケツが受け取れず、ボールを奪ったイサク(レアル・ソシエダ)が同点ゴールを決めているのですから、呆気に取られるとはまさにこのことかと。

そのまま1-1で試合は後半に入り、もちろんポゼッションはスペインが上だったものの、6月にはユーロのグループリーグ初戦で顔を合わせ、0-0と引分けている相手は、「セビージャでの試合より、ボールを持ちたいし、そうなった時には自分たちのプレーをしたい」(アンデション監督)という言葉を粛々と実行。ええ、12分にはCKから始まったプレーから、コケが頭で遠くにクリアできなかったボールをクルセフスキ(ユベントス)がゲット。ユーロでの対戦時はコロナ感染でいなかったFWのラストパスを撃ったクラエソン(クラスノダール)のシュートがGKウナイ・シモン(アスレティック)を破り、勝ち越し点を取られてしまうんですから、ショックだったの何のって。

おまけに19分には昨季のサラ(リーガのスペイン人得点王)であるジェラール・モレノ(ビジャレアル)が負傷して、アダマ・トラオレ(ウォルバーハンプトン)に交代するという逆境も発生。何せ、ユーロ参加の他のFW、オジャルサバル(レアル・ソシエダ)、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)はオリンピックにも行ったため、今回はお休みをもらって、招集されていませんからねえ。ルイス・エンリケ監督も「Hemos generado, pero era difícil con los centros/エモス・ヘネラードー、ペロ・エラ・デフィシル・コン・ロス・セントロス(ウチはチャンスを作ったが、サイドからのクロスでは難しい)」と言っていたように、何故か、CFのモラタ(ユベントス)が30分に退いた後から、ボールを敵エリア内に放り込んで、どうにかしようというのもちょっと解せませんが、結局、スペインは最後まで追いつくことができず、2-1で敗戦です。

いやあ、実は彼ら、スウェーデンとは相性が悪く、ユーロで対戦する前、その予選でも1-1の引き分けと、ストックホルムでは6試合、ずっと勝てていないんですけどね。まさか、7月にはユーロ準決勝まで進んだチームがこうも簡単に「hemos perdido infinidad de duelos, no sólo en lo defensivo sino también en el centro del campo/エモス・ペルディードー・インフィニダッド・デ・ドゥエロス、ノー・ソロ・エン・ロ・デフェンシボ・シノ・タンビエン・エン・エル・セントロ・デル・カンポ(ウチは数えきれない程、1対1の戦いに負けていた。守備だけでなく、ピッチの中盤でもね)」(ルイス・エンリケ監督)という状態になってしまうって、一体、どういうことでしょう。

もうこうなると、この日曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)から、バダホス(スペイン南西部)であるジョージア戦、来週水曜のコソボ戦に連勝して、同日、ギリシャと戦うスェーデンが躓いてくれることを祈るばかり。それが試合後、マドリッドに戻り、金曜にはラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設でリハビリトレをしたチームには、大きなケガはしていないものの、大事を取ってジェラール・モレノが代表を離脱するという悪いニュースも入って来たから、さあ大変。うーん、ラ・リーガが今回、南米各国代表選手の帰還が遅れるのに伴い、日時変更をした4節の中でビジャレアルvsアラベス戦とバルサvsセビージャ戦は延期となったものの、競技委員会はこれを認めず。強行される可能性もありますし、何よりビジャレアルには14日火曜にCLアタランタ戦が控えていますからね。

ただ、そうなるとますます、スペイン代表のゴールを誰が担ってくれるのか、不安になりますが、こればっかりはねえ。今更、お休みを与えた選手を呼ぶこともできないため、ここはモラタ、フェラン・トーレス(マンチェスター・シティ)、トラオレ、サラビア(PSGからスポルティングCPに移籍)、そしてサプライズ招集だったアベル・ルイス(スポルティング・ブラガ)らに頑張ってもらうしかないかと。幸い、ジョージアもコソボも強豪ではありませんし、10月はネーションズリーグのファイナルフォーのため、W杯予選はないスペインですから、とりあえず、ここを何とか乗り切って、11月のギリシャ戦、ホームでのスウェーデン戦で本大会直接出場への夢を繋いでくれたらと思います。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している

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