理研と富士通、共同開発のスーパーコンピューター「富岳」が完成し共用開始
週刊BCN+ / 2021年3月10日 16時3分
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理化学研究所(理研)と富士通は、14年から開発・整備を進めてきたスーパーコンピューター「富岳」が3月9日に完成したと発表した。また、理研と高度情報科学技術研究機構(RIST)は、富岳を広く学術・産業分野向けに提供するため、同日から共用を開始した。
富岳は、文部科学省が推進する革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の中核システムとして、開発・整備を進めてきたスーパーコンピューター。理研と富士通は、4年から共同で富岳の開発に着手し、昨年5月にすべてのきょう体の搬入を終了し、その後、共用開始に向けた開発と利用環境整備などを進めてきた。
その間、スーパーコンピューターの性能ランキング「TOP500」「HPCG」「HPLAI」「Graph500」の4部門で、昨年6月と11月の2期連続で世界第1位を獲得するとともに、「スーパーコンピュータ『富岳』成果創出加速プログラム」や「新型コロナウイルス対策利用」などで昨年4月から試行的に利用されている。これらの試行的な利用のなかで、すでにゴ-ドン・ベル賞ファイナリストとして「大規模数値流体シミュレーションに関する研究」と「史上最大規模の気象計算」が選出された。また「ウイルス飛沫感染の予測とその対策」の研究などは人々の生活様式の変容を促しており、富岳は科学とSociety5.0を支える情報技術基盤として着々と成果を上げつつある。
そして3月9日、富岳はすべての準備を整え、広く学術・産業分野などに計算資源を提供するため共用を開始した。
両者は今後も、富岳の運用で協力して安定稼働に努めるとともに、世界一の運用技術の開発、利用環境の高度化、スーパーコンピューティング技術の開発や提供などを通じ、社会的課題の解決や最先端研究の加速などに貢献していく考え。
また、登録施設利用促進機関であるRISTは、富岳の共用開始以降、成果創出加速プログラムの継続とともに、幅広い研究者などが即時に本格利用を開始できるよう一般公募を行い、21年度の一般利用・産業利用課題74件を採択した。さらに、今後の富岳利用拡大に向けて、早期成果創出を狙う小規模な課題、アプリケーションの動作検証や性能評価を試行する課題の2種類を随時募集している。
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