佐藤健の出演本数が少ないのも納得、丁寧を極めた役づくりがすごい!

wezzy / 2018年10月20日 17時15分

写真

 NHK連続テレビ小説『半分、青い。』に、『義母と娘のブルース』(TBS系)と、ここのところ出演作品が続いている佐藤健。今度は主演映画『億男』が10月19日に公開される。

 佐藤健といえば、人気も評価も共に高いのにも関わらず、出演作が少ないことでよく知られている。これは意図的にやってきたことのようだ。2018年10月1日付「シネマトゥデイ」のインタビューでは<20代前半から中盤にかけてはどちらかというと作品数を抑えてきたので、他の同世代の俳優と比べて作品数はかなり少ないのではないかと思います。その選択によって今の自分があるとも言える>と証言している。

 それだけ出演する本数を絞った背景には、厳選された作品にのみ出ることで俳優としてのブランディングを確立させるという目的もあるだろうが、もうひとつ考えられるのが、佐藤健は役を演じるにあたり徹底的な下準備を行う俳優なので物理的に多くの量の仕事をこなすことが難しいという理由だ。

『天皇の料理番』で練習をし過ぎて逆に怒られる佐藤健

 たとえば、2015年のドラマ『天皇の料理番』(フジテレビ)での役づくりはすごい。宮内省大膳職司厨長を務めた秋山徳蔵氏の青年期から主厨長になるまでの人生を描いた『天皇の料理番』により彼は、東京ドラマアウォード2015主演男優賞などを受賞し、俳優としてのステージを進めた。

 しかし、実は佐藤健は包丁すら握ったことがなく、撮影前に猛特訓したらしい。すると、今度は逆にうまくなり過ぎてしまい、ドラマの料理指導担当者が下手な人の包丁の使い方を指導したというエピソードがある。驚くような逸話だが、こういったことは佐藤健にとって至極当たり前のことであるようだ。



<主役の料理人役がきて、料理の練習をするのはとても自然なことだし当たり前のこと。特別なことをしたつもりはありません。料理ばかりしている人の役ですから、僕がいくら練習しても練習しすぎるということはないでしょうし、どれだけやっても足りない。どんな役でもそうですが、僕は少なくともこういう撮り方をしてくれたらその人物に見えそうだなと思うまでは練習します>(「AERA」2018年10月22日/朝日新聞出版)

 それは、ここ最近の仕事でも同じだ。『億男』で彼が演じる大倉一男は大学時代に落語研究会に入っていたという設定で、劇中でも古典落語の「死神」を披露する場面があるため、撮影前に落語の稽古を行っている。前掲「AERA」によれば、その稽古のなかで得た<ニュアンス>を『義母と娘のブルース』の麦田章の役作りに使ったりもしているという。

 具体的に「死神」のどういった部分を麦田役に流用したのかはわからないが、「死神」の主人公も麦田も、金もなければ仕事もできないうだつの上がらない男なので、そういった部分で落語のニュアンスを使ったのかもしれない。

 佐藤健が役づくりのために行っていたストイックな準備を行うエピソードは他にもある。

役づくりのために「敢えて徹夜で現場入り」を常用する佐藤健

 2018年10月19日付ニュースサイト「ザテレビジョン」のインタビューによれば、『億男』のなかには、高橋一生演じる古河九十九が主催したパーティーで大騒ぎし、翌朝目覚めたら宝くじで当てた3億円と九十九がいなくなっていたというシーンがあるのだが、その場面では実際に朝まで飲んで一睡もせずに現場入りしたという。敢えて徹夜で現場に入る手法は『億男』の別のシーンでも使っていたようで、借金を返すために家庭を顧みずに働いたせいで奥さんに苛立ってしまうシーンでも、その疲労感を出すために寝ないまま撮影しているという。

 睡眠時間のコントロールで役づくりをするのは彼にとっては定番のテクニックのようで、漫画家として成功していく主人公たちを描いた2015年公開の映画『バクマン。』では、締切に間に合わせるべく徹夜で仕事した状況を再現するために、やはり寝ないで撮影に臨んだことがあるという。

 役者の役づくりの定番である食事制限も、もちろん行っている。2017年公開『亜人』の際には、めかぶ、サラダチキン、たれなしの納豆という食事制限メニューで身体を絞ったというし、2018年公開『いぬやしき』の撮影の際にも、主演の木梨憲武がカレー、ステーキ、餅といったごちそうの炊き出しを用意していたが、佐藤健はカロリーとタンパク質を厳密に計算してお弁当にも手を出さない身体づくりを行っていたため、焼き鳥しか食べることができずに苦しい思いをしたと完成披露試写会で語っている。

 しかし、佐藤健が評価されているのは、そういったストイックな役づくりだけではない。彼は脚本の読み込みが深く、監督に対するリアクションも的確であるらしい。

佐藤健は自分で脚本まで書いてくる

 映画『亜人』を担当した本広克行監督は出演したイベントの席で、佐藤健が<このセリフ、こういう風にやったらどうでしょう>といったアイデアをもってきてくれるという話をしながら、こんなエピソードまで明かしていた。

<一番びっくりしたのは、脚本家さんが書いた台本があるのですが、自分でも(台本を)書いて『こういうのはどうでしょうか』と。完璧なんです、その台本の言い回しやテーマ性が。今の若手で人気のある人は、一作、一作にものすごく力を入れる>(17年8月26日付ニュースサイト「映画.com」)

 こういった向き合い方で映画やドラマの一本一本と向き合っているのであれば、本数が少なくなってしまうのもわからなくはない。

 だから、ここ最近の出演ラッシュも、彼にしてみたらかなり無理をしたスケジュールだったのかもしれない。

 2018年10月16日付ニュースサイト「ORICON NEWS」のインタビューでは<20代も終わりに差し掛かり、この時期の自分を作品に残しておきたいという気持ちになったので、昨年あたりから“本気”を出そうと決めていました>と、ここ最近の出演本数の増加は、あくまで特例の出演ラッシュであることを明かし、さらに、<いったんピークを迎えたので、ちょっと落ち着いて、また前のゆったりとしたペースに戻るかも。今回頑張ってドラマ2本と映画もやったので、これで2年ぐらいは引っ張れるかな? 30歳すぎまでは、その余韻で……>と、しばらくは休養モードに入ることを示唆している。

 今年は映画『ハード・コア』の公開も11月に控えているが、これでしばらく出演作の放送・公開ラッシュが途切れてしまうのは寂しい限り。

 もう既に次の作品の撮影は始まっているのかもしれないが、丁寧な役づくりを経て生み出される素晴らしい演技を再び見ることができたら幸いである。

(倉野尾 実)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング